Share

十話 3人で庭園の手入れ

Auteur: Tubling
last update Dernière mise à jour: 2025-05-28 17:24:26

 「校長!仲良くだなんてクラウディア先生に失礼ですからっ」

 「ふ――ん…………」

 カールは私の為に言ってくれているんだろうけど、すっごく動揺しているみたいで校長が意味深な笑みを浮かべている。

 すぐに男女の仲にしたがる人っているのよね……特に校長は女性関係が派手な印象があるから気をつけなくちゃ。

 「植物たちへの水やりを私がさせてもらっていたんです。あ、そうだ!校長もやります?我が学園の庭園は素晴らしいんですよ。一緒にどうですか?」

 私はあえて彼を誘ってみた。

 いつも身ぎれいにしている校長が、こういった汚れ仕事をするイメージがわかないので、きっと嫌がって戻っていくだろうと思ったのだ。

 でも私の推察はすぐに一蹴されてしまう。

 「いいね、私も交ぜてほしいって思っていたんだ。クラウディア先生から誘ってくれるなんて嬉しいな~」

 「あ、じゃあ校長はこちらのホースで……」

 校長が嬉しそうに私に近づいて来そうだったのをカールがその辺にあるホースを校長に渡して、違う方向へ促してくれた。

 助かった――ダンティエス校長はいつも笑顔で物腰が柔らかいしニコニコしている事が多いんだけど、何か思惑がありそうな笑顔でなかなか校長との仲を深める事が出来ずにいた。

 上司と仲が悪いとやりにくいし仲良くしておくに越したことはないとは思うけど……どうしてこんな作ったような笑顔を見せるのだろう。

 理事長と兄弟だけあってとても美しい顔の造りだし、ダンティエス校長はとにかく女性から人気がある。

 ここまでモテたら、普通の男性は喜ぶものではないのかな。

 ゲーム中のクラウディア先生はあまり校長と交流しているところは出てこなかった。

 それなのにこちらの世界では特に校長との交流が多くて、向こうから声をかけてくる事が本当に多いのだ。

 廊下を歩いていても突然現れて声をかけられるし、資料室に資料を取りに行った時も気配もなく手伝いに入ってきたり……ダンティエス校長は闇魔法の持ち主だから、それっぽい魔法で自分の気配を消したり人の気配を察知したり出来るのかな。

 お顔も美しいしキラキラ効果が物凄いので、どう対応していいのか分からない。

 クラウディア先生なら上手く出来るんだろうなぁ。

 私が水やりをしながらそんな事を悶々と考えていると、後ろ
Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application
Chapitre verrouillé

Latest chapter

  • 孤独な悪女は堅物王太子に溺愛される~犬猿の仲でしたがうっかり誘惑しちゃってたみたいで乙女ゲーム的な展開が待っていました~   四十六話 敗者の美学 ~ダンティエスSide 3~

     王宮で父上やロヴェーヌ公爵、兄上と話をした後から――――――  おかしな噂を耳にする事が多く、俺はとても戸惑っていた。 というのも兄上がカリプソ先生と良い仲になっていて、生徒に見られるような場所でキスをしていたというものだ。 自慢ではないが、兄上の事は嫌というほどよく分かっているつもりだし、だからこそ絶対に人目につくところでそんな事をするような人間ではないので、どうしてそのような噂が広まっているのか不思議で仕方なかった。 しかし、よく分かっていると思っていたのに、俺の目にカリプソ先生と仲良く話している兄上の姿が目に入ってくる。  なぜだ?カリプソ先生と兄上は何のつながりもないはず……兄上はカリプソ先生のように噂好きでねっとりとした女性は苦手だったはずだ。 絶対に相手にしないタイプなのに近頃は見かける度に本当に一緒にいる。そして距離も近い――――  こんなところをクラウディア先生が見たらどう思うか……そして案の定、2人を見ているクラウディア先生はとても辛そうだった。 好きな女性にこんな表情をさせるなんて、本当に兄上らしくない。 クラウディア先生の辛そうな顔を見ていたれなくなり、学園の裏側にあるいつもの庭園へと誘った。そこなら兄上たちを見ないで済むだろうし、気分転換にもなる。  庭園の花達に囲まれているクラウディア先生は女神のようで………… 「学園祭が終わるまででいいんだ、俺にもチャンスをくれない?クラウディア先生の心に入り込むチャンスがほしいんだ」 思わず本音がもれてしまい、少し頑張らせてほしいとお願いした。 優しい彼女は俺の願いを聞き届けてくれて、その場で返事はしないという選択をしてくれる。 結果は分かっていても、この件に関しては俺の気持ちを尊重してくれた事がとても嬉しかったし救われる気持ちだった。 でも課外授業へ一緒に行った時に聖なる力を使うクラウディア先生を見て、何故だかとても遠い存在に思えた――――俺とクラウディア先生が肩を並べて歩いているところが想像できない。 課外授業から戻ってきて、どう見ても想い合っている二人を目の当たりにして、やっと自覚する事が出来た。この気持ちは恋ではなく憧れだったのだと。 幼い頃、声をかける事も出来ずに物陰から兄上と遊ぶクラウディア先生を見ていた時から、2人と肩を並べたい、俺の事も受け入

