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第1078話

Author: ラクオン
その名前を聞いた瞬間、針谷は鼻で笑った。

――うちの旦那の靴の裏にも及ばない。

少しばかりの権力を盾に、ペラペラと偉そうに……見苦しいにもほどがある。

次の瞬間、針谷の手が鋭く振り下ろされる。

男は苦痛に呻きながら手を離した。

針谷は素早く紀香を背後にかばう。

ちょうどその頃、ステージ上ではモデルたちが退場を始めていた。

この一角の騒ぎは、徐々に人々の注目を集めていた。

「てめえ、俺に手ぇ出しやがって……ぶっ殺されてぇのか!?」

男は怒声を張り上げる。

「信じられねえのか!?銃弾の味、見せてやろうか!」

針谷は冷めた目で彼を見やり、面倒そうに首を傾げた。

「信じないな」

彼はスマホを取り出し、電話をかけ始めた。

観客の中には男の顔に見覚えがある者もいたようだ。

「え、あの人、藤屋家の関係者じゃない?」

「聞いた話だと、藤屋家の当主の叔父さんらしいよ」

針谷はその囁きを耳にして、ようやく思い出した。

――そういえば、さっきの名前……藤屋家の傍系、外に養われてる分家筋か。

なるほど、藤屋の名前を出さずに父親を強調していたのもそのせいか。

自称「叔父」
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