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第445話

Auteur: 藤崎 美咲
「医者から電話をもらって、すぐあなたを探しに来たの。まだ傷が治っていないから、今は退院できないって言われてたでしょ?」

そう言いながら、結衣はごく自然に悠真の腕に絡みついた。

だが今回は、悠真は表情を変えないまま、静かにその手を外した。

星乃は二人に目もくれず、空気を察して立ち去ろうとする。

「星乃」しかし結衣が突然、彼女を呼び止めた。

星乃は訝しげに振り返る。

――今度は何を企んでいるのだろう。

周囲をちらりと見渡し、星乃は笑って言った。「なに?謝りに来たの?

でも、あのとき言ったよね。謝るなら『公の場で謝る』って。今ここにいるのは私たち三人だけ。そんな謝罪、誠意がないと思っちゃうわ」

その言葉に、結衣の顔色が一気に青ざめた。

星乃の一言は、結衣のプライドを打ち砕くようなものだった。

結衣は少し怒りを覚えたが、必死に理性を保ちながら、唇の端を引き上げる。

そして片手で、そっとお腹を撫でた。

「謝罪の件は、あとでちゃんとあなたが納得する形にするわ。

それより……私、悠真の子を妊娠してるの。この子には何の罪もないの。だから、この子のためにも、どうか悠真のことを
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    「医者から電話をもらって、すぐあなたを探しに来たの。まだ傷が治っていないから、今は退院できないって言われてたでしょ?」そう言いながら、結衣はごく自然に悠真の腕に絡みついた。だが今回は、悠真は表情を変えないまま、静かにその手を外した。星乃は二人に目もくれず、空気を察して立ち去ろうとする。「星乃」しかし結衣が突然、彼女を呼び止めた。星乃は訝しげに振り返る。――今度は何を企んでいるのだろう。周囲をちらりと見渡し、星乃は笑って言った。「なに?謝りに来たの?でも、あのとき言ったよね。謝るなら『公の場で謝る』って。今ここにいるのは私たち三人だけ。そんな謝罪、誠意がないと思っちゃうわ」その言葉に、結衣の顔色が一気に青ざめた。星乃の一言は、結衣のプライドを打ち砕くようなものだった。結衣は少し怒りを覚えたが、必死に理性を保ちながら、唇の端を引き上げる。そして片手で、そっとお腹を撫でた。「謝罪の件は、あとでちゃんとあなたが納得する形にするわ。それより……私、悠真の子を妊娠してるの。この子には何の罪もないの。だから、この子のためにも、どうか悠真のことを気にかけてあげて。何かあるなら、退院してからにしてくれない?」結衣の言葉が終わると、悠真は彼女のお腹に視線を落とした。唇がわずかに動いたが、結局、何も言わなかった。星乃は思わず笑ってしまう。「まずね、私のところに来たのは彼のほうよ。私に頼むくらいなら、婚約者のあなたがちゃんと管理すればいいでしょ?それに、誰だって子どもが一人や二人くらいいるでしょ。私だって、律人との子が家で待ってて、そろそろミルクをあげなきゃいけないのよ」言い終わって、星乃はまずいことに気づいた。星乃が言った「子ども」とは、律人が飼っている子猫のジジのことだった。ジジは生後三か月で、栄養が足りないせいか、まだ小さくて痩せっぽちだ。ちょうど成長期だからと、星乃は毎日、キャットフードのほかに猫用ミルクも与えている。ただ、その匂いが気に入らないのか、ジジは自分からは絶対に飲まない。目の前に差し出してやって、ようやく半分ほど飲んでくれる程度だ。律人はよく、拗ねた口調で「本当に子どもみたいに甘やかしてるな」と言ってくる。そのたびに星乃は開き直って、「この子は私たちの子どもでしょ」と言い返し

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