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快楽の条件反射

Author: 中岡 始
last update Last Updated: 2025-08-26 10:19:41

藤並の身体は、触れられてもいないのに疼いていた。

乳首の先がじんわりと熱を帯び、下腹部が勝手に脈打つ。

何度も何度も繰り返されてきた行為が、もう完全に身体の中に刷り込まれている。

仕込まれた通りに、反応するようになってしまった。

触れられた瞬間に感じるように。

命じられなくても、自分から求めるように。

それが、美沙子との五年間で身体に染みついた癖だった。

「蓮、いいわ。もっと…」

美沙子の声が耳元で揺れる。

甘い声色で、だがその底には命令の響きがある。

その言葉に、身体は自然に動いた。

自分で腰を浮かせ、美沙子の脚の間に手を伸ばす。

唇が胸元をなぞり、舌先で柔らかな感触を味わう。

目を閉じれば、別の誰かになれる気がした。

だから、藤並は瞼を閉じた。

そうすれば、自分が何をしているのか、少しだけ分からなくなる。

「早く、蓮。あなたから…して」

美沙子の声が震えた。

その震えが、わざとなのか本当なのか、藤並には分からない。

でも、どちらでもいいと思った。

自分の役割はもう決まっている。

相手がどんな顔をしていようと、それに応えるだけ。

それが商品だ。

そう教えられてきた。

自らの手で自分のものを導き、ゆっくりと美沙子の中に入っていく。

湿り気を帯びた熱い粘膜が、自分を受け入れていく感覚。

そのときも、心は遠くにあった。

美沙子の身体が反応しているのが、手に取るように分かる。

膝が微かに震え、喉の奥からかすかな喘ぎが漏れる。

「ん…ああ…いい、蓮…そのまま…」

美沙子がそう呟き、爪先がシーツを掴んだ。

藤並は淡々と腰を動かした。

規則的に、滑らかに。

まるで、役割をこなす機械のように。

一度も目を開けず、呼吸のリズムだけを整える。

それが「良い子」としての動き方だった。

身体は快楽を感じていた。

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