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3. 「異世界ほのぼの日記」95

작가: 佐行 院
last update 최신 업데이트: 2025-04-01 10:21:51

-95 ご飯のお供-

 光の考えた計画はこの異世界に転生してきた日本人で集まり、転生前から愛して止まないこれぞ白米にぴったりだと言う1品を持ち寄り美味い白米を思う存分食べ尽くそうという物だった。

光「ご飯片手のパーティーなので、敢えて酒は無しにして純粋にご飯を楽しむものにしてみようと思ってまして。」

結愛「たまにはそういう催し物もありかも知れませんね、やってみますか。」

 次の日、林田や結愛の呼びかけに応じて数名が光の家に集まった。各々の「好き」を発表する場にする為、ご飯のお供は自分で持ち寄ると言うルールにしていた。ただ米は光拘りの新潟県魚沼産のコシヒカリを使用する。いつもは炊飯器を使用しているが今回は御厨の提案で昨晩林田家で使用した直火でのお釜での炊飯を行う事となった。

 光の家の裏庭にある以前ナンを焼いたり燻製をするのに使用した焼き窯をベースに用意したお釜で炊いた白米が空腹を誘う香りを漂わせている。

光「我慢・・・、出来ない・・・。」

結愛「私も・・・、です・・・。」

 「はじめちょろちょろ中パッパ」の教えを大切に、最初は柔らかな弱火で途中から火を強めた後、より美味しくする為じっくりと蒸らしていく。蓋を取った瞬間立ち込める湯気と共に魅惑の香りがやってきてそこにいた全員が日本人であることを喜んだ。

 杓文字で返すように混ぜ、各々の茶碗に優しく盛り付けると輝かんばかりに美しい純白の白米に皆が目を輝かせていた。

光「では、折角の炊き立てご飯が冷めない内に始めて行きましょうか。最初は私から、シーチキンを提供させて頂きます。」

 各々にシーチキンを贅沢にも1缶ずつ渡し、光が拘っている調理の手順を説明していく。「調理」と言っても混ぜるだけなのだが。

光「蓋を利用して油を切ったシーチキンにマヨネーズと醤油を加え一旦混ぜます。そこに辣油と一味唐辛子を好みの量で加えて下さい。」

結愛「もう後は混ぜるだけですか?」

光「よく混ぜたら騙されたと思って最初の1口を思いっきり頬張ってみて下さい。」

林田「むぐむぐむぐむぐ・・・、ん?!嘘でしょ?!もうお代わりだなんて!!」

 参加をした全員が最初の1口を食べるとすぐにご飯を口に搔きこみ出した、そして気付かぬ内に全員が1杯目を数秒で平らげてしまった。(※是非お試しあれ、美味いよ!!)

光「凄いでしょ、この1口目でどれ位の量のご飯を食べるか
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    -96 ご飯のお供②- 温かな朴葉味噌を熱々の白米に少しずつ乗せご飯を楽しむ一同、そんな中林田が懐で何かをごそごそと探し始めた。林田「次は私がご紹介させて頂いて宜しいでしょうか、ゲオルさんのお店でこれを売ってたので助かりました。」 林田は懐から小瓶を取り出すと嬉しそうに中身を自ら用意した小皿に出した、誰もが食べた事があるであろうメンマの「やわらぎ」だ。林田「そのまま食べても美味しいのですが、これを胡瓜キムチと混ぜても食感が良くてご飯にピッタリなんです。」 小皿とは別に少し大きめの器を用意し、胡瓜キムチとやわらぎを混ぜて振舞った。シャキシャキの胡瓜と柔らかなメンマがバランスよく混ざっている。メンマに和えられた辣油が味のアクセントになってご飯を誘い、それにより光と結愛はずっと箸が止まらなかった。結愛「アクセントの辣油がキムチの味を引き立てていますね、今日ご飯足りますか?」光「一応2升は用意しているんですが追加注文しないとダメかもしれませんね。」 光と結愛、そして羽田や林田のご飯のお供の時点で用意をしていた半分の1升が無くなろうとしていたので実は焦っていた。念の為、今現在もう半分の1升をお釜で炊いている状況だが無くなるのも時間の問題だろうか。林田のやわらぎ入り胡瓜キムチの出現は一同にとって大きかった、光は『瞬間移動』を利用して地下の貯蔵庫から追加の米を持って来る事にした。念の為に2升程追加を用意し、食事に戻った。 すると、家の入口の辺りから聞き覚えのある男性の声がした。男性「林田さん、林田さん?いらっしゃいますか?来ましたよー。」 その声に返事をする林田、ただ口の中には米が残っている。林田「ああ・・・、待って・・・、ましたよ・・・。裏・・・、庭に・・・、どうぞ・・・。」光「あれ?どなたか呼んだんですか?」林田「ごくん・・・、失礼しました。光さんもお会いした方ですよ。」男性「こんにちは、お久しぶりです。」 優しい笑顔で見覚えのある男性が裏庭に入って来た、この異世界で車を購入したお店の店主・珠洲田だ。珠洲田「光さん、お久しぶりですね。林田さんにご招待を頂きまして来させていただきました。私も皆さんと一緒でご飯が大好きなんです。」光「お久しぶりです、レースの映像でお見かけしましたよ。」珠洲田「これはこれはお恥ずかしい、まさか見られていたとは

