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第21話

Author: ちょうどよかった
剛はその場に立ち尽くし、二人が車で去っていくのを見送った。

黒い車が南を乗せて街角に消えていく様は、彼の人生から最後の光を奪い去っていくようだった。

彼はゆっくりと腰をかがめ、地面に落ちたネックレスを拾い上げた。

夕日がネックレスに当たり、冷たく刺すような光を反射した。

指の関節が白くなるほど強く握りしめ、ネックレスが掌に食い込んだが、痛みは感じなかった。

「どうしてこんなことに……」

彼は呟き、その声は風にかき消された。

剛は異国の街を放心状態で歩いた。南の問いかけが呪文のように耳元で繰り返される。

「私の足が踏み砕かれた時、あなたはどこにいた?」

「私が電気ショック台に縛り付けられた時、あなたはどこにいた?」

「私が焼き殺されそうになった時、あなたはどこにいたのよ!」

質問攻めが毒を塗った鞭のように、彼の心を打ち据えた。

今になってようやく、自分がどれほど深い傷を彼女に与えていたかを真に理解した。

カフェの前を通りかかると、ウィンドウガラスに自分の惨めな姿が映った。

これがかつて意気揚々としていた北村隊長なのか?

彼は苦笑して首を振った。

――自業自得だ、全くな。

知らず知らずのうちに、剛はまたあの別荘に戻っていた。

夜の帳が下り、窓から漏れる暖かな光が冷たい夜に柔らかさを添えていた。

その時、一台の車がゆっくりと近づき、門の前で停まった。

彼は反射的に木陰に身を隠した。

仁が先に降り、慎重に身をかがめて、車内から南を抱き上げた。

彼女は自然に仁の首に腕を回し、二人は見つめ合って笑った。その笑顔には阿吽の呼吸と優しさが満ちていた。

南の顔に浮かぶ久しぶりのリラックスした笑みは、切れ味の悪いナイフのように剛の心を往復した。

自分がいなくても、彼女はこんなに幸せになれるのだ。

そう悟った彼を耐え難いほど苦しめた。

記憶が潮のように押し寄せる。

新婚の頃、南も自分にこんな笑顔を見せていた。

目を細めて笑い、心を込めて家を飾り、趣向を凝らした食事を用意してくれた。

それなのに自分は?

彼女の心遣いを疎ましく思い、情熱を嫌がり、彼女の真心を無残に踏みにじった。

今思えば、彼女はどれほど傷ついたことだろう。

夜が更け、別荘の灯りが一つまた一つと消えていく。

剛はまだ木の下に立っていた。固まった彫像のように。

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