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第110話

Author: 森の小鹿
仁哉は表情一つ変えず、目を細めて言った。

「それで?自分の妻を放っておいて、僕の妻を大切にしてるっていうのか?」

充は絶句した。

弘樹も言葉を失った。

拓也も同じくだ。

仁哉はその深い瞳を逸らし、弘樹の隣に腰を下ろした。

充は言い返そうとしたが、仁哉の言葉に痛いところを突かれ、口をつぐんで座り込んだ。しかし、顔には怒りの色が隠せない。

本来、わざわざ弘樹たちを呼び出した目的は、弘樹と奈緒の間に何があるのかをはっきりさせるためだった。

それなのに、仁哉まで現れるとは。

その上、口ぶりを聞いていると、仁哉は奈緒の方を向いていて、美紀のことには無関心なように聞こえる。

仁哉と奈緒は接点なんてほとんどなかったはずだ。せいぜい仕事のやり取りがある程度だったのに。

年上として充は居ても立ってもいられず、美紀をかばうように言った。

「美紀は顔に大怪我をしたんだぞ。病院に様子を見に行くとかしないのか?」

仁哉はこめかみを軽く揉んだ。「あいつが先に人を追い詰めたんだ。それ相応の代償を払うのは当然だろう?」

充は眉間にしわを寄せ、苛立ちを隠そうともしない。「それが夫として言うこ
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