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  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」97

    -97 ご飯のお供③- 光明は抱えていた小さな発泡スチロールを降ろし、ゆっくりとビニールテープを剝がしていった、宅急便の届け票がまだ付いていたままだったので届いたばかりと言うのは嘘ではないのだろう。光明「むふふ・・・、これこれ。」 にやけながら発泡スチロールから小さな箱を取り出す光明、嬉しさは満更ではなさそうだ。光明「今回は誠に勝手ながら2種類ご用意致しました、まずは福岡県博多の辛子明太子です。」 炊き立て熱々の白飯に真っ赤な辛子明太子を乗せ、皆が1口齧る。プチプチとした卵の食感や舌ざわりと赤い唐辛子の辛味がご飯を誘う。光明が持参したもう1種類を知る前にかなりの量の白飯を堪能してしまっているが光の魔力のお陰でまだまだお腹は余裕だ、林田に至っては1腹だけで白飯を2杯食べてしまった。林田「光明さん、早く次の物を出してください。私のお茶碗の中の白米が今か今かと待ち構えています!!」結愛「いや、待ち構えているのは警部さんでは?」光「そんなこと言ってる結愛さんだってそうでしょ?」結愛「あ、バレました?あなた、早く出して!!」 結愛に急かされた光明は発泡スチロールの中から小瓶を2本取り出した。光明「焦らない焦らない、すぐ出すから待ってな。では皆様お待たせしました、こちらは粒雲丹です。今回は北海道利尻島産の物と山口県下関産の物を用意しました。小皿に移してお出ししますので宜しければどちらが利尻か、もしくは下関かを当てて見て下さい。」光「何処か今日の趣旨と違っている様な気がしますがやってみましょうか。」 白と黒の小皿に少しずつ粒雲丹が盛られており、全員最初は白の皿の物から食べていった。少量だが濃厚な粒雲丹だ。 とろりと口の中で溶け雲丹の風味が広がる、それを白飯で追いかけるというこの上ない贅沢。全員が少量の粒雲丹でお茶碗2杯分のご飯を食べると、水を飲んで口の中をリセットした。 全員が黒の皿の粒雲丹に移る、口の中で溶かすと白の皿の物と同様に優しい雲丹の風味が広がるが・・・。光「白(こっち)が利尻ですね。」光明「もう分かっちゃったんですか?」 味には明らかに大きな違いがあったのだが他のメンバーが正直チンプンカンプンな様子だったので、某有名グルメ漫画の主人公のであり、厳格な美食家を父に持つ新聞社のぐうたらサラリーマンの様な口調で説明した。光「白の皿も黒

