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第6話

Author: ハルカ
二人の男の顔色はどちらも優れなかった。

華恋の瞳には涙が浮かび、その声は弱々しかった。

「雪乃は子供を失った悲しみで混乱しているだけよ。彼女を責めないであげて」

彼女の目に陰湿な光がよぎり、言葉を続けた。「ただ、聞いたことがあるの。二人の子供が同じ日に生と死を宣告された場合、死んだ子供は怨念を抱いて、生きている子供を道連れにして一緒に死のうとするって……」

彼女は恐怖に怯えたように自分のお腹を庇った。

「司、弦、私、この子に何か起きるなんて絶対に嫌……」

弦は即座に慰めた。「そんなことは起きない。俺たちがついている。君も子供も無事だ」

華恋は困ったような素振りで、冷ややかな表情を浮かべる雪乃をちらりと見やり、口角に笑みを浮かべた。

「霊媒師を呼んで祈祷をしてもらい、その死んだ子供の魂を封じ込めて成仏できないようにすれば、私の子供を道連れできないそうよ。

でも、祈祷には死んだ子供の母親の血が必要なの。雪乃はこんなに体が弱っているし、やっぱりやめましょう。私のお腹の子には、雪乃の子供の道連れになってもらうわ……」

その可憐で哀れな様子は、まるで雪乃が彼女のお腹の子供に危害を加えたかのようだった。

目の前で考え込む二人の男を見て、雪乃はただただ荒唐無稽だと感じた。

「こんな戯言を信じるの?」

弦は沈んだ声で言った。「雪乃、君ももう少しで母親になるところだったんだから、母親の気持ちは分かるだろう。たとえ万分の一の確率でも、俺たちは賭けをしたくないんだ」

雪乃は怒鳴りつけた。「あの子はあなたの子供でもあるのよ!この世界を一度も見ることすらできなかったのに、永遠に成仏させないつもりなの!」

弦の声にはいくばくかの苦痛が混じっていた。「俺の子供なんだ、悲しくないわけがない。だが、死人は死人だ。生きている者のために道を譲るべきだ」

司の声は冷酷さを帯びていた。「たかが少しの血だろう。俺の子供が、お前の子供と同じように死ぬのを見て喜ぶつもりか?どうしてそんなに悪辣になれるんだ?」

雪乃はすでに完全に絶望していた。

「白鳥家と黒崎家に知らせるわ。弦、あなたとは離婚よ!」

しかし、弦は彼女を力ずくで押さえつけ、彼女のスマートフォンを取り上げた。

彼女の抵抗を無視して、その額に軽く口づけをした。

「そんな投げやりなことを言わないでくれ、俺も傷つく。俺のそば以外、どこへも行かせない。

子供なら、これからまたたくさんできるさ。わがままを言うな。華恋のお腹の子を死なせるわけにはいかないんだ」

医師は彼らの採血の要求を聞き、困惑した表情を浮かべた。

「白鳥様は流産したばかりで、お体も傷ついておられます。今採血を行えば、今後二度と妊娠できなくなる可能性が極めて高いです」

弦の瞳に躊躇いが生じた。

その時、華恋が突然顔面を蒼白にしてお腹を押さえた。

「お腹が、お腹がすごく痛い……司、弦、雪乃の子供が私の子の命を奪いに来たんじゃないの?」

彼女は今にも泣き出しそうな顔で、哀願するように雪乃を見た。

「雪乃、お願いだから、私の子供を殺さないで。この子はまだこんなに小さいのよ、お願い……」

弦は即座に決断した。「今すぐ採血して祈祷に持って行け!」

彼の目には痛みが宿っていたが、それでも抵抗する雪乃の手を死に物狂いで押さえつけた。

「雪乃、俺たちに子供ができなくても構わない。今後、華恋が産む子を俺たち二人の子供だと思えばいいんだ!」

何本もの採血管が、彼女の華奢な体から血を吸い上げていく。

司の声には焦りが満ちていた。「もっと早くしろ。華恋も子供も、そんなに長くは待てない」

医師の声は緊張で強張っていた。「これ以上は抜けません。患者は出血多量で命の危険に晒されます」

弦が何か言いかけたその時、華恋の呻き声がさらに大きくなった。「子供が……私の子供が。助けて、この子はまだ世界を一度も見ていないのに!」

弦は即座に急かした。「いいから続けろ!まずは華恋の子供を救うために十分な血を抜け」

この病院は黒崎家の資本で建てられたものであり、医師には為す術もなく、従うしかなかった。

雪乃の意識は、一瞬にして暗闇に沈んだ。

意識が遠のく中、医師が焦って救急処置を叫ぶ声が聞こえた。

弦の苦痛に満ちた声が響く。「お前たち、全力で雪乃を救え。彼女に万が一のことがあれば、絶対に許さないぞ」

しかし、彼女を強く抱きしめていた弦は両手を離した。

「俺も祈りの場に行く。華恋と子供が無事なのを、この目で見届けないと安心できない」

彼女は弦が去っていく足音を聞いた。そこに一切の躊躇はなかった。

自分が生死の境にあっても、弦はやはり華恋を選んだのだ。

雪乃の目尻から涙がこぼれ落ち、暗闇へと消えていった。

その頃、弦は華恋に付き添って祈祷の場にいた。

彼は採血管に入った雪乃の血が次々と鉢に注がれるのを見て、不意に気づいた。どうしてあんなに大量の血を抜いたのだろうかと。

焦燥感を覚えるほどの量だった。

だが、祈祷が終わると華恋の顔色が目に見えて良くなったため、彼もすっかり安心し、他のことにまで頭が回らなくなった。

かつて自分から華恋に告白し、彼女に付き纏ったせいで、両親は華恋を家から追い出し、彼女は職を失い、多大な苦労を背負うことになった。

これはすべて自分が華恋に背負わせた借りであり、華恋と子供が無事であって初めて、その借りを返すことができるのだ。

雪乃は自分の妻なのだから、華恋への恩義を共に返すのは当然のことであり、焦る必要はない。

何しろ二人は夫婦であり、これから先、手を取り合って余生を共にする長い時間があるのだから。

そう考えると、弦は心から安堵し、雪乃のことを一時的に頭の片隅に追いやり、華恋の胎教に付き添うことに専念した。

彼は華恋に付き添ったまま、いつの間にか五日間が経過していた。

秘書から電話がかかってきて、ようやく我に返った。秘書の口調はためらいがちだった。

「社長、社長宛ての書類を受け取ったのですが、中身はどうやら……離婚届の受理証明書のようです。

社長と奥様のです」

弦は一瞬呆然としたが、すぐに甘やかすような笑みを浮かべた。

「きっと雪乃の悪戯だ。何日も俺に会えなかったから、すねているんだろう」

彼は落ち着き払って病院へ電話をかけた。

しかし、若い看護師の口調はさらに躊躇いがちだった。「社長が帰られたその日に、白鳥様は誰かに迎えに来られてお帰りになりました。もうとっくに病院にはいらっしゃいません」

弦は猛然と立ち上がった。

「何だと?そんなはずはない!」
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