  • 孤独な悪女は堅物王太子に溺愛される~犬猿の仲でしたがうっかり誘惑しちゃってたみたいで乙女ゲーム的な展開が待っていました~   四十五話 力を合わせて

     「まずいわ、少し下がりましょう!」  あまりにも巨大な力に、私たちは目の前のロキから危険を感じて一旦彼から離れ、距離を取る事にした。 「…………これでまだ本調子ではないとは……」 ロキの強大な魔力にさすがのジークも驚きを隠せず、目を見開いている。まだ完全に力が戻っているわけではないにしても、この力は凄い。 大地が震えている……いえ、この世界の全てが震えているように感じる。  彼の手にかかればこの世界などあっという間に制圧し、暗黒の世界に出来てしまうのではないかと思ってしまう。  「……ジーク、彼は魔王なの。この世界に蔓延る邪の気配の根源…………」 「魔王?そんなものが存在していたのか…………君はそれを知って……?」  「うん、ごめんなさい」 彼に伝えようと思っていたものの、生徒に呼び出されてこんな事になって、結局後出しになってしまった。 きっと驚いているわよね……私が伝えていなかった事に怒っていないかしら。 そう思ってチラッとジークの顔を見上げると、とても意地悪な表情で苦笑していて、その表情にドキッとしてしまう。 「君は本当に…………仕方ないな。後でお仕置きだ」 「なっ」 私が顔を赤くして慌てると、彼の手が私の頬に伸びてきて顔を引き寄せられ、額にほんの少し触れるか触れないかのキスが落ちてきた。 たったそれだけの事なのに、こんな状況にも関わらず浮かれてしまう自分がいる。なんだか力が湧いてきたわ。 「クゥゥゥ!」 「ラクー!」 ロキと対峙するのに必死ですっかりラクーを盾で守ったままなのを忘れていた。ラクーが私の元へ来たという事はこの子の力が必要なのかもしれない。 「ラクー、力を貸してくれる?」  「クゥ!クゥ!」 「うふふっありがとう」 頼りにしたらラクーがとても嬉しそうなので、私も思わず顔がほころんでしまう。ラクーを肩に乗せて優しく撫でた。 「私もいる事を忘れないでほしいな」 「ジーク、忘れてなんていないわ!当然手伝ってくれるわよね?」 私が気安い感じで彼を見上げると「もちろんだ」と優しい笑みを返してくれて、頭をなでてくれる。 ラクーも喉を鳴らして頬ずりをしてくるので、2人とのやり取りで一気に気持ちが和らいだ感じがするわ。私もロキのように自分の力を限界まで溜めてみようと決意した。 「みんなの力を借りる

  • 孤独な悪女は堅物王太子に溺愛される~犬猿の仲でしたがうっかり誘惑しちゃってたみたいで乙女ゲーム的な展開が待っていました~   四十四話 強烈なアタック(怒り)

