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第3話

Author: 匿名
私は友人の険しい表情を見て、気まずさを誤魔化すように言葉を足した。

「たぶん下半期になるかな。結婚式の準備って面倒だから」

その場では、私の体面を考えたのか、慶人は黙り込み、それ以上反論しなかった。

けれど帰宅すると、彼は怒りをぶつけてきた。

「紗月!なんで俺を追い詰めるんだ?!俺はまだ二十五だぞ!」

――だから何?

私は彼を一瞥し、可笑しさすら覚えた。

付き合い始めて三年。最初の頃の彼は、いつも私の腕にしがみつき、夢見るような顔で「早く結婚したい」と言っていた。

誕生日に願ったことも、二年続けて「紗月と結婚したい」だった。

それが、たった一年で忘れてしまったのだろうか。

その夜の口論は結局、何の結論も出なかった。

彼が一方的に怒鳴り散らし、私はただ疲れ果てていただけだった。

頑なな表情を見つめながら、私はもう議論する気力すらなく、自分が本当に彼を追い詰めているのかどうかさえ考えるのをやめていた。

慶人は怒りに任せて家を飛び出し、そのまま夜明けまで帰ってこなかった。

――きっとあの日、悠里が彼を探しに来たのだろう。

でなければ、翌日すぐに「独身最後の夜に行く」と言い出すはずがなかった。

そして今日もまた、独身最後の夜。

電話口で悠里の催促が急かすように響き、私が言葉を発する前に、慶人は慌てて通話を切る。

深夜になってようやくメッセージが届く。

【紗月、俺はお前を一番愛してる。明日の夜は帰るから】

以前、ネットでこんな言葉を読んだことがある。

――夜遊びして帰ってこない男が、深夜に突然愛を囁くとき。

それは、一緒にいた女が用済みになった証拠だ。

そして案の定。

また別の番号から写真が送られてくる。

写真には、頬を染め、虚ろな眼差しを浮かべる慶人の姿が写っている。

【あんたが面倒見てくれるおかげで、私は楽させてもらってるわ。ありがとう】

相手の挑発は、私にはただ滑稽に映るだけだ。

スマホを閉じ、私は慶人へのメッセージにすぐには返事をしない。

結婚式まで、もう半年もない。

私が何も言わなければ、彼はその期間を「独身最後の夜」で埋め尽くすに違いない。

欲望を満たすために。そして、私への不満を示すために。

三年の関係で、彼はずっと私が離れられないと信じ込んでいる。

でも、それは間違いだ。

私はずっと冷静だった。

誰かがいなくても、人は生きていける。

結婚相手が誰であれ、それが結婚だ。

彼を選んだのは、ただ見栄えが良かったから。だから傍に置いただけ。

従えば、私は甘やかす。

裏切ったら、別のに取り替える。

清潔で、従順で、気持ちよく過ごせる人間を。

それだけのこと。

慶人は、もう前のように返事が来ないと執拗に追ってくることはしない。

時計を見ると、午前三時。

私はスマホを手に取り、あのメッセージに返信する。

【帰らなくていいって言ったのは、私たちが別れるって意味よ】

感情には始まりがあるように、終わりも必要だ。

付き合い始めたのが私なら、別れを告げるのも私で当然だ。

私は彼に十分すぎるほどの機会を与えた。

でも彼はそれを大切にしなかった。

もう十分に与えてきた。そう言ってもいい。

おばあちゃんの体は日に日に弱っている。

私は予定通り結婚しなければならない。

彼では駄目なら、別の誰かにすればいい。

グループチャットに書き込み、友人たちに新しい相手を紹介してほしいと頼む。

そのとき――ドアが叩かれる音。

一定の間隔で、ゆっくりと、静かな夜に響く。

私は立ち上がって扉を開ける。

そこに立っていたのは、平静を装いながらも震えている男だ。

片手にケーキを提げ、私の姿を見た瞬間、嬉しそうに顔をほころばせる。

「紗月」

震える声。けれど口調は揺るぎなく、真剣だ。

私が口を開く前に、彼はもう一度はっきりと言う。

「俺は……兄貴から、君を奪いに来た」
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