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第4話

Author: コーヒーミルク
シロは死んだ。

猛スピードで走ってきたトラックに撥ねられ、即死だった。

麗子は血まみれの子犬の亡骸を抱きしめ、気を失わんばかりに泣き崩れた。

和久は彼女を胸に抱き寄せ、暗く沈んだ目を戸口に立つ江津子へと向けた。

彼女の腕は赤く腫れ、手の甲には犬の歯形がはっきりと残り、呼吸も荒い。アレルギー反応は誰の目にも明らかだった。

「江津子」彼は一語一語、区切るように言った。「わざとか」

「あの子が噛みついてきて、自分で飛び出していったの」

彼女の声は、息が乱れて途切れがちだった。

「嘘つき!」麗子が泣き叫ぶ。「私、ちゃんと見てたの。あなた、わざと手を離したでしょ。私のことも、シロのことも嫌いだったんだよね。和久さん、シロはまだ2歳だったのに……」

和久は彼女の背を優しく撫でながら、再び目を上げたとき、その瞳にはもうわずかな温もりも残っていなかった。

「お前がそれほど命を軽んじるというなら、罪滅ぼしをしてもらおうか」

その夜、官舎裏の空き地に、小さな墓がひとつ増えた。

和久は官舎の掲示板に告知を貼らせ、騒ぎを知った住人たちが、遠巻きに様子を見守っていた。

和久は江津子を墓の前に立たせ、冷たく言い渡した。

「跪け。みんなの前で、自分が動物を虐待し、シロをわざと逃がして死なせたことを認めて謝れ。二度と小さな命を傷つけないと誓え」

江津子は寒風の中に立ち、全身が冷えきっていた。

赤い発疹はすでに首元まで広がり、息をするたびに灼けるような痛みが走る。

彼女は小さな墓を見つめ、遠くで和久に抱き寄せられている麗子を見つめ、後ろ指をさしてひそひそと囁き合う住人たちを見つめた。

ふいに、笑った。悲しみに満ちた笑いだった。

「跪け」和久が繰り返す。

彼女はゆっくりと膝を折った。膝が冷たい泥の中に沈み込む。

「私、須賀江津子は」

彼女は見守る住人たちに向かって、平坦で機械的な声で言った。

「本日、動物を虐待し、故意にシロを逃がして、車に撥ねられて死なせてしまいました。深く反省し、今後、二度と小さな命を傷つけないと誓います」

一語発するたびに、喉が刃物で切られるようだった。

言い終えると、和久は住人たちを帰らせたが、彼女を立たせようとはしなかった。

「夜が明けるまで跪いていろ。よく反省するんだな」

夕食時、麗子は目を赤く腫らし、食が進まない様子だった。

和久は彼女の前に料理の皿をそっと寄せながら、優しく宥めていた。

焼き鮭の皿に箸をつけたところで、麗子が小さく言った。「和久さん、手に力が入らなくて……」

和久はまだ庭先に跪いたままの江津子に目を向けた。

「お前、入ってこい」

彼女はよろめきながら入ってきた。全身が冷え切っていた。

「麗子の食べる魚の骨を取ってやれ」彼は命じた。「皿にある分、全部だ。身が少しでも無駄になったら、跪く時間を1時間追加する」

江津子はその皿を見つめ、それから自分の赤く腫れ、発疹の浮いた手を見た。

「私、魚介類にもアレルギーがあるのよ……」彼女は小さく言った。

「はっ、それがどうした」

和久は笑った。

「これはお前が麗子に払うべき代償だ」

彼女は腰を下ろし、最初の骨を取り始めた。

骨の先は硬く尖っており、すでに赤く腫れた指先を傷つけていく。血が鮭の身に滲み、目を背けたくなるほどだった。

アレルギー反応はどんどん悪化し、呼吸はますます荒くなり、視界が暗くなり始めていた。

1本、2本、10本。

手の甲の傷口に鮭の塩気と脂が触れ、刺すような痛みが走った。

流れた血で皿の鮭が真っ赤に染まっていくのを、麗子は頬杖をついて、笑みを浮かべて眺めていた。

半分ほど取り終えたとき、江津子の服のポケットから一枚の紙切れが滑り落ちた。昔の同級生が人づてに届けてくれた、まだ目を通していないものだった。

彼女はわずかに手を止め、テーブルクロスの陰に隠すようにして、血に染まった指でその紙を開いた。

【江津子先生へ。専門医の診察日が決まりました。来月15日です。新幹線の指定席はこちらで手配してあります。列車名と発車時刻は下記のとおりです】

彼女はその一文を長い間見つめていた。

それからまた、骨を取る作業に戻った。

血が、1滴、また1滴と皿に落ちていく。

和久は彼女の機械的な動き、その血の気のない顔と腫れ上がった手を見つめながら、胸の奥をかすかな不快感がよぎるのを感じた。

だが、それもすぐに押し殺した。

これは、彼女が受けるべき報いなのだから。

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