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謎の集団による襲撃!ピンチを救ってくれたのは

Author: Kaya
last update Last Updated: 2025-07-07 16:17:00

 どこかで聞いた事あるような声。

 薄水色にも見える銀の髪。

 それが、暗闇を照らす松明の明かりの中で左右に揺れる。

 「ぎゃあああああ!!」

 こちらに手を伸ばしていた男の腕に、剣先がめり込む。

 遅れて血が吹き出した。顔に血が跳ねる。

 こんなにバイオレンスな瞬間を初めて目にし、私は全く動けなくなっていた。

 彼の背後にはたくさんの兵がいて、剣を持ち、馬で駆け回り、その場にいた男達を次々と薙ぎ倒していってる。

 これって、小説にも度々登場した、クブルクの騎兵隊……?

 軽装騎兵とかいう……

 「アデリナ………!アデリナ!!

 大丈夫か…………!!!」

 長めの剣を持ち、馬に乗り、目の前で男の腕を切り、中を蒼白な顔して覗き込む男。

 「ロー……ラン、ド?」

 切れ長の目が細められ、呼吸を荒げ、額にはダラリと汗が流れていた。

 眉を顰め、緊迫した表情で私をじっと見つめている。

 何で、ローランドがここにいるんだろう?

 そんなに必死で、一体どうしたの?

 ◇

 「バカ者………!

 王妃が護衛も付けずに城外に出るなんて、一体何を考えてるんだ!」

 確かに…………!!

 あの山賊の様な奴らは討伐され、私とホイットニーは無事にローランド達に救出された。

 御者は足を切られていたが、命に別状はないらしい。良かった。

 大量の松明を焚く、騎兵隊の一行。

 あの男達は一人だけ残し、あとは多分斬り殺されている。

 うわ。えぐう………

 私はと言うと、傾いた馬車の台座の上に座らされ、怪我してないかをローランドに念入りに確認された後、説教を食らっていた。

 「陛下、私がアデリナ様を無理やりお連れしたのです!責めるなら私を…!」

 「お前は黙っていろ。ホイットニー。

 お前には後からゆっくり尋問する。」

 必死になって庇ってくれたホイットニーを一瞥後、ローランド

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