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そんな…嘘でしょ?まさかルナールが!?

Author: Kaya
last update Last Updated: 2025-07-30 05:36:00

 え?ハグ?女同士のハグ?百合?

 まさか百合展開とかじゃないよね?

 そんなの原作に全くなかったよね?

 「う、うん、いいけど……」

 返事したと同時に、真正面からギュッと抱き締められた。厚い胸板に顔が埋まって息ができない。

 「う、ぷっ…ちょっ、ルナール?」

 「んー、アデリナ。

 お前、抱き心地最高だな。」

 やっと顔を上げたのにルナールはなぜか体をギュウギュウに絡めて、やっぱり私の髪の匂いを嗅いでくる。

 ちょっと、凄い力強いんですけど。

 押しても引いてもびくともしない。

 それにサラシを巻いて胸を隠してるにしては、脂肪分というより、かなり筋肉質な体をしている。

 山賊の頭領設定だから強いのは分かるけど、それにしても体は男そのものじゃない?

 「ルナール?ねえ、ちょっと、ルナー……」

 暫くそうしてると、自分の脹脛辺りに何かゴツンと硬いものが当たった。

 「え………?」

 「何だよ。アデリナ。俺は女、なんだろ?」

 見上げたら、ルナールの少し優し気な瞳と目が合う。

 だが同時に意地悪そうな口元の笑みも一緒に映った。それにはドキッというよりギクって表現が相応しい。

 え?え?何?何が?何で?何これ。

 ルナールは女だよね?

 そんな設定だったよね?ローランドに恋する不憫な……

 「ステータス、おーぷん…」

 ごくりと唾を飲み込んで、私はウィンドウ画面を出現させた。

 [ルナール▷本名レェーヴ

 正体▷男装した女を装った、男

 ルナールの兄

 21歳

 Lv89

 アデリナを堪能中

 現在の親密度55 体温37.4]

 ………なん、だ、これは。

 男装した女を装った&helli
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     扉を切り裂いてまで私とレェーヴの間に入ってくるローランド。最早ギャグでしかない。 しかし助かった!!ナイスローランド!! 「へ、陛下ぁ……」 自分ではよく分からなかったが、実は私は緊張していたらしい。 半ば泣きべそをかきながら、レェーヴの手を離れ、ローランドの真後ろに回り込んだ。 「やっぱり、こんな事だろうと思っていた。 だから私が言っただろう! こいつは男だって!」 「……ほ、本当に!!陛下が鈍いなんて思ってごめんなさい!」 完全に原作を信じ切っていた!私はルナールを女だと思い込んでたけど、ローランドは本能的に分かっていたの? さすが氷の王!侮れない……! 反省して啜り泣く、情けない私の顔を始めは怒り気味に見下ろしていたローランドだったが、次第にその顔は崩れて、悩まし気な瞳をする。 剣を鞘に納め、私の方に向き直る。 骨ばった大きな手がそっと私の頬に触れた。  「ほ……ほら。 分かったなら、もう……泣くな。 お前が泣くと、私はどうしていいか分からなくなる。」 「え……?どうしていいかって、どうもしなくていいですよ? いつも通りで……」 「いや、だから……そうじゃなくて。 あ、アデリ……」 「なあ。あんたらやっぱり仲いいの? 不仲っていうあの噂はデマなんだ? っていうか俺の事無視して、そこでイチャイチャするの止めてくれない? 馬鹿夫婦。」 「何だと……!」 ベッドの上で心底つまらなそうにこちらを眺めてるレェーヴの言葉に反応し、ローランドが再び剣鞘に触れる。 だー、まずいまずい! 「陛下!大丈夫