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    -98 ご飯のお供④- 林田警部は声をかけてきた男性を光の家の裏庭へと招待すると、そこにいた全員に紹介した。林田「皆さんお待たせいたしました、ご紹介させて下さい。こちらは私の部下の梶岡刑事です。今回の貝塚義弘逮捕に大いに協力をしてくれたので招待したのです。」 元々警察の人間でもない梶岡は当然警官として働いた覚えもないし、はたまた刑事になるなど思った事も無く、当然の事ながら初耳なので驚きを隠せない。梶岡「えっ・・・、あ・・・、あの・・・、林田さん?ど・・・、どういう事ですか?」林田「言った通りだよ。実は先日のご活躍についての事をネフェテルサ署長に話してね、これからも協力と活躍をして欲しいと是非刑事職について欲しいとの通達なんだ。」梶岡「あの・・・、宜しいのでしょうか?」林田「当然、これからもよろしくお願いします。勿論、優秀な生徒として魔学校に通いながらだがね。梶岡君、いや梶岡刑事。」 梶岡は涙した、こんなに嬉しい事は一生に一度あるかないかだ。林田「さて、刑事としての初仕事だ。ここにいる皆さんにご飯のお供を紹介して下さい。」梶岡「は・・・、はあ・・・。そうですね・・・、数の子の松前漬けですかね。」光「良いですね、早速食べましょう。」 光は数の子の松前漬けを『作成』し、そこにいた全員がご飯に乗せて食べた。シャクシャクとした数の子の食感がたまらない。梶岡は今まで出てきたご飯のお供と自ら提案した数の子の松前漬けで白米を勢いよく5杯食べてしまった、かなり空腹だったのだろうか。すると、急いで食べたせいか喉を詰まらせかけた。林田「ははは・・・、そんなに急がなくても良いのでは?」 梶岡は体調を戻すと、涙を流し始めた。梶岡「実は・・・、こんなに沢山の方々と食事した事があまり無いし、元々貧乏学生ですからこんなに美味しい物を沢山食べれるなんて思わなくてね。それに先程の事が響いてまして。」 光は梶岡の肩にそっと手を乗せた、梶岡は未だに震えている。光「さあさあ落ち着いて、まだありますから食べましょう。」 梶岡は光の言葉に促され、テーブルの上にあるご飯のお供と白飯を味わいだした。ゆっくりと噛みしめるように咀嚼をした。そして梶岡は自分の茶碗の飯におこげを見つけた。梶岡「宜しいのでしょうか、一番美味しい所を自分なんかが。」光「何を仰いますか、まだまだいっぱい

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  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」99

    -99 ご飯のお供⑤- 利通の得意料理のピーマンの肉詰めを食べた一同は、光の一言により利通にかなりの期待を寄せてしまっていた。利通は梶岡という新たな仕事仲間の前で皆の期待に応えようと考えに考えた。利通「少しお時間を頂けますでしょうか、実は得意なのはピーマンの肉詰めだけではなくて。すぐに作ってきますからごゆっくり。」 その言葉をかけると『瞬間移動』でどこかへ行ってしまった。 2時間程経過しただろうか、慌てた様子で光の家に戻って来た利通は大皿と深めの中華鍋を持っていた。スパイスの良い香りが辺りに広がる。利通「お待たせしました、まずはフランクフルトソーセージです。今回は敢えて焼かずにボイルでお召し上がりください。自分で腸詰にしてきました。」 沸騰しない位に沸かしたお湯にフランクフルトソーセージを入れ、数分間茹でていく。ゆっくりと・・・、ゆっくりと熱を加えていき、ぷかぷかと浮かび上がって来た位のタイミングでお湯から上げた。利通「自分はいつも何も付けずにおかずや肴にするのですが、今回は横に辛子マヨネーズを添えておきますのでお好みでどうぞ。」 全員が最初は利通本人がする様に何も付けずに1口、齧った瞬間に口に肉汁が溢れそれだけで白飯を誘う。 次は辛子マヨネーズを付けて1口、マヨネーズの酸味と辛子の辛味が加わる事で利通は全員の食欲がより増していくのを感じていた。 ただ、相当な量の米を食べているはずなのに皆の食欲は増すばかりでその勢いは衰える事を知らない。 全員が特製のフランクフルトソーセージに舌鼓を打っている間に、利通は次の料理の準備をし始めた。練りに練り上げた生地の空気を両手で丁寧に抜き、熱したフライパンで焼き始めた。表面にはうっすらとパン粉を付けてある。利通「では2品目に移りましょうか、光さんのご希望通りハンバーグをご用意致しました。今回はご飯に合う様におろしポン酢でお召し上がり下さい。」光「凄い美味しそう・・・、何かドーラさんに悪い気がしてきました。」利通「大丈夫ですよ、これはドーラの大好物でもありましてね。それに今回に至っては光さんが食べると言うと喜んで手伝ってくれましたんですよ。」 利通は表面のパン粉がうっすら狐色になるまで焼き上げると熱々に温めた鉄板に乗せ、おろしポン酢を横に添え好みの味付けで楽しめる様にした。 1口食べると表面のパン粉

