LOGIN「あ、や……そんな所舐めたら……っ」
「でも美味しいです……魔力が、こんなにも溢れているのに。
吸いたいです。全部私に飲ませて下さい。」「へ、変態な、アイザック様……っ。」
「光栄です。」
彼が本気で嬉しそうに笑う。私は快感の波に必死に耐えてるのに。
「褒めてません……っ。」
これ、本当に魔力供給になっているのよね?
もうだめ……私の方が頭が真っ白……。「……はあ。リーリエ様。貴方の魔力が、美味すぎて辛い。」
彼は恍
アイザック様の皇太子即位に、エドウィンの廃位、皇帝夫妻の追放など。 皇室も帝国も大混乱しているというのに。 今夜も、アイザック様は私の魔力を求めて離さない。 彼が新しく皇太子宮に指定した部屋で、すでに私達は裸同然で抱き合う。 「あ、あの……!私はいつかここを去る身です……! アイザック様が皇太子にお戻りになったなら、新しく皇太子妃を迎える必要があります。 必要なら魔力供給は行いますので、その辺りはしっかり線引きをされた方が……」 引き離そうとすると、アイザック様は眉を吊り上げられた。 「誰がここを去ると?そんな事……私が許しません。」 「きゃ!」 アイザック様に魔術で拘束され、ベッドに仰向けに寝かされてしまう。 そしてついに彼は、あの手袋を口で外された。 初めて見た、アイザック様の逞しい手。 しなやかで品があって……骨張って、指も長い。すごく逞しい手だわ。 「あ、アイザック様……?」 薄暗い部屋で彼は逞しい体で、私を鋭く、捕食者のように見つめる。 「言いましたよね?リーリエ様。 私は貴方を妻にすると。そして……貴方を孕ませると。 私は有言実行する男です。 今から貴方が私から離れるなどと考えないよう、孕ませる事にします。覚悟してくださいね。 リーリエ様。」 「え……?アイザック、様?」 彼は妖艶なため息を吐く。その後、ありとあらゆる手を尽くして、魔力供給……を行った。 いや、これは魔力供給という名の。 彼の手に直に触れられ、いつもよりも私の体が悦んでる。 こんなの教え込まれたら、もう戻れない。 アイザック
裁判で私は勝利を。アイザック様は皇太子の座に返り咲いた。 「ゆ、許してくれ、フェリクス……あの頃は魔術師なんてよく分からない存在だったんだ。 な?落ち着いて……」 彼をいつ死ぬともしれない死地に追いやり、平和を維持した皇帝。しかし今はアイザック様に情けなくそう懇願する。 あの大きな魔獣は倒したが、彼がいなければ再びあの地に魔獣が蔓延るだろう。 まだ戦わせたいのだ。しかしアイザック様は自分がされたように、無慈悲に告げる。 「陛下。今度は貴方が国を守る番です。 私は何年も戦場にいたので、そろそろ交代する時ですよ。 エドウィンと一緒に。」 皇帝が膝から崩れ落ちると、背後にいた皇后が擦り寄ってくる。 「私は許して……ね?貴方の母親でしょう?」 「母上。父上とエドウィンには母上が必要でしょう。側で二人を支えてあげて下さい。 それが、リーリエを傷つけたあなた方への罰です。」 自分の事ではなく、私の事を……。 彼が両陛下を切り捨てると、今度はエドウィンが縋りつく。全くこの家族は学習しないのね。 「いやだ、魔獣退治なんて……死ぬに決まってる……いやだ、いやだ!兄さん!考え直してください!」 「そんな場所と知りながら喜んで送り出したのはエドウィン、お前達だろう?」 お見事です。アイザック様。 全てを冷酷に切り捨てるこの勇ましさ。鋭さ。 どこまでもついていきます。 背後で彼を見守りながら、私はまたアイザック様に惚れる。 「あ、ロベリアは身重だから、生まれるまでは皇室で預かろう。 と言っても別宮に軟禁だ。 子供に罪はないから、私達が引き取ろうと思う。 だが、それだと寂しいだろうから…… ロベリアにも出産後には辺境に行ってもらおう。」