     「ちょっと…………その子たちをどうするつもり?!」 『見て分からぬか?こうするのだ』 説明するよりも先に自身の指を細かく動かし、その動きに合わせるように生徒たちが動き出してこちらへ駆けて来た。 この子たちを使って私を攻撃しようと言うの?! 「[神聖衝撃魔法]ホーリーインパクト!」 咄嗟に口をついて出てきた言葉は聖なる力の衝撃波だった。それによって魔物化した生徒たちはまた吹き飛ばされて木に衝突し、ぐったりと項垂れてしまう。 「ああ!ごめんね!」 一人の生徒に駆け寄って生死の確認をすると、魔物化しているとは言え呼吸をしているのを確認する事が出来て、ホッと胸をなでおろす。 『それ、まだ終わりではないぞ。いくらでも操る事が出来るのだから……フフッ』 ロキが不穏な言葉を発したかと思うと、意識のない魔物化した生徒たちは無理矢理体を動かされて従わされていた。 こんな事したくないわよね……苦しいよね………… 私の中で激しい怒りがわき起こり、生徒たちそっちのけでロキの方へ足早に向かっていった。 『何だ?自ら殺されに来たというのか?』 私がやられっぱなしだから完全に油断しているロキは、防御する素振りさえ見せない。 ロキの目の前まで来て足を止め、彼に向き合うと、何をしに来たのかと楽しそうにニヤニヤ笑っていた。か弱い貴族女性だと思って自分がやられるとは微塵も思ってないわけね。  私は自分の右腕に聖魔法をかけていく。 「…………[攻撃補助魔法]クルセイド………………その薄ら笑いを止めなさい!!!!」 ――――バチィィッッン!!――――  『ぐぁぁっ!』  私は自身の利き腕に思いっきり攻撃能力向上の魔法をかけて怒りの平手打ちをロキに叩きつけ、彼はすぐ後ろの大きな木に叩きつけられたのだった。 「綺麗にアタックが決まったといったところかしら」  元バレーボール部の腕の振りは健在だったかな。腕力は前世に比べるとまるでなかったので、自分の腕を何百倍も強化したのだけど、こういう攻撃のしかたも有効ね。 聖属性の攻撃補助魔法だったのでロキには効果絶大で、頬は赤く腫れあがって顔が少し歪んでいる。 どうせ変形できるのだからすぐに直せるのでしょうけど。 木に叩きつけられて座り込んではいるものの、魔王なのでさすがに肉体が強いのか、決定的なダメージを与えてい

  • 孤独な悪女は堅物王太子に溺愛される~犬猿の仲でしたがうっかり誘惑しちゃってたみたいで乙女ゲーム的な展開が待っていました~   四十三話 禍々しき者 ~シグムントSide~

     私がカリプソ先生の異変を感じた日、ディアに会う為に公爵邸に向かうと、その日の彼女は酷く動揺していた。 ひとまず遅い時間に訪問した事を詫びながら、急ぎの話があると伝える。 「クラウディア……遅い時間にすまない。急ぎで君に伝えておかなければならない事があるんだ」 「急ぎで?分かったわ、もう外は暗いし私の部屋でいい?」  「え?あ、ああ……そうだな」 自分で遅い時間に訪ねておきながら、彼女の自室に招かれると動揺している自分がいるとは情けない。 この時間では外でお茶など無理な事くらい分かるものなのに、彼女の事になるとそんな事も頭からすっ飛んでしまうとは……自分に呆れながらも自室でお茶を出来る事に喜んでいる自分に活を入れたのだった。 ディアの部屋に入ると、彼女の匂いに包まれてとても幸せな気持ちになる。 私は変態ではないが、ちょっと変態に近い思考になってしまうのは想いをよせる相手だからだと自分自身に言い訳をして、必死に誤魔化した。 2人で話し始めると、カリプソ先生の名前を出したところで彼女からストップがかかった。 そして彼女の美しい瞳からハラハラと綺麗な涙が流れ落ちたのだ。 彼女の涙を見るのは幼い頃以来なので物凄く動揺してしまい、思わず膝をついて彼女に駆け寄る。 気丈で滅多に弱さを見せない彼女がこんな風に涙を流すとは……いったいディアは何を抱えているんだろう。 涙が止まってほしいと思う反面、美しい泣き顔にずっと見ていたい気持ちになり、不謹慎な自分を戒めた。 私の責任を半分こしようと言った彼女が愛おしいし、きっと私もディアが苦しんでいたら同じようにしてあげたいと思うだろうから、彼女にも同じ言葉を返す。 「ディア……君が抱えているものを私にも分けてほしい。以前君が私に言っただろう?責任を半分こしようと。こういう時こそ半分こするべきなのではないか?」 私は上手く言葉を返す事が出来ているだろうか。不安になりながら彼女の表情をうかがっていると、少し照れながら「…………じゃあお願いしようかな」と返してくれたのだった。 その時の喜びは人生で一番と言ってもいいもので、いつも表情を緩めないようにしていたが、その時ばかりは破顔していた。 そしてその時に抱きしめた彼女の温もりと唇の感触、甘い匂いは私の中でずっと残り続け、このまま学園祭まで気持ちを伝えずにいる

