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第9話

Auteur: ゆず
最近の投稿は、澪とのことばかりだった。

本気で好きなんだろうね。

タイムラインを更新すると、一番上に新しい投稿があった。

啓太からの投稿だ。

文章はなく、一枚の写真だけ。ペアリングをした私と彼が、手を繋いでいる写真だった。

コメント欄は大騒ぎになっていた。

一番乗りでコメントしたのは大輔で、相手は誰なんだと啓太に食い下がっていた。

でも啓太は彼を無視。他の人からのお祝いコメントには、一つひとつ丁寧に「ありがとう」と返信していた。

とうとう大輔までがお祝いのメッセージを送ったけど、啓太はやっぱりスルーしていた。

しびれを切らしたのか、大輔は啓太にダイレクトメッセージを送って、最近どうしたんだ、と聞いていた。

それでも、啓太は返信しなかった。

かといって大輔をブロックするわけでもなく、ただインスタに、私との写真を毎日二、三枚投稿するようになっただけだった。

とはいえ、まだ顔がはっきり写った写真は載せていない。

……

啓太との結婚式を翌日に控え、私は藤井家の屋敷を訪れていた。すると門の前で、前祝いに来たらしい大輔たちとばったり出くわした。

大輔の隣にいた澪が、私
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  • 家から追い出された養女の華麗なる帰還   第10話

    大輔は目を血走らせ、燃え盛るような怒りを剥き出しにしていた。しかし、大輔が啓太に殴りかかる前に、逆に蹴り飛ばされてしまった。怒り狂った獣のように、目を血走らせながら、大輔は啓太に向かって何度も叫んだ。「誰がてめぇなんかに妹をくれてやるか!あいつは俺の妹だ!俺のだぞ!」啓太は眉をひそめ、ボディーガードを呼んで大輔を追い出そうとしたが、私は彼の腕を掴んで止めた。私は啓太に向かって首を横に振った。啓太の表情が険しくなり、私の手を強く握り返そうとしてきた。でも、その前に私は大輔の前に立っていた。そして、彼の頬を思いっきりひっぱたいた。「分かってるでしょ。私はあなたの義理の妹でしかないの。私が誰と結婚しようが、あなたには関係ないはずよ。それに、育ててもらったお金は、利子をつけて全部返した。父は、あなたの父親を助けて死んだのよ。あんたたち松浦家には、何の借りもないわ!あんたたちとは、もう何の関係もないのよ!だから、もう二度とそんな気持ち悪いこと言わないで!」一発ひっぱただけでは気が収まらず、私は彼のもう片方の頬も力いっぱい叩いた。それから、啓太の手を取って家に帰った。あの日以来、大輔とは二度と会っていない。松浦家に関わる人たちの連絡先も、すべてブロックした。けれど、一ヶ月後。家を出ようとしたら、玄関先で美智子が待っていた。この間、何があったのか。いつもは身なりに気を使っている美智子だったが、その日は髪もボサボサで、目の下には深い隈ができていて、ひどくやつれた様子だった。私の顔を見るなり、彼女は目を真っ赤にして駆け寄ってきた。「楓、お願い。大輔に会ってやってくれないかしら」美智子の話によると、大輔は最近ひどく荒れているらしかった。一日中部屋に引きこもって飲まず食わず。かと思えば、家を飛び出してはお酒に溺れて喧嘩ばかりしているという。体中傷だらけなのに、手当てもしようとしないそうだ。今度は、誰かとカーレースをして崖から転落し、集中治療室に運ばれたらしい。今も意識不明の状態が続いているらしい。「楓、大輔はあなたのことが好きなの。澪とはもう別れたわ。全部私のせいなの、あの時あなたたちを反対しなければ……お願いだから、大輔に会ってあげてちょうだい……」私は、美智子に掴まれた手を振りほどいた

