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第2話

Author: 佐藤まろ
数日間にわたって続いた結婚式の準備で、私は緊張のあまり長い間まともに眠れなかった。

私は目を閉じ、ようやくぐっすり眠れるだろうと期待しながら横になっていた。

すると突然圭一がドアを開けて部屋に入ってきた。私が目を閉じているのが見えても彼の足音は相変わらずわざとらしいほど重たかった。

結婚してからこんなに経つのに、彼は本当に一度も私の気持ちを気にしたことがない。

彼は容赦なく強い力で、寝たふりをしている私の肩を押した。「葵、起きろ」

私はあまり目を開けたくなかったが、圭一はため息をつき、私の頭の下の枕を引き抜こうとした。

あまりに不快で、私は仕方なく目を開け、たった今起きたふりをした。

「圭一、どうしたの?」

暗い灯りが彼の顔に影を落とし、私はその整った顔立ちに思わず見入ってしまった。

年齢とともに顔に刻まれた皺ですら、なぜか圭一をより冷たく上品に見せていた。

私が起きたのを見ると、圭一は勢いよく枕を引き抜き、私の頭の跡を軽く手でぽんぽんと叩いた。

彼は見下ろすように私を見つめながら言った。「この頃眠れないと言っていただろ?考えてみたんだが、俺たち別々に寝た方がいいんじゃないか」

圭一の冷たい目つきを見た瞬間、私の胸の奥がじんと痛んだ。

これは私の睡眠のためなんかではなく、彼は自分の初恋のために自分を律しているだけだ。

私は小さな声で答えた。「好きにしたらいいわ」

圭一は一瞬の迷いもなく、真っ直ぐ空き部屋に向かっていった。去っていく彼の手の中でまたスマホが光っていた。

五十近い年齢で、初恋相手と電話で甘い話を交わすのを心待ちにしているなんて。

私は鼻で笑い、再び布団に潜り込んだ。そのまま意識はゆっくりと沈んでいった。

夢の中で私は、圭一と初めて会った日のことを思い出していた。

彼は黄ばんだ白いシャツを着ていて、私たちは一緒に食事をした。

その時、私は彼の整った顔を見て胸が跳ね、家に帰るなりすぐ両親に圭一と結婚したいことを伝えた。

仲人から「圭一もあなたを気に入ったようだ」と聞いた時、私は嬉しすぎて二日ほど眠れなかった。

しかし結婚式を終えた初夜、私は思い切って圭一に気持ちを伝えようとしたが、彼は酒に酔い、誰かに支えられながら帰ってきた。圭一の顔には涙の跡があった。

その瞬間、私は、圭一は私を好きではないことを悟った。

結婚後も結婚前と同じく、圭一は相変わらず冷たく、私とは距離を置いていた。

私の心は長い長い年月をかけて、氷のように冷えていった。

こうして私たちは冷え切った夫婦になったのだった。

その夜は結局、私は全く熟睡できなかった。

そしてドアが激しく叩かれ、陽翔が朝食を作れと私を起こした。

朦朧としたまま時計を見ると、まだ五時にもなっていない。

眠い目を擦りながらドアを開けると、陽翔はすでにスーツ姿で髪も整え、瑠奈さんも緊張した表情で待っていた。

私は首を傾げながら聞いた。「あなたたち、八時出勤じゃなかった?」

陽翔は私を引きずって台所に押し込んだ。

「母さん、俺の仕事を手伝うのは母さんには無理だけど、玲さんにはできるんだよ。

父さんが玲さんを朝食に呼んだんだ。だから早く、豪華で胃に優しい朝食を作ってくれ」

その時、圭一も部屋から出てきて、一枚の手書きのメモを渡しながら言った。「これは玲が食べられないものだ。使わないように」

メモには玲さんの食べられないものがびっしり、数十種類も書かれていた。

私は思わず笑ってしまいながら、圭一に尋ねた。「圭一、私たちもうすぐ結婚して三十年になるけど、あなた、私が何が好きで何が嫌いか知ってる?」

圭一は眉間に深く皺を寄せて言った。「葵、こんな時にそんなわがままを言うな」

「そうだよ母さん。母さんの好みなんて今はどうでもいいだろ?玲さんがこの家に来ることの方がよっぽど大事だ。玲さんが助けてくれれば、俺のキャリアがいっぽ前に進むんだから」

私は長くため息をついた。圭一には腹が立つが、陽翔を放っておくことはできない。

たとえ陽翔にどれだけ傷つけられたとしても。

私は冷蔵庫を開け、あるだけの食材をかき集めて、無理やりではあったものの八種類の朝食向けの小鉢料理を作り上げた。
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