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ラグジュアリーホテルでの夜

Author: 雫石しま
last update Last Updated: 2025-08-20 03:37:40

穂乃果は大通り沿いのラグジュアリーホテルの一室にいた。部屋に足を踏み入れた瞬間、未知の世界への興味関心なのか、ワインバーで酔った勢いなのか、彼女自身よく分からなかった。マッチングアプリで始まった一夜の恋は、せいぜいシティホテル止まりだろうと想像していた。それがまさか、こんなラグジュアリーホテルだなんて。部屋は贅沢な雰囲気に満ち、調度品は一つ一つが明らかに高価で、磨き上げられた木の家具が柔らかな照明に映えていた。ベッドには天蓋が優雅に垂れ、まるで古いヨーロッパの貴族の寝室のような趣があった。

穂乃果はそっと天蓋の薄布に触れ、その滑らかな感触に小さく息を吐いた。窓の外には夜の街が広がり、街路樹のネオンが瞬く中、拓海が静かに近づいてきた。「すごい部屋だね」と彼は笑い、穂乃果の肩にそっと手を置いた。その温もりに、彼女の心は再び揺れ動いた。ワインバーで見たルビーの液の輝き、イヤリングの雫、そしてこの部屋の豪華さが、まるで夢の続きのように感じられた。穂乃果はベッドの端に腰掛け、拓海を見上げた。「こんなとこ、初めて」とつぶやくと、拓海は「君に似合うよ」と答えた。穂乃果の頬がまた赤らみ、マッチングアプリの偶然がもたらしたこの夜が、予想を超えた特別なものになる予感に胸が高鳴った。

そして穂乃果はただその場に立ち尽くした。

拓海の熱い視線に絡め取られ、身動きひとつ出来ない。息が詰まって喉が窄む、声を出すことも出来ない。一枚、また一枚と白い花びらが捥がれてゆく。白いキャミソールに彼女の輪郭が浮かび上がる。拓海はキャミソールの紐をその薄い唇で喰み、ゆっくりと滑らせた。触れた肌が熱を持ち、呼吸が浅くなる。衣擦れの音が床へと落ち、白桃の胸が露わになった。穂乃果はゴクリと息を飲み、ギュッと目を閉じた。 

心臓の鼓動が耳元で響く。怖い。なのに、どこかでこの瞬間を求

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