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    -100 番外編・林田の回想と夜勤明けの出会い- 私は林田 希(はやしだ のぞむ)、ネフェテルサ王国警察で警部の職に就いている。私は元々この世界の者ではなく日本からの転生者だ。転生前も今と変わらずいち警察官としての職務に就いていたのだが、突如心臓麻痺で倒れてそのまま帰らぬ人となってしまった・・・、と思っていたら知らぬ間にこの世界にいて今に至る。 この世界に来た初日は不安でいっぱいだった、1番の要因はやはり言葉だ。何処からどう見ても西洋の雰囲気を漂わせるこの世界の言葉や文化など分かる訳がない。何も分からず辺りを見回していたら鍬を持った男性に声を掛けられた。男性「・・・・・・・、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?(異世界語)」林田「えっ・・・、えっと・・・。」 その瞬間奇跡が起こった、神というものが本当に存在するというのか。男性「大丈夫ですか、私の声が聞こえますか?言っている事が分かりますか?」 何故か先程は全くだったこの世界の言葉が急に日本語に聞こえるようになった。林田「えっ・・・、は・・・、はい・・・。」男性「良かった、気が付きましたか。酒にでも酔ってこんな所でずっと寝てたんですか?」林田「いや、私は今の今まで仕事を・・・。」男性「因みに何のお仕事を?」林田「恥ずかしながら、こういう者です。」 私が胸元の警察手帳を見せると、男性はこの国の警察署らしき建物に連れてきてくれた。確か受付の女性が今の警察署長に魔法みたいな物で話を付けてくれたんだっけな、今思えばあれは何だったんだろう。女性「副警察署長がお待ちです、こちらにどうぞ。」 長い廊下を暫く歩き、面談室に通された。そこで警察手帳を見せて事情を話すとこの国の警察の職務に就き、我々に協力して欲しいと言われたっけ。 とにかく、あの2人には感謝だ。勿論、今の署長にもだよ。 さてと・・・、こんな俺も今ではこの国の警察署の警部だ。日本の方々も含め警察の皆がそうなのかは知らないが、職業上勤務時間が不規則な事が多い。今日だってそうだ、本当は昨日の夜10時には家へ帰れる予定だったんだが事件事故が相次いで発生したので今やっと仕事が終わった。林田「朝8時か・・・、結局夜勤みたいになっちゃったな。疲れた。よし、あれやるか!!」 実は私は月に一度夜勤に就く事がある。私の様に警部職に就く者

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    -101回想から目覚めて- 林田は目を閉じ不意に思い出した出来事に浸っていた、「あの若者は誰だったのだろうか、そして未だに聞けなかったあの言葉の意味が気になる」と回想していた。 そんな林田の体を利通が必死にゆすっていた、まるで死にかけの人間を呼び戻しているかのように。利通「父さん!父さん!!まだ早いって!!カレーのスプーン片手に死にかけてんじゃねぇよ!!」林田「う・・・、うん・・・。」 林田はゆっくりと目を開けた、右手には利通が作ったカレーが乗ったスプーンがそのままの姿で握られていた。利通「父さんどうしたんだよ、スプーン握ったままずっと寝てたんだぞ。」林田「ああ・・・、夢を見ていた。夢と言っても過去の回想みたいな感じだったのだが。」 林田はその場にいた一同に見ていた夢について話した。たまに朝風呂を楽しみに行く温泉の事は勿論、そこで出会った「あの若者」の事も。結愛「その人は神様なんですか?」林田「神様のイメージからは程遠い見た目でしたね。長い髭をたくわえている訳では無かったですし、見た感じ30代前半でした。」光「他に分かった事は無いですか?例えばその方のお名前とか。」 林田はスプーンのカレーを食べた後、再び目を閉じ思い出してみた。林田「名前はお聞きする事は出来ませんでしたが、普段は夜勤で働いている会社員だと言ってましたね。」光明「夜勤の会社員なのに世界の想像主?全然想像がつきませんね。」光「その人は中二病なんですか?」林田「中二病からはかけ離れた見た目でしたよ、本当にごくごく普通の会社員の方でした。ただ・・・、うん・・・。」 林田の疑問を残す様な語尾を聞き逃さなかった光、まだ何か引っかかっている事があるのだろうか。光「ただ・・・、何ですか?」林田「私達と近い物を感じまして、とにかくビールがお好きだった様な。」 林田が言うには仕事上がりと風呂上がりが良い意味で重なったが故に思い出の中の男性は美味そうにビールを味わっていたそうな、因みにその時の肴は・・・。林田「木綿豆腐の冷奴。」光「へ?」結愛「冷奴は大抵絹ごし豆腐ですよね。」利通「好みにもよると思いますよ。俺も木綿に醤油と鰹節、あと生姜かけて冷奴を作る事がありますし。しっかりとした硬さで僕は好きですけどね。」 光は台所へ駆け込み冷蔵庫に入っていた木綿豆腐等の材料を使って

