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154.亀裂

last update Last Updated: 2026-01-06 18:03:18

佐奈side

日曜日の昼前、蓮が家の前まで迎えに来てくれた。せっかくの休みだというのに、今すぐ激しい雨が降りそうな黒く重そうな雨雲をチラリと見て、助手席に乗り込む。

木曜日の昼に送った会いたいというメールの返信が届いたのは、金曜日の夜だった。

以前なら数時間で返ってきたはずの言葉が、丸一日以上も返ってこないことに蓮の心が離れてしまったような気がしてこのところ溜め息ばかりが続いていて、私の心は今日の空と同じようにどんよりと曇りきっていた。

「最近、連絡くれたのに返事遅くなってごめん」

車が走り出してすぐ、蓮は前を向いたままそう言った。 

(会って早々に謝罪の言葉を口にしてくれたことは嬉しいけれど、できるなら正面から顔を見て言ってほしかったな……)

でも、蓮が仕事が忙しいのは分かっているし、理解のある婚約者でいたいと思う私は、自分の中の寂しさを飲み込んで「大丈夫」と短く返事をした。いつもは何かしら話をしているはずだけれど、どんな話をしているか思い出せない。何故だか今日は、沈黙が気まずく感じていた。

「佐奈、怒ってる?」

信号待ちで不意に尋ねられ、言葉に詰まった。今の気持ちに怒りは一ミリもない。ただ、そう思われたことへの悲しさに似た感情が入り交じっていた

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