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婚約者の情事を目撃した日

مؤلف: るな
last update تاريخ النشر: 2026-09-20 10:50:35

恭吾と雪村が会場を出てからしばらくして、世那から私のスマートフォンにメールが届いた。

「麗奈さん。一階の女子トイレ。早く来て!」

世那からのメールを読んだ私は、すぐに指定された場所へ向かった。

女子トイレの前で、世那が何気ない顔をして立っていた。

「ここの中に二人が居る。でも俺は中に入れなくて」

「知らせてくれてありがとう」

恭吾と雪村の浮気現場をこの目で確認できる絶好の機会だ。これを逃す手はない。

「麗奈さん、これ持って行って」

「ありがとう」

「俺、ここで待ってるから」

私は世那から受け取ったボイスレコーダーを握りしめ、音を立てないようにトイレの扉を開けた。広々とした個室が四つ並んでいるうち、四つ目の個室のみ鍵がかかっていた。つまり、恭吾と雪村がここに居るということ。私は彼らの声を録音するために、一つ手前の三つ目の個室に入った。

個室の中は、とても広々としていた。清潔感があり居心地のいい空間となっていた。そうは言っても、ここで浮気をする精神は理解できない。しばらく物音を立てずに居ると、小さな声が聞こえたような気がした。そこで、私はボイスレコーダーの録音を開始した。

私は息を潜め、壁に耳を当てた。

「ん……あっ/」

「声出すなよ」

「だって、恭吾さんが触るから」

やはり、私の隣で恭吾と雪村は情事に耽っていた。驚くべきことは、二人の会話を平然と聞きながら、録音している私自身だ。私の感情は完全に狂ってしまったようだ。

数分経った頃、個室の鍵を開ける音が聞こえた。私は小さいハンドバッグに入れているワイヤレスイヤホンを両耳に装着した。そして、雪村よりひと足先に個室を出ると、鏡の前で手を洗った。

「あ……麗奈さん」

何を慌てているのやら。私はわざと聞こえないふりをして、手を洗い続けた。

「麗奈さん」

「あら。雪村さん、聞こえてなかった。ごめんなさい」

私はそう言いながら、両耳に装着したワイヤレスイヤホンを外した。

「いえ、音楽ですか?」

「そうなの。一人で会場に居るのは退屈で」

本当は音楽なんて聞いていない。ましてや、このワイヤレスイヤホンの電源はOFFだ。なぜなら、恭吾と雪村を欺く為の小道具だから。馬鹿な二人なら、ワイヤレスイヤホンで耳を塞いでいた私に情事の声は聞かれていないと思うはずだ。

「では、お先に失礼するわね。雪村さん、今日はありがとう」

私は雪村に笑顔を向けると、世那の元へ急いだ。

「世那!」

「麗奈さん、どうだった?」

私はハンドバッグの中から、ドライブレコーダーを取り出した。

「成功したわ」

「良かった。だったら……」

私は世那が言おうとしていることを悟った。

「まだだめよ。今日は婚約初夜なんだから」

「それ本気で言ってる?」

「ええ」

すると、私を見つけた恭吾がこちらに駆け寄ってきた。慌てて着替えたのだろう。恭吾のネクタイは曲がっていた。

「麗奈、一緒に帰ろう」

「はい」

私は偽りの笑顔を顔に貼りつけて、恭吾に寄り添い歩いた。その様子を世那が苦しそうな表情を浮かべながら見つめていた。

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