  • 孤独な悪女は堅物王太子に溺愛される~犬猿の仲でしたがうっかり誘惑しちゃってたみたいで乙女ゲーム的な展開が待っていました~   四十二話 降臨

     「やっぱり姿を戻す事は出来なかった……」 独り言のように呟いてカリプソ先生の方を見ると、若干苦しそうな様子を見せていた。 少しは効いてるって事?でもこの程度じゃいつまで経っても祓う事は出来ない…………カリプソ先生も中に入られているだけだから、傷つけたくはない。 どうにかして皆から魔王らしきものの存在を追い出さなくてはならない。 私が考えあぐねていると、カリプソ先生はどんどん苦しそうな表情になっていった。 『っ…………ぐっ…………申し訳ございません……今すぐ始末いたします……か、ら――――――』 どうやら私に謝っているようではなさそうだけど……。 誰かに対して必死に謝っている、というより懇願していると言った方がいいかもしれない。 私には一部しか聞こえないので、何を言っているのかハッキリと分からず、とても苦しそうだし涙目だったので、じりじりカリプソ先生に近づいていきながら声をかけてみたのだった。  「……カリプソ先生?…………どうし……」  『私に触るな!!!!』 カリプソ先生が悲鳴にも似た叫び声で私を拒否したと同時に、ドォォンッ!!と衝撃が走り、私は少し吹き飛ばされてしまう。 地面は緩い地震のように揺れながら、ゴゴゴゴゴゴ……と地鳴りのような振動が体に伝わってきて、うまく立ち上がる事が出来ない。  まるで大地がその存在を恐怖しているかのよう……そして何とか顔を上げるとカリプソ先生の口から大量の黒い物体が溢れ出していて、みるみるうちに彼女をその黒い物体が包み込んでいくのが目に入ってきた。 これは瘴気ではない。モヤというよりももっと濃い物体で、明らかに意思を持って動いている。 こんなものが彼女の体の中にいたなんて――――カリプソ先生の感情が爆発した事で溢れ出るかのように姿を現し、あっという間に彼女を飲み込んでしまった。  そして”ソレ”は魔物が形成されるかのようにどんどん形を歪めていき、やがて1つの個体を築き上げていく。 まるで芸術作品が作り上がっていく過程を見せられているかのようだけど、形作られた”ソレ”は、感動的なものではなく、私を絶望的にさせるものだった。 「あ……やはりあなたは………………魔王ロキ……」 『………………フ、フフッ…………ようやく表に出る事が出来た…………実に使い勝手のいい女だった』 造り上げた自分

  • 孤独な悪女は堅物王太子に溺愛される~犬猿の仲でしたがうっかり誘惑しちゃってたみたいで乙女ゲーム的な展開が待っていました~   四十一話 いつぞやの犯人

     早歩きで庭園に向かうと、まだ授業中というだけあって庭園に人影はなく、静まり返っていた。 この庭園の少し奥に立ち入り禁止のチェーンがかけられていて、そこから先は一定の魔力量の者以外は立ち入る事は出来ない。  1~3年生の生徒が入ってしまっては大変だからだ。 4年生ともなると魔力量がずば抜けている生徒も出てくるので入れてしまう子もいるけど、入学当時から立ち入り禁止とされている場所なので近づく者はいなかった。 まさか私のクラスの生徒が入るとは思わなかった…………もしかしたら直接的ではないにしても課外授業での瘴気に中てられてしまったのかもしれない。 迷いの森とされているので、奥の方に入ったら見つけるのは困難だわ。 「それにしても入口付近で遊んでいたと聞いたけど、全然姿が見えないわね。まさかもっと奥に入ってしまったのかしら……」 「おそらく……入ってみようぜ、みたいな話をしていましたので。止めている者いましたが」 「なんて事……急いで捜しにいかなくては。私は少し入ってみるので、誰か先生方を呼んできてちょうだい!」 「分かりました」 一人の男子生徒が返事をしてくれたので、私は森に向き直り、意を決して入る事にした。 さすがに私の魔力量なら入れるわね。生徒でも入れたくらいだし、それもそうかと一人で納得する。 すると立ち入り禁止の鎖がある場所から少し入ったところに、カリプソ先生の後ろ姿が見えた。静かに、ただじっと立っているだけといった感じだったので不思議に思い、声をかけてみた。 「カリプソ先生?ここに風クラスの生徒が入ってきませんでしたか?」 私の声を聞いてゆっくりと振り返ったカリプソ先生は、いつものように可憐な笑顔でニッコリと笑ったかと思うと「いいえ、見ておりませんわ」とだけ答えた。 「そう、なのですか……失礼ですけど先生は、どうしてここに?ここは先生と言えども立ち入り禁止のはずです」 私は単純に疑問に思った事を聞いてみる事にした。 ここに入ってはいけないのは、何も生徒だけではない。たとえ理事長であろうとも入ってはいけないのに、どうして彼女はここで立っていたのだろう……私は自分で質問しておいて嫌な予感が止まらなかった。  『うふふっあなたを待っていたのですわ、クラウディア先生……待ちくたびれましたわ』 その声は、カリプソ先生のいつもの声

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status