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第9話

Author: 塩梅
時也は警察官の言葉を聞き入れなかった。

彼の瞼が数回痙攣し、また激情に駆られて立ち上がり抗議した。

「雪乃に会わせろ!あいつが死ぬなんて信じない!

流産……流産なんてありえない。俺たち五年も子供ができなかったのに……

あいつは絶対に嘘をついてる。絶対に芝居をしてるんだ……」

そう言いながら、直接部屋を飛び出そうとした。

警察官は時也の様子がおかしいと見て、即座に彼を押さえつけ、拘束した。

時也は床に押さえつけられながらも、もがき続け、叫び続けた。

「雪乃に会わせろ!あいつが死ぬなんて信じない!ありえない!」

私は時也の真っ赤な目と凶暴な表情を見て、悲しく微かに首を横に振った。

私が死ねば、あなたはこの結婚から解放されて、柚月と二人で添い遂げられるのに。

こういう結末があなたの望んだ事じゃないの?

なぜ嬉しくなさそうで、満足してなさそうなのか?

警察官は力を込めて時也を押さえつけ、警察署全体に時也の声を張り上げた叫び声が響き渡った。

だが急に、その声が途絶えた。

時也も、まるで全ての力を吸い取られたかのように、もがくのをやめた。

彼は伏せたまま、額で床を何度も何度も叩いた。

「雪乃に会わせてくれ。会わせてくれ……

あいつが死ぬなんて信じない。信じない……

雪乃、もう怒らないでくれ。謝るから……」

言葉の間に、途切れ途切れの嗚咽が混じっていた。

私は信じられなかった。

しゃがみ込んで、頭をかがめて見てみた。

時也の涙が、すでに顔中に流れていた。

彼は力なく咽び泣きながら、必死に首を捻って警察を見た。

「会わせてください。お願い、一目だけでいいんだ……

あいつは死ぬわけがない。あんなに俺を愛してるのに、死ぬわけがない……」

警察はもちろん、彼の無理な要求を簡単には認めなかった。

念のため、彼らは母に電話をかけて、多くの詳細を確認した。

それ以外にも、警察は各所の監視カメラ映像を調べ、詳細な照合調査を行った。

慎重な仕事を経て、警察は私が時也がドアを叩きつけて出て行った後に事故に遭ったことを確認した。

時也は、当然のように拘束された。

だが警察の尋問に対し、時也は魂が抜けたように、何度も何度も同じことしか言わなかった。

「お願いだ。雪乃を一目だけ見させてください。一目だけでいいんだ……」

懇願しながら、また
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