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  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」102

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    -139 懐かしき再会- その眩しい光は渚にとって少し懐かしさを感じる物だった、ただ花火か何かかなと気にせずすぐに仕事に戻った。今いるポイントで開店してから2時間以上が経過したが客足の波は落ち着く事を知らない。 2台の屋台で2人が忙しくしている中、渚の目の前に『瞬間移動』で娘の光がやって来た。スキルの仕様に慣れたのか着地は完璧だ。光「お母さん、売れてんじゃん。忙しそうだね。」渚「何言ってんだい、そう思うなら少しは手伝ってちょうだい。」光「いいけど、あたしは高いよ。」渚「もう・・・、分かったから早く早く。」 注文が次々とやって来ている為、調理と皿洗いで忙しそうなのでせめて接客をと配膳とレジを中心とした仕事を手伝う事にした。2号車の2人の汗が半端じゃない位に流れている頃、少し離れた場所から女性の叫び声がしていた。先程眩しく光った方向だ。女性①「大変!!人が倒れているわ!!誰か、誰か!!」 大事だと思った屋台の3人も、そこで食事をしていたお客たちも一斉にそちらの方向へと向かった。一応、火は消してある。男性①「この辺りでは見かけない服装だな、外界のやつか?」女性②「頬や肩を叩いても気付かないわよ、死んでるんじゃないの?」男性②「(日本語)ん・・・、んん・・・。何処だここは、俺は今まで何していたっけ。」 どうやら男性が話しているのは日本語らしいのだが、まだ神による翻訳機能が発動していないらしい。男性①「(異世界語)こいつ・・・、何言ってんだ?やっぱり外界の奴らしいな。」男性②「(日本語)ここは・・・?この人たちは何を言っているんだ?」 しかし光の時と同様にその問題はすぐに解決され、光達が現場に到着した時には雰囲気は少し和やかな物になっていた。すぐに対応した神が翻訳機能を発動させ、男性は皆に今自分がいる場所などを聞いていた。ただ、男性の声に覚えがある光はまさかと思いながら群衆を掻き分け中心にいる男性を見て驚愕した。光「や・・・、やっぱり!!」男性②「その声は吉村か?!何故吉村がここにいるんだ?!」渚「あんた・・・、ウチの娘に偉そうじゃないか?」 光は男性に少し喧嘩腰になっている渚を宥める様に話した。光「母さん、この人は向こうの世界にいた私の上司の寄巻さんっていうの。」渚「え・・・、上司の・・・、方・・・、なのかい?」寄巻「そう、今

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    -137 人事部長の悪事- 夫婦は重い頭を上げヒドゥラにソファを勧めた、先程の入り口前にいた女性にお茶を頼むとゆっくりと話し始めた。夫人「初めまして、普段は学園にいるからお会いするのは初めてですね。私は貝塚結愛、この貝塚財閥の代表取締役社長です。隣は主人で副社長の光明です。」光明「初めまして、これからよろしく。」ヒドゥラ「しゃ・・・、社長・・・。そうとはつい知らずペラペラと、申し訳ありません。」結愛「何を仰いますやら、貴重なお話を頂きありがとうございます。」 実は最近の異動で人事部長が変わってから、やたらと人件費が削減されているので怪しいと思っていたのだ。削減された人件費の割には利益が昨年に比べて悪すぎると思っていた折、ヒドゥラの話を聞いた結愛は人事部長が怪しいと踏み、部の社員数人にスパイを頼み込んで調べていた。光明の作った超小型監視カメラを数台仕掛けて証拠を押さえてある。 調べによると金に困った人事部長が独断でありとあらゆる部署から人員を削り、余分に出た利益を書類を書き換えた上で自らの口座へと横流ししていたのだ。結愛「今回発覚した事件により貴女を含め大多数の社員に迷惑を掛けてしまった事は決して許されない事実です。人事部長は私の権限で以前の者に戻し、迷惑を掛けた皆さんには賠償金を支払った上で私達夫婦からお詫びの温泉旅行をプレゼントさせて頂きます。」光明「そしてヒドゥラさん、貴重なお話を聞かせて下さった事により我々にご協力下さいました。我々からの感謝の気持ちもそうなのですが、業務に対する責任感を感じる態度へと敬意を表し今の部署での管理職の職位を与え、勿論貴女にもお詫びの温泉旅行をプレゼント致します。」 ヒドゥラは今までの苦労が報われたと涙を流すと、全身を震わせ崩れ落ちた。2人に感謝の気持ちを伝えると自らの部署に戻り暫くの間泣いていたという。 問題の人事部長についての調査なのだが、以前から魔学校の入学センター長を兼任しているアーク・ワイズマンのリンガルス警部に結愛が直々にお願いしていた。そしてこういう事もあろうかと様々な魔術をリンガルスから学んでもいたのだ、屋台で使用した『変身』もその1つである。そのお陰でネクロマンサーとなり、多くの魔術が使える様になった結愛は魔法使い特有の念話も使える様になっていた(光は『作成』スキルで作ったが)。結愛(念話

