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第219話

Author: 浮島
周囲がざわめきに包まれた。

蒼空の呼吸が止まり、両手で必死に礼都の手をつかんだ。

顔は真っ赤に染まり、歯を食いしばって礼都を睨みつける。

だが礼都は、彼女の抵抗などまるで意に介さない。

冷たく鼻で笑うと、さらに力を込めた。

蒼空の胸が締めつけられ、息を吸う余地さえなくなっていく。

肺の空気が少しずつ抜け、視界が揺れた。

次の瞬間、彼女は壁に押しつけられた。

礼都は手を高く上げ、彼女の足がほとんど床から離れかけていた。

息ができない。

空気を求めて喉が焼けるようだった。

蒼空は声を振り絞った。

「さっ......くらぎ......はな、して......」

礼都の低く沈んだ声が耳元に落ちた。

「前にも言っただろう。僕を本気で怒らせるなって」

その瞬間、彼女は本当に死を感じた。

礼都が自分を殺そうとしている――そう確信した。

視界がどんどん暗くなり、意識が遠のく。

口を開けても、掠れた音しか出ない。

殺される。

そう思った刹那、礼都の手が離れた。

力が抜け、蒼空は地面に崩れ落ちた。

両手で床を支え、まるで渇ききった魚のように、必死に息を吸い込む。

空気が喉を通るたび、ひゅうひゅうと耳障りな音がした。

目の前に見えるのは、黒い革靴。

礼都は彼女の前に立ち、いつものように冷ややかな笑みを浮かべていた。

「今回のことは、君が何度も瑠々を侮辱した報いだ。次は、こんなもんじゃ済まない。

僕のやり方を知ったら、君はきっと後悔するよ」

そのとき、外から瑠々が人混みをかき分けて駆け込んできた。

さっき礼都が彼女をかばうように振る舞っていたせいで、周囲の人々は彼女が通る道を自然と開けた。

誰もが、瑠々に触れることを恐れるかのように距離を取った。

瑠々は目の前の惨状を見て、口元を押さえ、悲鳴を上げた。

「うそ......どうしたの!?」

礼都は彼女に気づき、慌てたように駆け寄った。

しかし怒鳴ることもできず、声は一転して柔らかくなる。

「瑠々、どうしてここに?部屋で待てって言ったのに」

瑠々は焦って足を鳴らした。

「またこんなことしてたのね!よりによって蒼空なんて!」

彼女は蒼空のそばにしゃがみ、そっと腕に触れた。

「ごめんね蒼空、礼都は私のことで頭に血が上っただけなの。責めないであげて。立てる?手、貸すよ」

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Comments (3)
goodnovel comment avatar
marru
あり得ないほどヒロインが痛めつけられ過ぎて読み進めるのが辛い…もう少し加減してください...
goodnovel comment avatar
Yuka Murata
いくら投資してるからって、 公平性が売り物のコンクールで 一人の女を贔屓して他の参加者に暴力振るうのはやり過ぎ。 お前が警察に捕まれ。 にしても、瑠々は最悪な女だな。
goodnovel comment avatar
あき
殺人未遂でしょ、警察を呼べ
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