LOGINその代わりに、別の熱が広がっていく。 もっと柔らかい熱。 もっと優しい熱。 もっと愛情に満ちた熱。 私の唇の痕が、彼の手が残した痕を少しずつ覆っていく。 彼の手は私を支えている。 私を愛している。 そして私自身の唇と同じように、私を癒やしている。 私は顎の線に沿って下りていく。 顎にキスをする。 唇の端に。 耳たぶに。 自分で届く範囲の顔すべてにキスをする。 彼の暴力が触れたすべての場所。 まるでこのキスによって、ただ一度の平手打ちだけではなく、過去のすべての暴力を消し去れるかのように。 過去のすべての痛みを。 幼い頃から積み重なってきたすべての恐怖を。 彼はずっと私を抱いている。 手は私の身体に置かれている。 目は私を見つめている。 その存在すべてが、私だけに集中している。 そして私は理解する。 この奇妙な儀式は、ただの許しではない。 ただの修復でもない。
私の中に築いていた防御が、一つずつ崩れていく。 怒りが、太陽の下の雪のように溶けていく。 疑いが消えていく。 そして、彼の瞳の熱の中へ吸い込まれていく。 「許します」 彼は目を閉じる。 安堵する。 そして私の額に自分の額を重ねる。 私たちはそのまま長い間、動かなかった。 呼吸を重ね。 恐怖を静め。 心臓の鼓動を同じリズムに合わせながら。 やがて彼は少しだけ身体を離す。 それでも私の顔から手を離さない。 そして、その声が低くなる。 掠れていく。 より親密なものへ変わっていく。 「では今度は、口を使って本当に私を許してほしい。言葉ではなく。君の唇で。君の舌で。君のすべてで」 「どういう意味ですか?」 「私の手が殴った場所を、一つ一つキスしてほしい。君の顔に残った場所を。私が傷つけた場所すべてを。君がそうしている間、私は君を抱いて、君を見つめ、黙って君を愛する」 私は理解する。 これが彼にとっての赦しなのだ。 自分が傷つ
何も考えられない。 何も理解できない。 ただ、その音と、痛みと、頬に走る熱だけが存在している。 私たちは二人とも動かなかった。 彼の手はまだ上がっている。 掌は衝撃で赤くなっている。 私は頬を押さえることもできず、目を大きく見開いたまま、息を詰めていた。 「テオ……私は……すまない。そんなつもりじゃ……こんなことをするべきじゃなかった……」 彼は近づいてくる。 触れようとする。 直そうとする。 消そうとする。 けれど私は一歩下がる。 そしてもう一歩。 背中が壁にぶつかる。 「触らないで」 「テオ、頼む……本当にすまない。自分でも何が起きたのか分からない。怒りと、苛立ちと、君を失うことへの恐怖が……お願いだ、許してくれ。君が望むことなら何でもする。必要なことなら何でもする。でも、そんな目で私を見ないでくれ」 彼は膝をつく。 私の前に。 裁判官が、膝をついた。 三度目だった。 けれど今回は、私にキスするためでもない。 私を誘惑するためでもない。 私を手に入れるためでもない。 私の許しを請うため。 慈悲を乞うため。 そして、自分がこれまで他の人間を捨ててきたように、私から捨てられないように懇願するためだった。 彼は私の顔を両手で包む。 壊れやすいものを扱うように。 大切なものを扱うように。 代わりのないものを扱うように。 指が私の肌の上で震えている。 彼の手が残した赤い跡を、そっと撫でる。 「私を見て、テオ。私を見て」 私は彼を見る。 その目には涙が満ちている。 後悔がある。 そして、私たちがまだ名前をつけていない何かがある。 それでも、最初から私たちの間に存在していた何かが。 「愛している。君を愛している。これまで誰も愛したことがないほどに。私自身が恐ろしくなるほどに。私を超えてしまうほどに。私を変えてしまうほどに愛している。そして、あの平手打ち、あの暴力は、私が怖くなったときに知っている唯一のやり方だった。私が受け継いだものだ。私の呪いだ。私の牢獄だ。でも、君のために変わりたい。人を傷つけずに愛することを学びたい。奪わずに与えることを学びたい。自分を守らなくても脆くなれることを学びたい。私を助けてくれ。お願い
