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57話

مؤلف: 籘裏美馬
last update آخر تحديث: 2025-10-30 18:58:42

「警察……?」

滝川さんの声が、低くなる。

訝しげに持田さんに視線を向けているが、持田さんも何が何やら、と言う様子で持田さんも珍しく狼狽えていた。

「分かった、下に行って話を聞いてみるか。加納さんは部屋にいて?警察の話が終わったら、朝食にしよう」

「わかりました……」

滝川さんは私を安心させるように笑ったあと、ぽん、と頭を撫でて部屋を出て行く。

私は、階段を降りて行く滝川さんの背中を見つめる。

滝川さんの後ろには持田さんも着いて行っている。

持田さんも、間宮さんもいるし、滝川さんだって会社の社長を務めている人だ。

「きっと、何もないわよね…。大丈夫、よね…?」

もやもや、と不安が胸に渦巻く。

私は自分の部屋にある松葉杖を取りに急いで室内に戻った。

松葉杖を使い、慎重に階段を一段一段降りていく。

すると、玄関で話をしている滝川さんの声と、聞きなれない男の人の声が聞こえてきた。

聞きなれない方の声は、警察の声なのだろう。

「昨夜、あなたは他人の家に勝手に侵入しましたね?」

「侵入?」

「ええ、被害者から被害届が提出されております。住居侵入の件で、滝川さんには署まで同行を」

「──はっ、ふざけた事を……」

「その態度は何だ?逮捕状を請求してもいいんだぞ!」

警察官の怒声が響き、私は急いで階段を降り、玄関に向かう。

持田さんや間宮さんがぎょっとして、私を止めようとしてくれたけど、このままでは、滝川さんが連れていかれてしまう。

信じられない!

私を拉致したのは、麗奈なのに!それなのに、あろう事か警察に通報したのだ。

滝川さんを不法侵入の罪で通報した。

大事にしたくなかった。

それに、顔見知りではある。

だから警察に通報しようか、と言う滝川さんの言葉を私は断ったのに…!

それにきっと、麗奈だけじゃない。

清水瞬だって手を貸している。

麗奈1人じゃあ、ここまで早く被害届を提出する事はできないだろうし、受理だってされない。

清水瞬が被害者になったのだろう。

だから、あっさり被害届は受理されたし、こうして翌日に警察が滝川さんの家までやってきた。

本当に、信じられない……!

麗奈
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