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第1319話

Author: 楽恩
「あなたが泊まる場所なんてないはずがないよ」

清孝は彼女の体をくるりと向かせ、目を閉じているのを見て吹き出した。

「前は必死になって見ようとしてたくせに、今はどうした?」

「……」

紀香はかつて、ドラマや小説の影響を強く受けていた。

藤屋家に守られ、清孝に見張られていた彼女の周りには、彼以外に男はいなかった。

仮にいたとしても、腹筋なんて見られるはずもない。

だから当時は、彼が訓練をしている時や服を脱ぐ場面でしか、こっそりと覗くことができなかった。

春香もそんな彼女を何度か助けてくれた。

若い頃、清孝が彼女を助けて肩を怪我し、入院した時。

薬を塗るのに服を脱がざるを得ず、その数日間、彼女はどうしても世話をしたがって、少なからず目にしたものだった。

だがそれも十八歳までの話。

子供の遊びのようなもので、大人が深刻に取り上げることではなかった。

それ以降、彼女にはそんな機会は訪れなかった。

今は……見てはいけない。

心を乱すだけだった。

「清孝、あなたって最低」

清孝は苦笑して、「うん、どうせ全部俺のせいにするんだろ。だったらもう言い争わない。何もかも俺が悪いってことでいい」と言った。

「でも一つだけ聞く。あの雲海の写真が賞を取ったら、俺と復縁するって言ったのは本当か?」

紀香はまた彼の仕掛けに乗せられるのを恐れて、答えなかった。

「ちゃんと録音してある」

彼女は慌てて目を開け、流れるような筋肉の線を見てしまい、すぐにまた目を閉じた。

閉じるのが遅れていたら、視線がどこに落ちていたか分からない。

「変態!」

清孝は弁解した。

「また雲海を見逃すと困るから、たくさん機材を設置しただけだ。あんなサプライズが撮れるとは思わなかった」

「……」

紀香は、やっぱり彼の術中に落ちているのを感じた。

「そう言ったのは確かよ。でも、まだ賞を取ってないでしょ」

「ならつまり、君は俺と復縁したい――つまり俺を好きってことだろ」

清孝は畳みかけた。

「俺も君が好きだ。なら今の俺たちは恋人同士、そういうことでいいな」

「……」

紀香は黙り込んだ。

何も言わなければ、間違いを言うこともない。

彼に振り回されることもない。

けれど彼女は清孝を甘く見ていた。

彼は相手が降参するまで決して攻める手を緩めない。相手を膝から崩れ落ち
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