LOGINさあ、卵料理バトル、調理開始!
まずはサイラスが
「教えてやろう。このサイラス、料理において一切の不得手はない。中でも卵料理は、食材に敬意を持って我が腕を振るうにふさわしい。卵こそ料理の基礎基本にして最重要とも言うべき食材だからだ!」
そう言うと、彼は手にした鶏卵を一つ空中に放り投げ、人差し指で軽く突く。すると卵が勝手に割れ…黄身と白身が一瞬のうちに分離し、別々のボウルに流れ落ちた。
それを見た影光とフレイヤも、目を見合わせながら驚愕し大声を出してしまう。
「うえええええ!?何あれ!?」
「あ、あれほどの技術…というか超能力?そんな人が、なんで地上げ屋の専属シェフなんかやってるんだ?」
「あと、卵放り投げるのって食材に敬意持ってるのかな…」
驚く二人をよそにサイラスはさらに次々と卵を割り、ボウルに中身を注いでいく。
驚いている影光とフレイヤだが…ハッと我に返り、自分たちの調理の準備を始める。調理タイム終了までに料理が完成しなければ不戦敗…その時点で敗北が決定するのだ。何はともあれまずは動かなければならない。
(しかし卵料理と言っても広範だ…何を作ればいい?あのサイラスという人、生半可な相手じゃなさそうだぞ。そんな人に対抗できる卵料理と言えば…なにがある?)
オムレツ、キッシュ、目玉焼きに卵焼き、スクランブルエッグ…卵料理はあまりにも多種多様だ。解釈によってはベーコンエッグトーストやマカロン、スポンジケーキ、
影光が思案している中…彼のアシスタントとして入っているフレイヤは卵を割っている。どのみち卵を使うのだから今から割っておいても問題はない。
だが、それを見た地上げ屋のおじさんは審査員にクレームをつける。
「コラァ!審査員ども!目ン玉ついとんのかワレコラァ!!二対一でこっちが不利になっとるやろがい!!」
しかし審査員はすぐにその意見を却下する。アシスタントは二名まで認められるのがルールだからだ。特に料理勝負に詳しくなかった地上げ屋のおじさんは、悔しそうに地団太を踏むが…。
「ええい、ならばわしがサイラスの助っ人に入ってやる!」
「なっ!?…バ、バカ!やめろ!!」
敵チーム、完全におじさんが足を引っ張っているようである。これを好機として、影光はフレイヤに作るべき料理名を伝えた。
「フレイヤさん、決めました。オムライスでいきます!」
卵そのものの技術だけでサイラスに挑めば、分が悪い。ならば卵と米、具材、ソースの総合力で勝負する…影光はそう考えたのである。
――――――――――
さて湯を沸かした鍋に影光は生米を入れる。そして皮をむいた玉ねぎを取り出し、包丁を構えると…。
「はあっ!」
残像しか見えないレベルで玉ねぎを切り始めた。まるでマシンガンのような音が響く。
「ううっ、なんという速さだ!包丁が残像に見える!」
「し、しかも切るサイズも0.1㎜単位で正確だ!」
「あれほどの速さで切って玉ねぎは大丈夫なのか!?」
観客が影光の包丁さばきを見て、その技術を口々に感嘆する。いやすごいなお前らもよく見えてるな、と言いたくなるほどだ。
同じように影光は鶏肉を切り、玉ねぎと一緒に米を煮ている鍋に投入する。
米は炒めるんじゃなくて煮るの?というフレイヤの言葉に、煮るも炒めるも自由自在ですと言いながら影光はバターと油、そしてケチャップを鍋に投入しようとするが…。
この時、彼は違和感に気づいた。審査員が用意した調味料の中に、ケチャップがなかったのだ。
「…うっ!ケチャップがない!」
影光は呆然と呟き、フレイヤもそれに気づき声を上げる。
「ホントだ!なんで?いつもは用意されてるのに…」
ケチャップがなければチキンライスを作るのは絶望的だ。ざわざわとする観客だが、審査員たちは間違いなく用意したと言い張る。嘘を言っているようには見えないが…。
(さては…あいつか!)