  • 家から追い出された養女の華麗なる帰還   第9話

    最近の投稿は、澪とのことばかりだった。本気で好きなんだろうね。タイムラインを更新すると、一番上に新しい投稿があった。啓太からの投稿だ。文章はなく、一枚の写真だけ。ペアリングをした私と彼が、手を繋いでいる写真だった。コメント欄は大騒ぎになっていた。一番乗りでコメントしたのは大輔で、相手は誰なんだと啓太に食い下がっていた。でも啓太は彼を無視。他の人からのお祝いコメントには、一つひとつ丁寧に「ありがとう」と返信していた。とうとう大輔までがお祝いのメッセージを送ったけど、啓太はやっぱりスルーしていた。しびれを切らしたのか、大輔は啓太にダイレクトメッセージを送って、最近どうしたんだ、と聞いていた。それでも、啓太は返信しなかった。かといって大輔をブロックするわけでもなく、ただインスタに、私との写真を毎日二、三枚投稿するようになっただけだった。とはいえ、まだ顔がはっきり写った写真は載せていない。……啓太との結婚式を翌日に控え、私は藤井家の屋敷を訪れていた。すると門の前で、前祝いに来たらしい大輔たちとばったり出くわした。大輔の隣にいた澪が、私に気づいて驚きの声を上げた。「楓、どうしてこんな所まで来たの!」その声に振り返った大輔は、私を見るなり、その口元には、隠しきれない嘲りが浮かんでいた。彼は腕を組むと、顎をしゃくって私を見下ろした。「なんだ、自分が悪かったとやっと分かったか?こっちに来い」私は彼を無視し、屋敷の中へと足を進めた。大輔はカッと顔色を変え、私の前に立ちはだかった。「楓、何してる!ここは松浦家じゃない、お前が騒ぎを起こしていい場所じゃないんだぞ!」私は思わず眉をひそめた。大輔って、本当にうっとうしい。澪も近づいてきて、私を落ち着かせようとした。「楓、ここは藤井家なのよ。あなたが勝手に入っていい場所じゃないわ。もし藤井家の方々の機嫌を損ねたら、誰も庇ってくれないのよ。大人しく帰ってちょうだい。話があるなら、私と大輔さんが戻ってから聞いてあげるから」澪が言い終わるか終わらないかのうちに、屋敷の中から男の子が一人、駆け寄ってきた。啓太の叔父の息子だ。まだ五、六歳くらいの小さな子だ。きょろきょろと辺りを見回していた彼は、私を見つけると、ぱっと顔を輝かせた。「お

  • 家から追い出された養女の華麗なる帰還   第8話

    「楓、ごめんなさいね……」やっぱり……私は微笑んだ。幸子に何かを言おうと口を開きかけた時、彼女は突然私の手を握って、心配するように話し始めた。「勝手にあなたのことを調べちゃったの。だから、あなたの事情は全部知ってるわ。でも安心して、これからは私が、お母さんのようにあなたのことを大切にするわ。啓太のことよりも、あなたのことをずっと可愛がってみせるわ!」私はあっけにとられて、その場で固まってしまった。でも、幸子はそんな私をあっという間に車の中へと促した。「啓太はあなたのことを全然教えてくれないし。だからどうしても気になって、自分で調べちゃったのよ。楓、本当にごめんね。あなたは本当に優秀な子なのね。国内でトップクラスの大学に受かって、海外でも指折りの学校に通っていたんでしょう?それにあなたの研究チームの成果が、この間、世界的なコンクールで一位になったって聞いたわ。それに比べてうちの啓太ったら、お金を稼ぐことくらいしか取り柄がないんだから。正直、あなたには釣り合わないわよね……」幸子は私の手を握ったまま、たくさん話してくれた。その言葉の一つ一つが胸に響いて、私はとうとう目頭が熱くなってしまった。幸子はその日のうちに私を連れてウェディングドレスをオーダーしに行き、次の日には招待状を発送した。三日目と四日目は買い物に連れて行ってくれて、五日目には、夜を徹して作られたドレスがもう仕上がっていた。正直なところ、結婚式の準備って、本当に疲れるものなのね。ウェディングフォトの撮影が終わって、やっと一息つくことができた。そういえば、ここ何日もスマホを見る暇がなかった。今日、久しぶりに手に取ってみると、たくさんの着信とメッセージが届いていた。その中でも一番多かったのが、大輔からのメッセージだった。送られてきたのは、手の写真のスクリーンショット。啓太が先日のビデオ通話を切った時に、偶然映り込んだ手だった。【これ誰の手だ?男の手なのか?】【楓、たいしたもんだな。男を使って芝居するなんて。お前の周りによからぬ男が現れたからって、俺が昔みたいに心配するとでも思ったか?俺の気を引きたいのか?いい加減、そんな子供じみた真似はやめろ!】……【楓、俺の我慢にも限界があるぞ。おとなしくしていれば、義理の妹として認めてやらんでもない。

