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第3話

Author: チョウブーチ
私の目に反応が戻ったのを見ると、彼は強く私を腕の中に引き寄せる。

「全部僕が悪かった。寝てしまって電話に気づかなかったんだ。ごめん、文乃。もう泣かないでくれ?こんな姿を見ると、本当に胸が痛い」

陽斗はまだ嘘をついている。

あの時、彼は和花と車の中で絡み合っていて、私の着信にも気づいていたはずなのに。

もし彼が浮気していなければ、両親が事故に遭うこともなかった。

陽斗、あなたの愛にはもう耐えられない。

真夜中の床は冷えきっている。陽斗は私を椅子まで支えて連れて行くと、水を取ってくると言ってウォーターサーバーへ向かう。

彼が離れるとすぐに、医者が会計を済ませるよう声をかけてくる。

会計窓口へ向かう途中、角にある非常口でよく知った二人の姿が目に入る。

少し開いたドアの隙間から、和花が陽斗の腰を抱きしめているのが見える。

「先輩、私……検査で妊娠がわかったんだよ」

「薬を飲むように言っただろう?この子は産めない。堕ろしてくれ」

和花の目がすぐに潤んだ。

「私たちが一緒になれないのは分かってる。先輩が結婚したら、もう終わりだって。でも子供は何も悪くない。文乃さんが妊娠できないこと、私も知っている。これは先輩にとって唯一の子供だよ。

この子を受け入れてほしい。私が産んだら、文乃さんの元に連れて行ってあげて。彼女を母親にして。この子を私の代わりにあなたのそばにいてほしい」

和花の卑屈な態度に、陽斗の強い口調は和らいだ。

「それが本心なら、この子には責任を持つ。ただし母親は文乃だけだ。君には金で補償する」

「先輩、お金はいらないよ。ただあなたを愛しすぎてしまって……」

和花は踵を上げて唇を寄せる。二人は強く抱き合う。

この光景を見ても、私の心はすでに麻痺している。

会計を済ませて戻ると、陽斗は水を手に私を探し回っている。

「文乃、どこへ行っていたんだ?」

私が彼の口元を見つめるのを感じ取ると、陽斗は慌てて口を手で拭う。手の甲に残った赤い痕がひときわ目立つ。

彼は慌てて言い訳した。

「夕方にドラゴンフルーツを食べて、口を拭き忘れてたみたい」

私は嘘を暴かなかい。

「疲れたから、一人になりたい。今夜は実家に帰る」

私は一人でタクシーを呼ぶ。

陽斗は私を止めようとしなかった。どうせ車の中にはあの夜の痕跡が残ったままなのだから。

彼は車で後を追い、私が建物に入るのを見届けると、メッセージを送ってくる。

【文乃、僕がいる。今夜はずっと下で待っているから、何かあったら電話してくれ】

三日間、私は家から出なかった。

陽斗もまた三日間、下で待ち続けた。

両親の葬儀の日、陽斗は婚約者として全てを取り仕切った。

彼は祭壇の前にひざまずき、言った。

「叔父さん、叔母さん、文乃を必ず幸せにすると約束します。一生文乃を大切にしますから、どうかご安心ください。これからもずっと文乃のそばにいます」

私は背後で冷たい目を向けている。

でも陽斗、何が約束できる?

両親を死に追いやったのは、あなたなのに。

午後、また監視カメラの通知が届く。

同時に、陽斗の携帯にもメッセージの着信音が鳴り響く。

私は監視カメラのアプリを開く。

映像の中、和花は私のパジャマを身にまとってベッドに横たわり、携帯のカメラに向けて様々なポーズを取っている。

私は顔を上げ、陽斗を見つめる。

彼は右手で携帯をスクロールしながら、喉仏を滑らせ、全身がむしゃくしゃとした様子で左手でネクタイを緩めている。

陽斗は携帯を置くと私を見る。

「文乃、一日中何も食べていないだろう?何か買ってくるよ」

私の返事を待たず、彼は慌てて祭壇から駆け出していった。

しばらくすると、監視カメラに彼の姿が映る。

「正気か?文乃の両親が亡くなったばかりだ。今は彼女のそばにいる時だ。会う気にはなれない」

和花は不満げな表情を浮かべる。

彼女はそう言いながら、陽斗の体にすり寄っていく。

「だってあなたに会いたいから……最近疲れているでしょ?少しでも休んでほしくて……」

しかし陽斗は手を上げて、激しく彼女を押しのける。

和花は不意を突かれ、ベッドから転がり落ちて、机の上の植木鉢を倒してしまった。

赤く光る監視カメラが机の上に露わになる。

「このカメラ、いつ電源が入ったんだ?」

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