影光は地上げ屋のおじさんを睨むが…彼はニヤニヤと笑いながら言う。
「なんじゃ?ワシが
もはや言葉の統一感さえなくなった彼だが、犯人は明らかだ。しかし影光もフレイヤもまったく気づかない早業だった、どうやら相当慣れているようだ。料理勝負のルールはよく知らないくせに。
さすが令和まで生き残った地上げ屋と言ったところか、ダーティな手段には長けているようだ。おそらく証拠など残していないだろう。追求してもしらばっくれるだろうし、その間に米も具材も煮えすぎてしまう。そうなれば圧倒的に不利…いや、敗北は間違いない。
こうなればケチャップを使わないガーリックライスやバターライスに切り替えるしかない。しかし今から方向転換となるといろいろ調整をやり直さなければいけない。そんな時間があるのか、と悩む影光だが…。
「お店からケチャップ持ってきたよー」
と、フレイヤが『町食堂 かがやき』から持ってきたケチャップを鍋に投入した。そう、材料や調味料、調理器具の持ち込みはOKである。
「あ、どうも。そういえば持ち込みはOKなんでしたっけ」
「何イイイィィィッ!」
と悔しがるおじさんだが…調理中のサイラスは卵を焼きつつ彼に吐き捨てる。
「当たり前だろう、いったい何を考えているんだ…契約は昨日からだが、もうあんたにはほとほと愛想が尽きた。この勝負をもって、あんたとの専属契約は解約させてもらう」
――さあ、材料を投入し、しばらく煮込んだ影光。頃合いと見て、鍋に向けて拳を構え…。
「はああっ!!」
と右の正拳突きを撃ち込む。すると、鍋からはとんでもない量の蒸気が噴き出してきた。昨日の勝負を知っている観客は、これが煮込んだお粥を炊いた米に戻す超常現象的な奥義と知っているが…。
「もう一発!」
と声を上げ、今度は左の拳を撃ち込む。すると鍋がモーター音を上げながら横に高速回転し、一瞬で中身が炒め上げられてしまった。
「えっ!?」
「なにっ!?」
「な…なんだあっ!?」
「うわああああああ!!」
観客と審査員はまたしても困惑の大声を上げる。物理法則が泡を吹いて倒れそうな技術…というか魔法だ。
お粥を白米に戻すのはまだ百歩譲ってわかるにしても、なぜ鍋を殴って中身が炒められるのか。痛めつけるんじゃないんだから。
いやお粥を白米に戻すのもそういえばはっきり言って意味が分からない。まあいいや、とにかくこれでチキンライスは完全に材料や調味料と混ざり合い、完成したらしい。
――会場でこの技術に驚かなかったのは三人のみ。
まずはその一人、フレイヤが呆れつつも軽く笑いながら、鍋のチキンライスを作っておいたオムレツに移す。
「なんだかズルイよねえ、それ。私たちが真面目に炊いたり炒めたりするのが馬鹿らしくなってきちゃう」
そして二人目、サイラス。自分の卵料理を仕上げつつ、余裕綽々に笑う。
「ふふ、『
そして三人目…またいつの間にか勝負を見に来ていた父の『
「ふっ、まだ未熟…せいぜい及第点といったところか」
――――――――――
さて、調理は進み…審査員により調理タイム終了が宣言される。
オムライスを作った影光&フレイヤだが、サイラスが何を作ったのかはまだ不明だ。決して中途半端な料理ではないだろうと影光は気を引き締める…まあ、今からできることは特に何もないが。せいぜいケチャップを盗まれたクレームだろうか。
それはともかく両者の料理が出揃った。いよいよ決着の時である!