  • 家から追い出された養女の華麗なる帰還   第7話

    私が小さく呻くと、啓太は私を回り込み、スマホを奪い取って一方的に通話を切った。さっきまでは私から仕掛けていたのに、啓太は微動だにせず、ただそこに座っているだけだった。電話を切ると、啓太は私の後頭部を押さえつけ、顔を引き寄せた。「まだ、あいつのことを考えているのか?」その声は、氷のように冷たかった。言い返そうとしたけど、考え直して口を閉ざした。だってさっきまで、彼は私を無視していたじゃない。啓太の瞳が、さらに暗く沈んだ。「あいつのことは考えるな」啓太と熱いキスを交わしている時、家のドアがかすかに音を立てた。啓太はとっさにブランケットを私に被せた。鋭い視線でドアの方を睨むと、そこからひょっこりと顔が現れた。ドアの前に現れたのは、啓太とどこか面影が似ている女性だった。年は中年くらいのはずだけど、とても若々しくて、気品が漂っている。その女性を見て、啓太は警戒を解いた。そして、呆れたような声を出した。「母さん、なんでここにいるんだよ」ブランケットの下で、私の体はカチコチに凍り付いてしまった。五分後。私は急いで服を着て、真っ赤な顔でリビングに立っていた。気まずさで体が固まりながら、啓太の母親である藤井幸子(ふじい さちこ)の方を向いて挨拶した。「お、おばさま、こんにちは……」啓太と私のことは、ご家族は知らないはずだから。私は俯いたまま、幸子の顔をまともに見られなかった。三年前、大輔に告白して失敗し、松浦家から追い出されるように留学させられた時のことが、頭の中を駆け巡る。ふと、頭上に影が差した。啓太が私の前に立ち、光を遮っている。彼は黙ったまま、落ち着いた様子で幸子を見ていた。幸子も黙っている。この重い空気に私が耐えられなくなった時、突然、彼女が嬉しそうな声を上げた。「あったわ!」顔を上げると、幸子はスマホを手にしていた。画面に映っているのはカレンダーだ。「今月の八日、どうかしら?あと十日もあるし、今から帰って結婚式の準備を進めるわね!」「えっ???」何がなんだか分からない。私が状況を飲み込めずにいると、啓太がもう返事をしていた。「オッケー」「はぁっ!?」幸子は大喜びで、啓太をぐいっと脇に押しやった。そして私の腕を取ると、しげしげと私を眺め始めた。その笑顔は