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     ◇ フィシ達は城の牢獄に閉じ込めてある。 王妃殺害未遂の罪も大きいが、この世界の契約書はかなり大きな意味を持つそうで、破れば相応の罰が下されるんだとか。 だからローランドも私との離婚を渋ってるのかも? 今後どうなるか分からないが、とにかく今夜はルナールを守れたし、良しとしよう。 「今夜はルナールと一緒に寝ます。 心配しないで。」 「いや……心配しかない!! 駄目だ!アデリナ!あれは間違いなく男だ! お前は一体何を言ってるんだ! お前は私の妻だぞ!もっと自覚しろ! だめだ、アデリナ!アデリナ!!!」 頑なにルナールを男と疑うローランドが、すごい剣幕で引き止めてきたが、とりあえず部屋から追い出して鍵を閉めた。 元々私がいた寝室にはレェーヴを押し付けた。  「は〜。これだから鈍感男は。」 「アデリナ、来い。」 「?貴方のベッドはあっちよ?」 なぜかルナールが人のベッドに横たわり、嬉しそうにシーツを叩いて呼んでる。 「えー、いいだろ? だって俺達友達だろ?一緒に寝ようぜ。」 どうやら私は「友達」というワードに弱いらしい。 長く主婦をして、夫の浮気に全神経注いで辟易していたせいか、友達と何かをして楽しむという事も忘れていた様だ。 「っ、しょうがないわね〜。」 とか言いつつ自分の口角は緩みまくりだ。 そっと狭いベッドに横になる。 ただ思った以上に狭いから、どうしてもルナールに体はくっついてしまう。 「アデリナ。お前、いい匂いするな。」 「そう?軽くお風呂入ったからかな。」  すん、とルナールが人の頭の匂いを嗅ぐ。 ひゃー!やっぱり山賊として、しかも頭領として長年男装してきたルナールの男らしさは、大したものだ。 これ絶対、知らない女なら惚れちゃうやつ。 白髪に近い綺麗な髪がさらりと枕に落ち、薄い灰色の

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     勇ましいローランドの姿に毎回ドキドキしてしまう。 これはルナールやリジーが惚れて当たり前。 やっぱり男主人公優遇されすぎ! 「あのっ、ありがとうございます。陛下。 私を話を信じてくれて。」 汗をかき、まだ息の乱れたローランドを見上げて私は素直に礼を言った。 「…当たり前だろう。夫が妻を信じなくてどうする。」 《今夜ルナールが奇襲される》 そんな、まだ起きてもいない事をローランドはあっさりと信じ、こうして来てくれた。 私の夫、本当に完璧だなぁ。 強いし、そして何だかんだでちゃんと守ってくれてる。 いくら政略結婚とはいえ、アデリナは一応妻だし、それが義務だもんね? たまに訳分からない誘惑もするけど本当にいい男だ。 暗殺者達は皆捕えられ、フィシは即座に拘束された。  「アデリナ………」 ふとローランドが手を伸ばし何か言いかけたけど、私はルナールの服が破れてる事に気付いて大慌て。 「ルナール…!服、破れてる!」 「え?ああ、本当だ。最初の一撃の時に奴らの剣が掠ったのか」  しかも胸元だ。 この場にいるのは私以外全員男! 誰にも聞かれないようにルナールにそっと耳打ちした。 「こっちへ来て、一緒に着替えましょう。」 「え?」 「大丈夫、貴方が女だって事、私には分かってるわ。」 「………!!………ふうん。 じゃあ、お願いしようかな?」 奥にある男性用のドレスルームに連れて行こうとすると、なぜかルナールに笑われてしまう。 「?とにかく、急いで。」 「アデリナ?」 不安そうな顔してローランドが私達を引き止めた。 「大丈夫です。ちょっとルナールを着替えさせるだけですから。 陛

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     やばい…!男主人公かっこよ過ぎ! あの後、まさにローランドが勢い良く部屋に突入してきた。 一本に束ねた綺麗な銀髪を揺らし、私とルナールを庇う様に前に立ち、暗殺者達を次から次へと華麗に倒していった。 血とか、血とか(動揺して2回言うよね)は本当にえぐいんだけど、目の前のローランドがあまりに無敵過ぎてつい見惚れてしまう。 その後に入ってきた味方の兵達も、見事に暗殺しゃ達を倒していった。 これがクブルクの真の実力。 だからアデリナは戦争で苦労したんだよね。 ローランドは勿論だけど、クブルク兵達も強過ぎ……! 敵にしたら厄介だけど味方なら心強すぎる! 「やめ、ローランド王、こっ、これには深い訳がっ」 とか何とか、床にへたり込んで言い訳をしているフィシにローランドは剣を向けた。 怖い顔して。久々に見る氷の王! 「私の妻を殺そうとした時点で重罪だ。 フィシ。王妃暗殺未遂と契約違反により、お前には厳しい罰を与える。」 「ひいっ………!」 ローランドは、以前私によく見せていた氷の様な眼差しをフィシに向けた。 一瞬にしてその場は制圧され、兵達はまだ動ける暗殺者達を捕縛していった。 圧倒的勝利である。 「……っ、何でっ、フィシの企みが分かったんだ?」 ルナールは唖然とした様子で、私の両腕を強く握った。 ルナール。良かった。何ともなくて…… 「何で……?うーん。 まあ、直感というか何というか。」 「だとしても………!!こんな昨日、今日会った相手を守ろうと捨て身で飛び込むなんて、あんたは馬鹿なのか!」 「確かに……! でも、ほら。ローラ……じゃない、陛下を信じてたから。」

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