唐突に現れたフレイ、その「俺と手を組もうぜ」の直後…。「なんだ貴様アアァァァァァ!!影光様に無礼を働くつもりか許さんぞ!この野良犬め!」不意にそんな叫び声が上の方から聞こえてくる。声の方を見ると、叫んでいたのは改築中の『町食堂 かがやき』の職人に混ざっていた影真だった。彼はそのまま三階から飛び降り、そしてそのまま影光を護るように前に立つ。三階から飛び降りたのに元気すぎる。しかも怪我もなさそうだ。なんなんだこいつ。そういえば影真だった。しかしながら、そんな大絶叫にもかかわらずフレイは特に物怖じすることもなく影真を見る。そして、影真に向けても同じ問いを発した。「Oh、あんたも確か一回戦を突破した…影真、だったか。Perfect timing、あんたも俺と手を組まないか?G.O.D.を…」「断る!失せろ!」「…おいおい、ちょっとはlisten to meしてくれよ。あんたたちにとってもBADな話じゃないはずだ。G.O.D.を再起不能に…」「失せろ!Beat it!!」「…なあ、話だけでも聞いてくれよ…」フレイは頑張って影真と話をしようとするが、すでに『こいつは敵』と認識している影真は話を聞く耳を一切持たない。何かスイッチが入ってしまったのか"Beat it!"と言うばかりで本当に話を聞くそぶりがない。「あの、僕が話を聞きますよ」…と、やむを得ず会ったばかりのフレイにしょうがなく助け舟を出す影光だった。――――――――――「まあSimply put、簡単に言えば俺はG.O.D.を破滅に追い込みたい。そのために使えるものなら何でも使うつもりさ。I want to use whatever I can...たとえ敵組織でもな」近くの公園。コンビニで買ったコーヒーを飲みながら、フレイがそう言う。その表情は先ほどまでの浮ついたものと違い、真剣そのものだ。「穏やかじゃないですね。G.O.D.はオーディ
さて、影光&フレイヤ対イズンの戦いが終わって一週間。十二月最後だったその戦いとともに一年も終わり、年末年始のシーズンとなった。影光も一時的に闇食倶楽部城へ帰省し、実家でゲームでもやりながら年越しをのんびりと過ごしていた。ちなみにフレイヤは母のリリスとともに温泉旅行へ行っているらしい。影光が花宮町に来て半年間。ずっとフレイヤと一緒だったため、彼女と離れてちょっと寂しさというか喪失感を感じるところでもあったりした。とはいえまあ、恋というにはまだ未熟さというか青臭さが残る感情ではある。まあ、お坊ちゃま育ちゆえの奥ゆかしさだとかお上品さだとか、その辺もあるのだろうが。――――――――――さて年が明けて三が日も過ぎ、いよいよ料理戦争一回戦第十試合が始まろうとしていた。今回の対戦は闇食倶楽部八傑衆最後の一人『影滅』対オーディンの息子『フレイ』。影光や帰郷していない八傑衆が揃って闇食倶楽部城内の巨大ビジョンでその勝負を見守っていた。険しい顔をしている中年の男…影滅に対し、対戦相手のフレイは完全に無表情だ。そのフレイをビジョン越しに眺めながら、影羅が興味深そうに口を出す。「フレイ…確か、フレイヤちゃんのお兄さんね。見た目はまあまあ似ているけど、実力はどれほどのものかしら」むろん、影羅とて彼の実力が劣っていると思っているわけではない。なんせオーディンに才能を認められた息子である。それでもロキやスルト、フォルセティ、イズンに比べていかほどのものか…と考えた上での発言である。「いかな相手であれど私の敵ではありません。影光様の露払いは私にお任せを!」「だから暑苦しいのよあんたは」拳を握りながら熱く語る影真に、影羅がうんざりしたように言う。まあ子供の頃からこの二人はこんな感じである。ちなみに影真もその父の影天も里帰りはしていない…というか、この闇食倶楽部城が故