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」136

    -136 優しく頼もしき老夫婦- 先程まで抱えていた悩みなどどうでも良くなってしまったと周りに思わせてしまう位の笑顔で拉麺と銀シャリを楽しむラミア、その表情に安堵したのか渚は屋台の業務に戻る事にした。でもその表情には何処かまだ疲労感がある、そこで冷蔵庫からとあるものを取り出してヒドゥラに渡した。ヒドゥラ「あの・・・、頼んでいませんけど。」渚「いいんですよ、疲れている時は甘い物です。貴女この後も頑張らなきゃなんでしょ。」 ヒドゥラは手渡されたプリンを食後の楽しみにすると、より一層笑みがこぼれた。ヒドゥラ「ありがとうございます。」 その数分前、渚が屋台を構える駐車場の前を1組の男女が通りかかり、その内の女性が小声で男性に一言ぼそっと呟くと、2人は頷き合いその場を離れた。 それから数分後、ヒドゥラがプリンを楽しんでいる時に1組の老夫婦が屋台を訪れ席に座った。老夫人「よっこらしょ・・・、お姉さんここ良いかね?」ヒドゥラ「勿論どうぞ。」ご主人「ありがとうよ、昼間にやってる拉麺屋台なんて珍しいから食べてみたくてね。」ヒドゥラ「美味しいですよ、お2人も是非。」老夫人「嬉しいねぇ。店員さぁ~ん、拉麺2つね。歯が悪いから麺は柔らかめにしてもらえるかい?」渚「はい、少々お待ちを。」 渚が老夫婦の拉麵を作り始めると夫人がヒドゥラを見てお茶を啜り、声を掛けてきた。老夫人「そう言えばこの辺りでラミアを見かけるなんて珍しいね。」ヒドゥラ「あ、これ・・・。普段は魔法で足に変化させて人の姿で働いているんです。」ご主人「それにしてもお姉さんどこか疲れているね、何かあったのかい?」 老夫婦の柔らかで優しい笑顔により安心したのか、先程渚に語った会社における自らの現状をもう1度語った。老夫婦は親身になってヒドゥラの話を聞き、時に涙を流しつつまるでそのラミアが自分達の孫娘であるかの様に優しく手を握り頭を撫でた。 ヒドゥラは涙を流し老夫婦に感謝を告げると、手を振りながらその場を後にして会社へと戻って行った。 老夫人がご主人に向かって頷くと、残った拉麵を完食してすぐお勘定を払ってその場を去っていった。渚「ありがとうございました、またどうぞ!!」 老夫婦が去ってからは昼の2時半頃までお客が絶えず、ずっと皿洗いと調理を繰り返していた。正直こんなに大変とは思わなかったと感