私はこれまで、リーリエの何を見てきたのだろうか? 兄さんが私を脅しにきたすぐ後、他の女官達からの密告があった。 「告白いたします! ずっと、皇太子妃……ロベリア様に脅されて言えませんでしたが…… 本当は、元皇太子妃のリーリエ様は素晴らしい女性でした。 私達にはいつも優しくしてくれたんです。 ですが私達は……ロベリア様に……言うことを聞かなければクビにすると言われて。 だから、宮廷にリーリエ様に関する悪い噂を流しました。」 「なん、だと?噂?何の?」 それは、リーリエが実際には一度も言ったことがない言葉だったという。 「《エドウィン様が無能》だと。 《彼はできそこないで、仕方なく仕事を手伝っている》と。……まるでリーリエ様が言ったように噂を流せと……」 「《夜を共にするのも面倒臭いし、あれも下手くそだ、》とも。」 「何だと!!」 そんな恥部まで!? 「《私は優秀だ、エドウィン様は無能》。」 そんな……嘘だ。すべてロベリアが? じゃあ、夜の誘いを断ったと思っていたあの全ては? ロベリアが手紙を止めていて、リーリエは知らなかったのか?一人のあの食事も? 「それにロベリア様は、殿下と関係を持つ前に、複数人の男性と寝ていたそうです。 そのおかげで殿下を落とせたと、やけに自慢していたそうですよ。」 嘘だろう?私が初めての相手ではなかったのか!?ロベリア!君は! さらにリーリエ付きだった補佐官も言う。 「いつも、エドウィン様の事をお考えになっていましたよ。」 「仕事の手柄は、全てエドウィン様のものにするようにと。」 出てくるのはリーリエが私のために懸命に働いてくれていた事実と、ロベリアの多くの嘘。
裁判は滞りなく進み、時々ロベリアが馬鹿みたいに反論してきたけれど、皆分かっていた。 “いかに私の揃えた証拠に信憑性があるか”。 いかにロベリアの言っている事が嘘っぽく聞こえるか。 そしてついに彼女は墓穴を掘る———。 「何よ、皆して! リーリエを裏切って不貞を働いたのは、エドウィン様じゃない! 白状します、裁判長! リーリエを嫌って、不倫していたのはエドウィン様です! 彼は喜んで私を抱いてました! 不妊用のワインも、彼が積極的に飲ませていたんです! 皇帝陛下も皇后陛下も、子供が欲しくてリーリエを追い出したんですよ!どうです!?これで、私だけが悪いなんて言えないですよね!! 私は悪くありませんよね!ねえ!」 ———本当に馬鹿なロベリア。 私は彼女が必死に叫ぶのを見て、思わず吹き出してしまいそうになった。 まさか自分のみならず、エドウィン様や両陛下の企みまで暴露してしまうなんて。 長年親友していた、こちらが恥ずかしいわ。 傍聴席のアイザック様が微笑し、一般から選ばれたデリラも、ぐっと拳を掲げてくれる。 「——— 皇太子エドウィン・カディスと皇太子妃ロベリア・モンターニュは、皇室の法を犯し、不貞行為を働きました。 あげく、元皇太子妃に不妊のワインを飲ませ、罪を着せて娼館送りにした! これは皇族に最もあるまじき、重罪です! よって、ここに二人の有罪判決を言い渡します!」 わぁ!っとデリラを始め、傍聴席の貴族や帝国民達が一斉に歓喜の声を上げる。 その時———。 「裁判長、少し宜しでしょうか。」 アイザック様……? 傍聴席のアイザック様が立ち上がり、裁判長に挙手をして訴える。 彼は裁判長に何かを見せたよ
「私———リーリエ・アスターグレンは、皇太子殿下とその妻、ロベリア・モンターニュの二人に罠に嵌められました。 二人は姦通の罪を誤魔化すため、私を罪人に仕立て上げたのです。」 手っ取り早く私の潔白を照明するには、公開裁判が一番だ。 早くに裁判所で手続きをしており、エドウィン達だけでなく、二人の罪を黙認した皇帝達も引き摺り出した。 この裁判で、私は関係者だけでなく、一般からも傍聴者を募る。 事実は、カディスの国民によって広げられるからだ。国民の口は遥かに緩い。瞬く間に私の無実が伝わるだろう。 「な!私達は姦通なんかしていません! この女が在位中も、清い関係でした!」 ———ロベリア。私がもう何者でもないからって、たいした口の利き方ね。 「被告人は静粛に。」 「裁判長、証人を呼んでも?」 「認めましょう。」 今回の裁判長は熟年のベテラン女性で、面識もある。 公正な判断をしてくれるだろう。 さっきまで原告席の私の隣にはアイザック様がいて…… なんの心配もいらないと、手を繋いでくれていた。優しい彼の前で、私は堂々と戦う。 ———証言台に現れたのは、アウトローの魔術師だ。 彼はアイザック様を見てはビクビクと怯えてる。 何をされたのか分からないけれど、とにかく都合がいい。 「私はロベリア様に依頼され……約3年の間、不妊になるよう魔術を施したワインを作っていました。 ロベリア様はそれを、元皇太子妃に飲ませると言っていました。皇太子殿下の子を産ませないようにと……」 「!!」「!?」 エドウィンも、ロベリアも、皇帝達も皆面白いほど顔が青ざめる。 身に覚えがあるみたいでよかった。 「こんなの嘘よ!あの女の作り話です!」
