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第438話

Auteur: 結奈々
「普通なら、今すぐ金を渡して、これで縁を切ることもできる」遥真は薄く唇を開き、底の見えない黒い瞳にわずかな威圧を宿していた。

「じゃあ振り込んで」玲奈も完全に甘いわけじゃない。「それと、お金の出どころが合法だって証明できる契約書も作り直して。私が蒼海市を出たら、これでお互いチャラにしましょう」

遥真はじっと彼女を見据える。その場の空気を支配するような気配をまとっていた。

「『普通なら』の話だ」玲奈は眉をひそめる。嫌な予感がした。

「京原市立第一病院のICUにいる井上先生、知ってるか?」

その一言で、玲奈の背筋がこわばる。すぐに否定した。「知らない」

遥真はあっさり見抜く。「知らない相手を、わざわざ山の上で待ち合わせするのか?」

「……私のこと調べたの?」玲奈はようやく違和感の正体に気づいた。久瀬グループのトップで、資産ランキング一位の遥真が、たった四十億の金もすぐ用意できないなんておかしいと思ってた。

この隙に、自分を調べてたってわけ。

本気で、投資に回してるんだと信じてたのに。

「妙なことには裏がある」遥真は落ち着いた口調で言う。「リスクを避けるのは、商売人の本能
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Commentaires (1)
goodnovel comment avatar
リコリス
恩人に成り代わるために傷を作ったのよ。
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