イズンから出された『再判定』の要求…。もちろん料理法は再判定についても規定している。料理法第七二三条第一項ないし第四項…『再判定申立て』である。第七二三条『審査員の判定に不服ある場合の再判定申立てについて』 調理責任者は、自らが当事者となった料理勝負において、結果に影響を及ぼす明白かつ重大な法律行為または事実行為があると認める場合は、その勝敗の判定に対して再判定の申立てをすることができる。この場合、当該調理責任者は、審査員長に対し、次に掲げる事項を口頭または書面で申し立てなければならない。 一 勝敗の再判定を求める旨の申立て 二 結果に影響を及ぼす明白かつ重大な法律行為または事実行為の要旨2.前項の申立ては、審査員長または勝敗の宣言をする権利を有する者による勝敗の宣言が言い渡された後、直ちに申立てなければならない。3.第一項の申立てがされた場合、審査員は、その料理勝負において明白かつ重大な事実が確実に存在し、かつ、それが勝敗の判断に看過できない影響を及ぼすと認めた場合は、料理勝負における勝敗について再判定しなければならない。4.第一項の再判定申立てをした調理責任者(以下、再判定申立人という。)は、第一項の申立てをいつでも取り下げることができる。ただし、当該申立てを取り下げた後は、再判定申立人は当該料理勝負において再度の再判定に関する申立てをすることができない。また、再判定申立人は、当該料理勝負において、再判定の結果および第一項の申立てを却下する決定に対する不服申し立てをすることができない。要するに『誰が見ても明らかに勝敗がおかしい場合のみ再判定をする』ということである。規定上は一応勝った方もできる。だがこの再判定、非常に条件が厳しくそもそも過去に認められたことがない、いわゆる『死に制度』である。どっちかというと次条の『再戦要求』の方が通りやすいのだ。…まあそれはさておき、イズンの再判定の申立ての要旨はこうである。『再判定を求める。理由はお前らの頭と舌がおかしいから』ということである。普通なら一瞬で門前払いされるこの
さあ、調理タイム終了!両者の料理が出揃った!まず、影光の料理は…。鯛と昆布出汁のマグロ漬け丼を主役に、アジ出汁のあおさ海苔味噌汁、マグロ赤身の刺身、イサキの干物に紀州梅干し。名付けて…『海渡りの風旅人』!そしてイズンの料理。豪勢なマグロのカマトロステーキを筆頭にして大トロ、中トロ、赤身のマグロ寿司、マグロのアラ出汁の味噌汁、そして高菜漬け。そこに魔餉気のトッピング付きである。名付けて…『闇に堕ちた人魚姫』!さあ、まずは影光の料理『海渡りの風旅人』から…審査員、実食!審査員A曰く:「おおおっ!このマグロ漬け丼、なんという美味さだ!鮮烈にして濃厚なヅケの旨味を土台の米がしっかりと支えている!米単体でもヅケ単体でも美味だが、この合わせたハーモニーは絶品というしかない!一方が弱ければ凡百の料理となるところを…見事な見極めだ!」審査員B曰く:「明鏡止水!!この丼ものも見事ながら、味噌汁も複合した三位一体の連携!これが本当の仲間というものだ!フッ、昔を思い出すな…この味が一気呵成に来るぞ!人の世に!生まれし頃より!料理道!」審査員C曰く:「かつて高級料亭に勤めていた私の意見だが、この料理の組み立ては見事だ!丼ものを主役にしてパートナーに汁物、脇を新鮮な赤身の刺身と良く薫る干物で固め、とどめに梅干し!その全てに過不足なし!ここにはすべてがある!見事だ!」審査員D曰く:「ラーメンじゃないので0点」この戦いでなにかずいぶんと心に響くものがあったのか、審査員Bがいつも以上に興奮しているが…。それはともかく審査員たちの反応は上々だ。これならばいかに魔餉気と言え