娼館に戻ってから数日後。 いよいよ、リーリエの反逆が始まった。 裁判の準備は順調のようだ。 その前に、リーリエがこっそりロベリアの元へ行って少し怖がらせたいと言う。 心配なので、私は付き添いたいと申し出た。 そうして、目にした彼女の鮮やかな脅迫の瞬間。何の心配もいらなかった。 私は今にも場所を選ばず、逞しい彼女を襲ってしまいそうになる。 あ……違う!私はリーリエのそばにいると、すぐ発情してしまうようだ。気を取り直そう。 「リーリエ様。先に娼館へお帰り下さい。私は少し用があります。」 彼女を転移魔術で戻した後、私は愚かなエドウィンの元へ向かった。 魔術で、エドウィンが暮らす皇太子宮へ音もなく転移して。 「まさか……兄さん?」 実は、私が魔獣退治で忙しい時に…… リーリエにかけておいた防護魔術に、こいつの気配が引っかかったのだ。 大事に至らなかったのは、覚醒したリーリエが徹底抗戦したからだ。 それがなければ、リーリエに手を出したエドウィンは私のかけておいた魔術によって死んでいたはず。 死んでよかったのに。 まったく、リーリエは優しいのだから。女神だな。 まあ、もし本当にエドウィンが彼女に手を出していたら、直に私が殺していたけれど。 彼はガウン姿で、よろよろとベッドから這い出た。 まるで恐ろしいものでも見るよう。そんなエドウィンに、私は容赦なく近づく。 やがて彼の襟元を掴んで、冷酷に告げた。 「私は言ったよな? 必ずリーリエを幸せにしろって。」 ガクガクと彼の唇は面白いほど震えた。 私がいかにすごい魔力を持っているか、知っているんだ、こいつは。 ずっと私を妬んで、つけ回していたから。 「しかし兄さん……!彼女は結婚してからすごく傲慢で、私の仕事を取り上げたりし
戸惑う私にアイザック様はどこか可笑しそうに微笑された。 「さあ。リーリエ様。私と共にベッドへ。」 「なぜ私の名前を………」 先程男主人から私には「リリー」という商売名が与えられたばかりだというのに。 それに対してアイザック様は微笑されるのみ。 優しく誘われるように手を差し出され、ドキッと心臓が跳ねる。 何馬鹿な事を。エドウィン様に裏切られてもう男など懲りたはず。 単にこの人は商品である私を買い、欲の発散に抱くだけなのだから。
朝目覚めると。扉を開けて部屋に入ってきたロベリアや、他の女官数名が悲鳴をあげた。 私は裸で、隣には………エドウィン様が寝ているものだとばかり。 「きゃあああ!!皇太子妃様、その男は一体誰ですか!!」 「まさか、皇太子妃ともあろう者が不貞行為を犯すなんて………!!」 ロベリア。貴方にはもう来るなと言っておいたのに、なぜその場にいるの? それに人の夫と不貞行為を犯したのは…… 「申し訳ございません、皇太子妃様!! 誘いを断れずに……殿下に触れた私の罪でございます!!」 床にひれ伏す見慣れない男。 証言が狂気じみてる。 こんな男知らない。何も覚えてないのに。 事態は
かつてこの宮廷で法を犯し、皇帝陛下と不貞行為を働いた子爵夫人は重い罰を与えられこの帝国を追放された。 今度もそうであって欲しかったのに。 ロベリアは全てが暴露され、皇帝陛下が事態を把握したはずなのに私の目の前に堂々と立ち、太々しく言った。 彼の子を妊娠した伯爵令嬢ロベリア。 美しい桜色の髪に金色の瞳。 社交界の花と言われる程の美貌の持ち主。 「陛下が特別に赦免《しゃめん》下さるそうです。 皇太子殿下の血を引く子供の母親だからと。 ……許してね?リーリエ。私、エドウィン様を愛してしまったの。 ここにはすでに愛おしい彼の子が宿っているのよ。」 彼女が大事そうに自身の腹を撫で
もう駄目。逃げられない。遂にあの人の逞《たくま》しい手が伸びてきて…… 今夜こそ、私は彼に蕩《とろ》けるほどに……… *** 「リーリエ。頼みがある。 どうか皇太子妃の座を、ロベリアに譲って欲しいのだが。」 「え?……ロベリアですって?」 「そうだ。彼女が私の子を妊娠した。 その子を正式な皇子として認知してやりたいのだ。だから、どうか頼む。」 穏やかな春の午後の事だった。 いつものように執務室で書類作成を手伝っていると、夫のエドウィン様に背中側から唐突にそう突きつけられた。 振り向くと、見慣れた皇太子の夫がそこにいた。 容姿は珍しい鶸色《ひわいろ》の髪に、灰色の瞳