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第20話

Author: ちょうどよかった
夜のデートのために、南はクローゼットの前で午後いっぱいかけて服を選んだ。

一着一着手にとって比べ、最後に指先が止まったのは淡い紫のワンピースだった。

これは前回仁と一緒に買い物をした時、彼が特に選んでくれたものだ。

待ち合わせは六時なのに、四時にはもう期待で胸が高鳴っていた。

五時半、チャイムが鳴った。

彼女は弾むような気持ちでドアを開けたが、来訪者を見た瞬間、口元の笑みが消え失せた。

剛が、あまりにも唐突に視界に飛び込んできた。

彼は埃まみれで、髭は伸び放題、落ち窪んだ目には疲労が滲み、手に握りしめたベルベットの宝石箱は潰れそうだった。

「南」

彼の声はひどくかすれていた。

南はドアノブを握る手に力を込め、感情のない声で言った。

「どうしてここに?」

剛は一歩踏み出し、熱っぽい視線を向けた。

「やっと見つけた。南、一緒に帰ろう」

南は冷笑した。

「どこへ帰るの?北村家?それともあなたが私を送り込もうとした精神科病院?」

剛は顔を青ざめさせ、苦しげに言った。

「昔のことは俺が愚かだった。水島恵美に目を曇らされていたんだ。

あいつはもう報いを受けたよ。足は不自由になり、仕事も失い、子供を連れてチンピラと再婚した……」

南は彼を遮った。

「彼女がどうなろうと興味ないわ。それに、私たちはもう離婚したの。もうつきまとわないで」

剛は突然激昂した。

「あれはお前が一方的に申請しただけだ。俺は離婚しようなどと思ったことは一度もない!

南、過去にお前がつらい思いをしたのは分かってる。ほら、お前のためにプレゼントを買ったんだ」

彼は震える手で宝石箱を開けた。

「覚えてるか?このネックレス、俺たちが初めて会った時にお前がつけてたのと同じだ。あの日もお前は、こんな紫のドレスを着ていた」

南はネックレスに視線もくれず、きっぱりと言った。

「覚えてないわ」

その時、黒い車が門の前に停まった。

仁が車から降り、入り口の剛を見て足を止めた。

そしてすぐに近づき、自然な動作で南の隣に立った。

「南さん、こちらは?」

剛の目が鋭くなり、問い詰めた。

「お前は誰だ?」

南は無意識に仁の方へ半歩寄った。

「私の主治医の久我仁先生、そして私の友人よ」

その些細な動作が剛を刺し、彼は仁を睨みつけた。

「たかが医者が、俺たちのことに口
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