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」135

    -135 大企業の事実- 以前の職場で噂されているとは知らない2号車の渚はシューゴに手渡された地図で指定された販売ポイントの駐車場に到着した、シューゴとは逆回りでこの後渚にとって懐かしきダンラルタ王国の採掘場での販売をも予定している。渚「この辺りだね・・・、よし。」 本来はとある職場の職員が使う駐車場で、管理人とシューゴが特別に月極契約している端の⑮番の白線内にバックで止める。何があってもすぐに対応できる様に「必ず駐車はバックで」と言うのがシューゴとのお約束だった。 渚は運転席から降車し、少し辺りを見てみる事にした。渚「ここはどこの駐車場なのかね・・・。」 駐車場から数十メートル歩いた所に大きな建物が2つ並んでいた、1つは大企業の本社ビルで最低でも20階以上はありそうだ。また、隣接する建物は15階建てのものらしく横に大きく広がっている。2つの建物は数か所の渡り廊下で繋がっていて窓の向こうから行き来する人々がちらほらと見えている。渚「大きいね・・・、何ていう建物なんだい?」 入口らしき門が見えたのでその左側に書かれている文字をじっくりと読んでみた、見覚えのある文字がそこにある。渚「「貝塚学園高等魔学校 貝塚財閥バルファイ王国支社」ね・・・、貝塚財閥ってあの貝塚財閥かい?!確か向こうの世界で教育系統に力を入れているって聞いた事があるけどこっちの世界にお目見えするとはね、こんな所で屋台をするのかい?贅沢だねぇ・・・、ありがたやありがたや。」 渚はハンカチで汗を拭いながら軽バンへと戻り営業の準備を始めた、屋台キットを展開しスープの入った寸胴を火にかける。暫くしてスープの香りが漂い始めると先程の建物から昼休みを知らせるチャイムが聞こえて来た。すると女性が1人、疲れ切った様子で屋台へとやって来た。へとへとになりながら渚が差し出した椅子へと座る、お冷を手渡すと砂漠を彷徨っていたかの様に一気に喉を潤した。目にはクマがあり、酷い寝不足らしい。聞くと人件費の削減でかなりの人数を減らされ毎日酷い残業らしく、今日みたいに昼休みを過ごせない日もあるそうだ。せめて今日の昼休みくらいは美味しい物をとスープの匂いに誘われてやって来た。女性「えっと・・・、拉麺を1杯お願いします。麺は硬めで。」 疲れ切った表情で渚に伝えると懐から手帳を出し、午後からの仕事の確認をし始めた。渚

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」134

    -134 懐かしの味- 常連さんの注文に応じ、新メニューである「特製・渚の辛辛焼きそば」を作り始めた1号車の担当・シューゴ。まずは豚キムチを作っていくのだがここで必ずお客さんに聴いて欲しい事があるそうだ。シューゴ「辛さはどれくらいがお好みですか?」 判断基準の為、ラミネートされた用紙を渚から手渡されていたのでそれをブロキントに見せる。辛さは5段階まで表示されており、それに応じて各々の辛さのキムチを使用する事になる。キムチはこの調理用に全て渚が特製で漬けていたのだが、シューゴには5種類とも試食する度胸が無かった。最高の5辛のキムチは色が尋常じゃない位に黒く、恐怖心をあおる様に唐辛子の匂いがやって来る。5辛以上の辛さを求められた場合は5辛の物に特製ペーストを加えて作る。 因みに最初のお客さんには1辛を勧める様にと伝えられており、1辛のキムチは多めに作られていた。シューゴ「最初は1辛をお勧めさせて頂いているのですが。」ブロキント「せやね・・・、丁度刺激が欲しかったんで敢えて3辛でお願いできまっか?」シューゴ「3辛で・・・、分かりました。お好みで辛さ調節できますのでね。」 3辛用のキムチを加え調理にかかる、後で炒めなおすので最初は軽く火を通す程度に。一度皿にあけ少し硬めに茹でていた麺をソースと辣油で炒め先程の豚キムチを加え一気に煽る。それを見た瞬間、ブロキントが何か思い出したかの様な表情をして聞いた。ブロキント「店主はん・・・、それまさか赤江 渚はんのレシピちゃいますのん?」シューゴ「はい、なので「渚の」が付いているんです。」ブロキント「渚はんって、ホンマにあの渚はんなんですか?」シューゴ「ど・・・、どうされたんです?」ブロキント「いやね、以前ここで事務と調理の仕事をしとった人がおったんですけどね、その人と同じ作り方やなぁと思っとったんです。」 そういうと幸せそうに、そしてどこか懐かしそうに微笑みながら調理を眺めていた。シューゴ「渚さん・・・、多分今日中にこの場に来るはずですよ。実は今日からウチの2号車としてデビューする事になったんで。」ブロキント「ほんまでっか?!ほな夕飯に渚はんの作った拉麺を食べてみます!!」シューゴ「ふふふ・・・、お楽しみに。さぁ、出来ましたよ。」 皿に炒めた麺を盛り付け辛子マヨネーズを振りかけて出来上がり、お客の