さあ、影光&フレイヤ対イズンの料理対決も終盤。両者とも、ほとんどの料理は完成間近となっており、影光側に残されたのはマグロ漬け丼、イズン側に残されたのはカマトロステーキの焼き上がりだけ。お互い、終盤の数手を残すだけとなった。「フレイヤさん、薬味の準備をお願い。僕はこの鍋を仕上げる!」そう言うと影光は、鯛と昆布出汁で白米を煮ている鍋に向かい、左拳を構える。いわゆる『鍋パンチ』…左拳は『早送り』である。「はああっ!」影光が鍋を正拳突きで殴ると、鍋はモーター音を立てて回転する。これによって鯛と昆布の出汁を100%引き出し、米にしっかりと染み込ませるというわけである。なんで正拳突きでそうなるのかはわからないが、そういうものなのだからもう仕方がない。次いで影光は右拳で鍋を殴る。これによって鍋は甲高い音を立て激しく蒸気を噴出し、一瞬で炊飯が終わった。中に残るは鯛と昆布の出汁で炊いた輝くようなご飯である。右拳は巻戻し…というか、お粥や雑炊を米に戻すという奇跡の産物で、『輪廻』とか『蘇り』と言った方が良いのかもしれない。なんで正拳突きでそうなるのかはわからないが、そういうものなのだからもう仕方がない。観客も審査員もこの技はもう知っている。当然、闇食倶楽部の護衛たちもよく知っており、歓声を上げている。だが知らない者も数名いたようで、それらの者は驚くような声を上げている。その中で、もっとも驚いていたのは…イズンだった。(そんな!!なんであのロマネスコがあの技を…!?あれは、あの技は…ロキ兄さまと同じ技じゃない!!)彼女がそう驚くのも無理はない。そう、下位互換とはいえ、これは彼女の実兄ロキが使うものと同タイプの技である。かつて『町食堂 かがやき』前で影光とロキが闘った際、ロキはこの技で影光を圧倒した。イズンもそれを見ていたが…まさか、同じタイプの技を影光が使うとは思ってさえいなかったのだ。(まさか、あの敗戦で技をラーニングした…?あの少年もロキ兄さまと同じく、
さあ時は十二月の下旬、雪は降らないまでも寒さが身に染みる午前九時。勝負の舞台は那智の滝が一望できる広間、ここで料理勝負をすることになる。毎度のことながら、よくこんな場所を借りられたなと思うほどである。ついに料理戦争一回戦第九試合、影光&フレイヤ対イズンの勝負が始まる!…のだが。影光側は準備完了、フレイヤとともにこの戦いに挑まんとしている。影真や影葵、影風も観客席で勝負の行方を見守っている。対するイズン側だが…。彼女は、SP集団に囲まれ調理場に立っている。その数は十人ほど。それを見たフレイヤが当然のクレームをつけた。「ねえ、あれってアリなの?調理場がSPで埋め尽くされてるじゃん」そう、いくらなんでもこれでは料理勝負どころではない。アシスタントが認められるのは二名まで、である。いくらSPとはいえ十人以上も調理場にいられてはルール違反なのだ。そもそも邪魔で料理ができない。しかしながら対戦相手のイズンは悪びれた様子もなく、堂々とこう言い放った。まあ、SPに囲まれて喋っている姿は見えないのだが。「SP?…なんのことかしら、新生姜(フレイヤのこと)。そんなものがどこにいるというのかしら?」あまりにも堂々と言い放つイズンに、影光もフレイヤも観客も言葉を失う。このお嬢様は何を言っているのだろう…と。SPがどこにいるどころか、むしろSPに囲まれてイズンの姿が見えないのだが。審査員やフレイヤもいったいどういうことなのか問うが、あくまでも彼女はSPなどいないと言い張っている。「いませんよ」「いるじゃない!」そんな言葉の応酬で、ようやくイズンの主張していることが呑み込めてきた影光。どうやら彼女にとって黒服集団はSPではなく『自分の手足』と言いたいようだ。つまりアシスタントではなく自らの体の一部と言いたいらしい。いったいどこからそう言い放つ根拠と自信と度胸があるのか…逆に影光はちょっと感心してしまった。というか彼女は本気でそう思っているのかもしれない。とはいえ審査員たちは当然それを認めず、黒服集団の退去を命じる。さすがにこれには抗えず、SPもアシスタントが許される二名以外はぞろぞろと調理場から降りていった。「ああ、足が!わたくしの足がー!!」…とか言っているイズンを残して。――――――――――さて、おふざけはここまで。影光&フレイヤ対イズン、勝