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    私が研究に没頭したいと言えば、彼は研究室まで用意してくれた。一人でいたくないと言えば、海外に会社を作ってまで、そばにいてくれた。まるまる三年間、ずっと。その間、松浦家から連絡が来ることは一切なかった。……これ以上、啓太に迷惑をかけたくないって、ちゃんと説明したかったのに。でも、そう言った途端、啓太の周りの空気は一変し、凍てついたようなオーラを放ち始めた。掴んでいた袖さえも、振り払われてしまった。今度はこっちがカチンときた。「啓太、こっち向いて」彼は二秒ほど黙った後、こちらを向いた。でも、その完璧なまでに整った顔は冷たく、相変わらず黙ったままだった。もういい。話したくないなら、別に。私も黙った。私は車の後部座席に寄りかかって、目を閉じた。最初は寝たふりをするつもりだったけど、いつの間にか本当に眠ってしまった。次に目が覚めたときには、もう家に着いていた。食事の準備もできていた。私の好きなものばかり。今日の松浦家のパーティーではほとんど何も食べていなかったから、確かにお腹がぺこぺこだった。啓太はソファでリモート会議をしていた。私に気づくと、こちらをちらっと見てから、会議を終えた。スマホを切ると、彼はそれを傍に置き、代わりに経済雑誌を読み始めた。私は彼のそばに歩み寄り、その膝の上に乗ると、両腕を首に回した。彼は抵抗しなかった。私は調子に乗って言った。「お腹すいた。食べさせて」啓太は片腕で私を支えながら、ダイニングテーブルまで連れて行ってくれた。私が膝から降りずにいると、彼は根気よく椅子に座ったまま、料理を私の口に運んでくれた。お腹が満たされてくると、私の手は彼の体を這い始めた。彼は私の手を抑えつけ、目で「よせ」と警告してきた。残念ながら、私は彼の言いなりになるような女ではない。私は彼の手を取って自分の腰に回させ、首に腕を絡めて、ぐっと引き寄せた。最高潮に達したその時、スマホの画面にビデオ通話の通知がポップアップした。いいところで邪魔をされると、本当に腹が立つ。相手を見ずに、手探りで電話を切ろうとしたら、間違って通話ボタンに触れてしまった。スマホから聞き覚えのある声が聞こえてきた。「楓!大輔さんが酔っ払ってるんだ。早く迎えに来てやって

  • 家から追い出された養女の華麗なる帰還   第5話

    「どうしても聞き分けがないって言うなら、澪に謝れ」大輔は鼻で笑うと、私の手を振り払い、澪の肩を抱き寄せた。「お前がさっき、澪を押したんだろ」澪は、大輔の腕の中で口の端を吊り上げた。でも、私のことを見ると、すぐに目に涙を浮かべた。「大丈夫よ、大輔さん。楓もわざとじゃないのよ、あなたのことが、ほんとに好きなんだから。楓、私は大丈夫よ。大輔さんのお母さんや大輔さんと喧嘩しないで」澪は囁くような声で、いかにも物分かりのいい女を演じていた。大輔は、冷たい目つきで私を睨みつけた。「選択肢は二つだ。一つ、澪に謝れ。二つ、二階の部屋に引っ込んで大人しくしていることだ。さもないと……」「ごめんなさい」私は、大輔の言葉を遮った。「これで満足?足りないなら、何度でも言ってあげるけど」大輔は一瞬きょとんとしていたが、すぐに怒りを露わにした。「へえ、そうか。海外で3年も暮らしていると、そんな口の利き方を覚えるのか?俺にそんな態度をとれば、お前のわがままを許すとでも思ったか!」私はもう大輔に目もくれず、背を向けて松浦家を後にした。美智子にひっぱたかれた時、啓太が近づいてきた。でも、私が目配せをして止めた。松浦家の問題に、彼を巻き込みたくなかったから。車の中、啓太は不機嫌そうな顔で私の手首を取り、黙って薬を塗ってくれた。手当てが終わると、彼は私の手をそっと横に置き、何も言わずに前を向いたままだった。ああ、怒ってるね、って私は分かった。私はわざとへらへら笑いながら彼にすり寄り、啓太の袖をちょんちょんと引っ張ってみた。「怒ってる?」返事はない。私はため息をつくと、彼の手を握った。「ただ、何でもかんでもあなたに頼りたくなかったの」松浦家に海外へ送られた初日に、私は運悪く海外で流行していたウイルスに感染してしまった。あの頃、私は一銭も持っていなかった。身の回りのものを全て売り払い、やっとのことで借りられたのは、ベッドが一つ置けるだけの古びたアパートだった。高熱でふらふらになりながらも、体を酷使して皿洗いや洗い物の仕事を続け、一日五つのバイトを掛け持ちし、何度も洗い場の前で意識を失いそうになった時、救いの手を差し伸べてくれたのは啓太だった。海外なんて、生まれて初めてだった。右

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