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第1286話

Author: ラクオン
紀香はもともと隠し事ができない人間だった。

感情もすぐ顔に出る。

だから最初に来依が事実を伏せていたのは正解だった。

今こうして打ち明けられても、どう対応すればいいか分からずにいた。

真実を口にしかけたその時、スマホが鳴った。

また駿弥かと思い、画面を見たら、登録のない番号だった。

仕事の電話かと思い、出た。

「もしもし」

「もしもし」

聞き慣れた低い声が返ってきた瞬間、紀香は相手が誰か分かった。

「どうして大阪の番号なの?前の番号はもう使わないの?」

清孝は正直に答えた。

「大阪の病院で治療してる。ついでに番号も変えた。前のは不便だ。今の俺は死人だからな」

彼と春香が何か計画しているのかと疑った。

だが藤屋家の事情など、自分には分からないし、関わる気もなかった。

「どうして大阪で治療?高杉医院は石川でしょう?」

「この病気は大阪の方がいい」

傍らの専属秘書は心の中でため息をついた。

大阪がどれほど医療先進でも、由樹には及ばない。

彼の身体を一番理解しているのは、昔からずっと診てきた由樹だけだ。

それでも、今の清孝が治療を受けてくれているだけで、専属秘書としては神に感謝したい気分だった。

「ご飯は食べた?」清孝が尋ねた。「差し入れするよ。何が食べたい?」

紀香は呆れ返り、白い目をむいた。

病人がどうして自分に食事を運ぼうとするのか。

「あなたに一番必要なのは休養よ。しっかり治して、無茶はやめて」

清孝は声を立てて笑った。

「もっと罵ってくれ」

「……」

紀香はもう相手をする気もなく、でも黙ると再び実咲と向き合わなければならなくなる。

言いながら、彼女はそっと部屋に戻った。

来依は今、海人がそばにいるだろうから、電話できそうにない。

あれこれ考えた末、結局清孝に打ち明けた。

ドアに寄りかかり、小声で。実咲に聞かれないように。

話を聞いた清孝は特に驚いた様子もなかった。

その様子に紀香は違和感を覚えた。

「……あなたも知ってたの?」

駿弥に義兄として思い切り嫌われた以上、彼にしてみれば交渉の場で使える切り札が必要なのだろう。

駿弥と実咲の将来については、彼はどうでもよかった。

「香りん、電話じゃ説明しきれない。俺のところに来い。ゆっくり話そう。

それに、そんなに声を潜めてるってことは、伊藤さん
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