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第90話

مؤلف: るるね
last update تاريخ النشر: 2026-05-24 23:02:23

 紗月にとって、家へ帰らなかった夜は、これが初めてだった。

 彼女はそのまま会社に残り、正田から渡された資料を確認し続けていた。

 読み進めるほどに、フォルダの中には他部署の案件資料まで大量に混ざっていることに気づく。しかも、どこに問題があるのか明記されているわけでもない。

 紗月はひとつひとつファイルを開き、全文を読み込み、さらに社内オンラインストレージから関連するプロジェクト資料を探し出して照合していった。

 ひどく非効率な作業だった。

 それでも彼女は手を止めなかった。

 何か別のことに集中していなければ、頭の中に浮かんでくる慎一のことを、どうしても振り払えなかったからだ。

 愛していた人が、こんなにも醜く見えてしまう。

 その事実が、紗月には苦しかった。

 その夜、紗月は会社の仮眠室で過ごした。

 照明を落としても、室内は完全な暗闇にはならない。

 カーテンのない窓からは、向かいに立ち並ぶオフィスビル群の灯りが絶え間なく差し込み、白く滲んだ光が静かな仮眠室をぼんやりと照らしていた。

 紗月は眠れなかった。

 ソファに横になったまま、紗月はただ窓の外の夜景を眺めていた。

 仕事
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