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第390話

Author: 藤崎 美咲
崇志は瑞原市であらゆる手を使って、やっと白石家と冬川家の両家を味方につけ、水野家の瑞原市での立場を固めた。

もし子どもが十数人もいなかったり、そもそも水野家を引き継ぐ能力がなかったり、年齢が幼すぎたりしたら、彼は遥生を戻すことなど決して許さなかっただろう。

遥生はこの展開を予想していた。目は冷たく、淡々と口を開いた。「お父さんが僕を戻したのは、水野家の将来のためだろう。水野家に避けられない損害がない限り、これから僕がどうするか、誰の許可も必要ないはずだ」

崇志は言葉を詰まらせた。

かつて彼は遥生にそう約束したのだ。

しかし――

「今、お前は冬川家を怒らせている!」崇志が怒声を上げる。

遥生は冷静に彼を見つめて答えた。「結衣は冬川家の者ではない」

崇志は目を見開いた。「でも彼女はもうすぐ悠真と結婚するんだぞ!しかもお腹には悠真の子どもがいるんだ!」

今回の冬川家が巨額の金を投じて結衣を迎え入れ、大々的な報道を押さえたことからも、冬川家が彼女を嫁として認めたのは明らかだった。

崇志は焦って言った。「すぐに冬川家に行き、謝罪し、すべては誤解だと公に説明しろ!」

「誤解?」

遥生は軽く笑った。

答えずに振り返り、そのまま歩き出す。

言葉はなくても、その行動で全てを示していた。

もし謝るつもりがあるなら、最初から自ら明かしたりはしない。

「もう一歩でも前に出たら、水野家での権限をすぐに剥奪するぞ!」

言葉が効かないと見るや、崇志は最後の手を出した。

彼は遥生が今回強硬に出たのは星乃の件が原因だと分かっていた。

星乃が死んでから、遥生は以前とは全く違う人間になっている。その怒りを結衣にぶつけているのだ。

しかし、星乃の遺骨はまだ見つかっておらず、遥生の弱点は残ったままだ。

水野家での権限を剥奪するということは、手中の人材と支援も全て失うことになる。そうなれば、星乃を探すのはさらに困難になる。

案の定、この言葉を聞いて遥生は足を止めた。

だが、崇志が安心する前に、遥生は軽く笑い、崇志を見る目にはわずかな軽蔑が浮かんだ。

「お父さん、やっぱり歳を取ると、判断は鈍るものだね」

崇志は一瞬言葉を失い、眉をしかめて不快そうに問い返す。「何を言う?」

遥生はゆっくりと口を開いた。「結衣はまだ冬川家に入っていないし、正式な嫁でもない。仮に悠
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