「何人? 正確に。私より前に何人の男がいた? 数字が欲しい。名前が欲しい。顔が見たい」 彼は立ち上がる。 苛立ち。 疲労。 憤り。 それが顔に浮かぶ。 「テオ、昨日もう話しただろう。私は君に真実を話した。何が足りない?」 「完全な真実です。一般論じゃない。詳細が知りたい。私は、自分が何人目なのか知りたい。私が本当に違うのか知りたい。あなたの涙も、あなたの優しさも、私が眠っている夜に私を見つめていることも、全部私のためなのか、それとも次にここへ来る人間のためなのか、それを知りたい」 彼は私へ近づく。 怒りが込み上げてくるのが分かる。 瞳が暗くなる。 顎が固くなる。 拳が握り締められる。 「君は違うと言っただろう。君が最初に入ってきた人間だと言った。私が言えることはすべて言った。それ以上、何が欲しい? 証拠か? 行動か? 証拠なんて渡せない。私にできるのは、言葉を与えることだけだ。男としての言葉を。裁判官としてではない」 「あなたの言葉? 一生、人に嘘をついて、操って、身体を戦利品のように集めてきた男の言葉を? どうして私が信じる? どうして信じなければならない?」 平手が飛んできた。 私がそれを予測するより先に。 手を上げて身を守るより先に。 何かをすることができるより先に。 彼の手が私の頬を打つ。 乾いた音が響いた。 頭が横へ振られる。 息が止まる。 私は呆然とした。
ほとんど懇願するような目だった。 彼は私の返事を待っている。 最後の審判を待つ人間のように。 「信じてくれ。お願いだ。私を信じてくれ」 私は長い間、彼を見つめる。 彼の目の中に。 顔の中に。 その存在すべての中に。 嘘の痕跡を探す。 真実ではないものを探す。 けれど、何も見つからない。 ただ一人の男がいるだけだった。 裸になった男。 脆い男。 怯えている男。 私という存在に怯えている男。 私が彼に何をしてしまうのかを恐れている男。 「信じます」 彼は目を閉じる。 安堵する。 そして、私が予想もしなかった動きで私を抱き寄せる。 乱暴に。 情熱的に。 絶望的なほどに。 彼は私を強く抱き締める。 息が苦しくなるほどに。 衣服越しにも身体のすべての筋肉を感じるほどに。 そして、服の厚みを越えて心臓の鼓動を感じるほどに。 私たちは長い間、非常に長い間、執務室の沈黙の中で抱き合っていた。 言葉もなく。 それ以上の動きもなく。 ただ、互いの身体が少しずつ相手を受け入れていく。 互いの心臓が同じリズムを探し、互いの呼吸が重なっていく。 テオ 十
隠れられる場所を探す。 どこかに身を隠して、彼女の言葉から逃げたかった。 彼女の真実から。 私の心へ流し込まれた毒から。 けれど、その言葉は私を追ってくる。 頭の中で響き続ける。 身体の中へ食い込み続ける。 おもちゃ。 代わりのきく存在。 忘れられる存在。 私より前に何十人。 写真。 涙。 手口。 芝居。 罠。 今夜、彼の執務室へ入ったとき、私はもう以前の私ではなかった。 長い一日だった。 長すぎる一日。 疑いと恐怖と、答えのない問いに満ちた一日。 私はすぐに膝をつかなかった。 立ったまま、彼と向き合う。 拳を握り締める。 目は硬く。 身体全体が、張り詰めた弓のように緊張している。 「マイトル・ヴァイスとは誰ですか?」 彼は書類から顔を上げる。 私の声に驚いている。 私の姿勢に。 私から滲み出る、抑え込まれた激しさに。 「同僚だ。弁護士だよ。かなり優秀な弁護士でもある。どうした?」 「今日、彼女に話しかけられました。廊下で。いろいろ言われました」 彼はペンを置く。 そして私の方へ身体を向ける。 急に注意を集中させた。