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第9話

Penulis: 黒い土地
片や、勲は床にひざまずいた。

「ありえない!遥が俺のもとを去るなんて……お腹の子を傷つけるはずがない!そうだ、身分証明だ。あれさえあれば、遥は東都からは出られない!」

勲はふらつきながら、金庫へと這っていった。

金庫が開いた瞬間、勲の手は震えていた。

遥の身分証明を入れていた場所は、空っぽだった。

そこには、薄っすらとほこりが積もっているだけだ。

「ありえない……」喉が締め付けられるようだった。勲は隠し棚のふちに指をかける。「きっと俺を試してるだけだ。いつものように、怒っているだけなんだ……」

その時、指先に硬いものが触れた。

隠し棚の中にあったのは、きれいに畳まれた古いシャツだった。

真っ白なシャツの袖口には、もうほつれてしまったワスレナグサの刺繍があった。5年前に、遥が一番気に入って着ていたものだ。

遥はいつも「なくしちゃった」と言っていた。

勲はシャツを広げた。

カチャン。

半分に割れたお守りが、床に転がり落ちた。

それを見て勲は固まった。

そして、彼は震える手でそれを拾い上げた。そして、スーツの内ポケットからもう半分の飾りを取り出す。この5年間、ず
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