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」133

    -133 お仕事開始- 夜明け前、弟・レンカルドの経営する飲食店の調理場を借り、毎日継ぎ足して使っている秘伝の醤油ダレをシューゴが仕込んでいた。 自らの舌で選び抜いた素材と独自に調合したスパイス、そして黄金比をやっとの思いで見つけ出し配合した調味料を沸騰させない様にゆっくりと火入れしていく。 幾度となく納得のいくまで味見を繰り返し、完成しかけたタレに煮込み前の叉焼を入れ肉の脂を混じらせつつ双方を仕上げていった。 シューゴ「これは味見・・・、味のチェック・・・。」 出来たばかりの叉焼を1口、十分納得のいく味付けと全体的にトロトロの食感が織りなす絶妙なハーモニーを口いっぱいに頬張って首を縦に振った。その味に堪らなくなってしまっていたのか数秒後には白飯に手を出していた、こうなると予想していたレンカルドが気を利かせて用意してくれていたのだ。シューゴ「うん・・・、これは仕事終わりにビールだな。」 数切れ程タッパーに残し楽しみに取っておき、屋台2台分の準備をし始めた。そう、これからは屋台が2台だから味付けの責任も2倍だ。 2台分の醬油ダレ、叉焼、そしてその他の具材を用意し終えた頃に裏の勝手口から渚が声を掛けた。渚「おはようございます、良い匂いですね。」シューゴ「おはようございます、宜しければ味の確認も兼ねて出来立てを如何ですか?」 そう言って1口サイズに切った叉焼を小皿に乗せて渡すと渚は目を輝かせながらパクついた、目を閉じてその味を堪能する。シューゴ「その表情だとお口に合ったみたいですね。」渚「これビールの肴としての叉焼単品や叉焼丼でも売れるんじゃないですか?折角辛子マヨネーズも持っていくのでそれをかけて。」シューゴ「そのアイデア・・・、採用しても良いですか?」 シューゴは調理場に渚を残しパソコンのある部屋に向かい、急ぎ電源をつけた。どうやらメニュー表や注文用のメモの改定と魔力計算機(レジ)のボタン設定を即座に行っている様だ、因みに値段は原価等を考慮して即席で決定した。渚「シューゴさん、いくら何でも早すぎないかい?私でも焦りますよ。」シューゴ「いや、折角のアイデアです。是非採用させて下さい、容器はまたいずれ作りますので今日は取り敢えず今ある分でお願いします。」渚「了解しました。」 新メニューが即席で誕生した所で屋台への積み込みだ、忘れ物

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」132

    -132 出来立ての屋台と焼きそば- 秘伝の醬油ダレとスープ、そして叉焼を含む営業用の商売道具を説明の為に一通り外に止めてあった新しい屋台に積むと一緒に積んでいた丼を1つ取り出し拉麺の作り方説明し始めた。シューゴ「まず最初に注文を取ってメモに書き、丼の底にゆっくりとこの醬油ダレを入れて頂きます。次に箸で溶かしながらスープを入れていくのですが、それと同時並行で別の鍋にて麺を茹でていきます。各硬さに対応する茹で時間はメモしてありますのでこれを見ながらやって見て下さい。」 茹で上がった麺を取り出し上下に振って湯切りする、これがきっちり出来ていないと折角のスープの味がゆで汁で薄くなってしまう。シューゴ「予め切ってある叉焼などの具材を乗せて完成です、提供する時に必ずお箸を一緒にして下さい。」 経費の削減の為、今回の屋台では割り箸ではなく洗って使う塗り箸を用意してある。しかし希望する客がいれば割り箸を提供する。 お箸と割り箸を入れている引き出しの真下にドリンク用の冷蔵庫が設置されていた、中ではグラスも冷やせる様になっており、固定して運ぶ為に移動中割れる心配がない。 この屋台には魔力計算機(レジ)が標準装備されており、各ボタンに値段が登録されているので記憶する必要が無い。トッピングや白飯、またドリンクのオーダーにも対応出来る様にもなっている。 因みに注文用のメモには各商品の名前が記載されていて、「正」の字を書けばいいだけになっているので大助かりである。各席の厨房側にメモを挟めるようにピンが付いていて、すぐに調理にかかれるシステムだ。 渚がメモをじっくり読み込んでいると「特製・辛辛焼きそば」の文字が。渚「シューゴさん、これ・・・。」 渚がメモ用紙の「特製・辛辛焼きそば」の箇所を指差しながら聞くと、シューゴは懐から看板らしき板を取り出した。シューゴ「そうそう・・・、これは私からの開店祝いです。それとこれからは渚さんにお教え頂いたあの焼きそばを新メニューとして取り入れる事にしました。」 シューゴがプレゼントの看板を裏返すと、全体的に黒の背景に赤い文字で「新メニュー 特製・渚の辛辛焼きそば」と書かれていた。右下には唐辛子や辛子マヨネーズの絵が描かれている。渚「いつの間に・・・、それに私の名前入りで・・・、良いんですか?」シューゴ「勿論です、渚さんの拘りのお

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