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第2話

Author: チョウブーチ
顔を上げると、受付のスタッフが大きなスズランの花束を私のデスクに置いた。

ちょうどその時、陽斗からのメッセージが届く

【文乃、花は気に入った?迎えに行くから待ってて】

私は思わず口元を歪める。

これは陽斗が私を裏切った後の罪悪感に過ぎない。贈り物ではなく、償いなのだ。

かつては何度もサプライズに感動したが、あの中に真心がいくつあったのか、彼の情熱の後の後悔がいくつあったのか、私は知らない。

退勤すると、陽斗が車で待っている。

私の姿を見ると、彼はすぐに車から降りてドアを開け、手で私の頭を守りながら車に乗せる。身をかがめてシートベルトを締めてくれる。

会社の入口では同僚たちのからかいの声が上がり、私たちが毎日ラブコメディを演じていると冗談を言う者もいる。

陽斗は彼らに手を振って応えると、運転席に座る。

「文乃、僕がデザインしたウェディングドレスが届いたんだ。今日ちょうど試着に行こう。

どこか合わなければ、まだ直す時間があるから」

私はうなずく。

陽斗を見送るまで、何も知らないふりをして、この芝居を最後まで演じなければならない。

ブライダルサロンに入ると、陽斗は突然足を止め、硬直する。

彼の視線を追うと、和花がサテンのオフショルダーのウェディングドレスを着ているのが見える。襟元にはスズランの花が散りばめられ、頭には薄いベールをまとっている。

次の瞬間、陽斗の顔が曇った。

「僕がオーダーしたドレスがなぜ彼女に?」

傍にいた店員は慌てて説明した。

「黒川さん、この方がお名前を告げてご入店されたので、花嫁さんだと勘違いしてしまいまして……」

私は和花を見つめる。

「ウェディングドレスを着たからって、好きな人と結婚できると思う?」

陽斗の目にわずかな後ろめたさが走り、すぐに叱りつける。

「早く脱げ、文乃のウェディングドレスを着る資格はない」

「ただ文乃さんに代わって試着しただけなのに……」

和花は赤い目をして試着室に駆け込む。

ドレスを受け取ると、ウエストの縫い目はほつれ、襟元には鮮やかな口紅の跡がついている。

陽斗は慰める。

「汚れたドレスなんて要らないよ。新しいのをデザインするから」

必要ないと言おうとした時、急ぎのプロジェクトのため出社してほしいと上司から連絡がある。

陽斗は車で会社まで送ってくれる。

夜更け、仕事を終えた時、突然携帯が鳴る。

救急病院からの電話だ。

「清水正雄(しみず まさお)さんと清水和子(しみず かずこ)さんのご家族ですか?お二人は交通事故に遭われ、現在救急処置中です。至急ご来院ください」

電話を切り、私は耳を疑う。

なぜ両親が真夜中に事故に?

我に返り、タクシーを呼ぼうとしたが、会社は人通りも少なく、なかなか捕まらない。

会社のビルを駆け出しながら、陽斗に電話をかける。

二十回以上もかけたが、応答はなかった。

道路まで走っていくと、向かい側に陽斗の車が止まっているのが見える。

車体がわずかに揺れている。

窓ガラス越しに、和花が私のウェディングドレスを着て陽斗の上に座り、絡み合う姿が見える。陽斗は陶然した表情を浮かべている。

脇に置いたスマホには私からの着信が表示されているのに、彼が無視している。

信じられない光景に、私は唇を噛みしめ、声を漏らさないようにする。血の味が口の中に広がる。

どれほど走ったのか分からない。ようやくタクシーに乗り込む。

しかし病院に着いた時は既に遅すぎた。両親は息がなく、最期に会うことさえできなかった。

医師が両親の携帯を渡してくれる。

ロックを解除すると、画面はメッセージアプリで開いている。割れた画面越しに動画を再生すると、和花と陽斗の情事の記録だ。

和花はブライダルサロンでの屈辱への復讐として、この動画を送りつけてきたのだ。

両親が真夜中に車を出したのは、陽斗に問い詰めるためだった。

陽斗が病院に駆けつけた時、私は廊下に呆然と座り込んでいる。

泣き尽くして感覚は麻痺し、頭は真っ白で、音も聞こえない。

陽斗の口が動いている。しばらくして、ようやく声が耳に届く。

「文乃、大丈夫。君には僕がいる。ずっと傍にいる。叔父さんたちに約束した、君を守るって」

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