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サディーク国の王太子と友達に?

Author: Kaya
last update Last Updated: 2025-08-22 05:06:00

 ◇

 外交という名の席を設ける。

 元々クブルクの外交官や、大臣達はサディーク国をよく思っていなかった。侵略を恐れているからだ。

 だが、どうだ。

 あれからレェーヴのアドバイス通りに、とある席を設けることに成功した。

 友達になる第一歩。

 つまりそれは飲み会……!!

 こちらの世界では酒宴というやつ。

 確かに、会社で苦手な人と仲良くなるなら、飲み会が一番手っ取り早かった。

 酒は人の警戒心を薄れさせるし、苦手意識を忘れさせてくれる。

 お互いの本音をついゆるっと語り合ううちに、友情という絆が生まれることもある!いけるんじゃない?

 「まさかクブルクの王妃様からお声がけ頂けるとは。以前からクブルク国とは親交してみたいと思っていたので、嬉しいかぎりですね。」

 これが。この男がサディーク国の王太子。

 オディロン・サディーク。

 ウェーブした茶髪に、派手な見た目。

 光り輝くピアスに宝石の指輪。

 ていうか、服は宝石だらけ。

 しかも馬鹿みたいなステータス。

 [オディロン▷サディーク国王太子

 31歳 Lv 78 

 性格▷とにかくチャラい 酒と女が大好き

 独身だが恋人が数十人いる

 野心家 隙あらばクブルク侵略したい]

 チャラ男か……苦手なタイプだ。

 だけどだからこそ、苦手意識を取り払って仲良くなるんだ!平和のために。

 隣国から、呼びかけに応じてわざわざ数週間かけて到着したサディーク国の王太子一行。

 さすがに大国だけあって、着ているものが全員めっちゃ豪華。

 持参した親交の証の品物も希少な宝石だったり、珍しい動物の毛皮や剥製、純金の盾や剣などかなりお高そうなものばかりだった。

 いや、決してクブルクが貧乏臭いというわけじゃない。

 ただ何か規模が違う……!

 今回同席したのは、参謀長官のレェーヴ、それ

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