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第3話

作者: 歓喜
渉と真凛が戻ってきたのは、翌日の昼過ぎだ。

真凛の手には、高級ブランドの紙袋がずしりと下がっており、その顔には満ち足りた笑みを浮かべている。

ソファに座っている私を見ると、彼女はわざわざ袋を目の前に差し出した。

「あら、柚木さん。見てください、社長がこれ全部私に買ってくださったんです。こんなにたくさん持っても使いきれませんけど。フフフッ、せっかくですから、柚木さんも一つお選びになりません?私、気前よくプレゼントしますから」

それは私が以前「いいな」とつぶやいた、シーズン限定のバッグだった。

あの時、渉はなんと言ったっけ?

「こんなバッグ、見栄えだけだ。君は外出も好きじゃないんだから、買っても無駄だよ」

その「無駄」なバッグが今、真凛の腕に掛かっている。

ちらりと見ただけで、私は言った。

「いいですね。青沼さんに似合ってます。

シーズン限定ですから、欠陥品か何かじゃない限り、中古市場にはまず出回らないんですよね。

青沼さん、そういう『訳あり品』を見つける嗅覚、さすがですね」

真凛の笑みが引きつり、目尻が一瞬で赤くなった。

「ごめんなさい、柚木さん……だって、これは社長が……私がトレーニングで大変なのをわかってくれて、心を込めて選んでくれたものなんです!もし私のことで柚木さんがお気を悪くされるなら、私は……」

彼女は唇を噛み、深く傷ついたような表情を見せた。

「……でもお願い!せめて社長の心だけは、踏みにじらないでくださいませんか」

渉の表情が暗くなり、車のキーをガシャンとテーブルに叩きつけた。

「柚木、何をでたらめ言ってる!これ、正規店で買ったんだ。レシートだってある!」

私は無邪気に目を瞬かせた。

「あなた、怒ってるの?

でも、私ただ何気なく言っただけよ。だって青沼さんって雰囲気……確かに、地に足がついていらっしゃるもの。

てっきり、倹約家の方かと」

真凛は辱められながらも涙をこらえる様子を見せた。

渉は彼女をぎゅっと抱き寄せた。

「妊婦とやり合わなくていい。あいつ、今はホルモンのバランスがおかしいんだから」

そう言うと、彼は私を振り返り、失望に満ちた目を向けた。

「柚木、人の好意を、わざわざ悪く取る必要あるか?」

私はうつむき、目元の冷たさを隠して従順に振る舞った。

「ごめんなさい。ただ一人で家にいると、つい考えすぎちゃって……」

そして、何げなく切り出した。

「ねえ……渉の会社で働いていい?あなたの役に立ちたいな」

渉は一瞬たじろぎ、眉をひそめた。

「そんなことしなくていい。赤ちゃんのことを考えて、ゆっくり休んでろ」

彼のそばに寄り、袖を軽く引っ張った。

「でも医者が、妊婦も適度に外に出たほうがいいって言うの。ずっと家にこもってるのは良くないって」

渉はまだ首を縦に振らなかった。

私は、媚びるような口調でねだった。

「あなた、お願い。行かせてよ。ただあなたの側にいさせて。お茶入れたり、何か手伝ったりするから。ね?」

明らかに、彼はその態度を気に入った。

かつての私は、誰もが手の届かない吉野家の令嬢だった。

何不自由なく、人に仕えられて育ってきた。

だが今、彼に仕えることを哀願している。

この優越感が、渉を満たしたようだ。

それに、私を会社に置いておけば、家で真凛にちょっかいを出す心配もないと思っているようで、しばらく考えた後、渉はしぶしくうなずいた。

「……わかった。ただし、会社ではしっかりしろ。上司と部下の区別はつけるんだ!

無理あるなら、やめて家に帰ってもいいから、体を壊すなよ」

私は嬉しそうに何度もうなずき、目を輝かせた。

「ありがとう!絶対役に立つから!」

渉は軽く鼻で笑うと、二階へと上がっていった。

彼の背中が見えなくなるのを待ち、私の笑顔は消えた。

そばにいるだけ? 渉、すぐに思い知るだろう。

自分が、いったいどんな危険を呼び込んだのかを。
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