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第2話

Auteur: オレンジ
翌朝、愛子は大学で指導教授に論文を提出しに行った。

「木村さん、君は優秀な学生なのに、もっと学業に専念すべきだ。この論文は何度書き直したんだ?ん?」スーツを着こなした村上教授は、金縁の眼鏡を指で押し上げながら、愛子を見つめ、意味ありげに笑った。

「先生、どう直せばいいでしょうか?先生のおっしゃる通りに直します」愛子は顔を伏せ、従順な態度を見せた。

「本気かな?」

村上教授は立ち上がり、愛子の後ろに回ると、絹のような彼女の長い髪に手を触れた。

愛子が動かないのを見て、その手は肩に落ち、薄手の服越しに指が揉みはじめた。

愛子は一瞬目を閉じ、小さな声で言った。「先生、私のどこがお気に入りなんですか?」

教授は笑った。「分からないのかい?君には男を魅了する矛盾した魅力がある。弱くて、でも芯が強い。それに、清純で、でもエロティック......」そう言いながら、指を下へと這わせた。

愛子は突然振り払い、声を張り上げた。「先生、何をするんですか!離してください!論文を提出しに来ただけです。私があなたの要求を受け入れないからって、ずっと困らせるんですか?」

教授は何かを察したように、表情を何度か変えた。「俺を計算に入れてたのか?」

愛子は恐怖に震える声で、泣き声を混ぜながら言った。「先生、やめてください!お願いします......」

教授は顔を険しくした。「てめえ......」

「ドン!」という大きな音と共に、研究室のドアが蹴り開けられた。

深山が険しい顔で飛び込んでくるのを見て、愛子は一瞬凍りついた。

すぐ後に教授が倒れる悲鳴が響いた。

深山の拳は容赦なく、骨を砕くような音を立てて次々と打ち下ろされた。

数秒の呆然の後、愛子は我に返り、彼に飛びついて引き止めようとした。「拓也!やめて——」

床に倒れた男の鼻は歪み、既に気を失っていた。

深山はまだ怒りが収まらず、更に蹴りを入れようとした。

愛子は彼の腰に抱きついた。「これ以上やったら死んでしまう!」

深山は激しく息を切らしながら、愛子の方を向いた。その目が彼女の鎖骨に付いた赤い痕を捉えると、瞳が暗く沈んだ。「あいつがつけたのか?」

愛子は彼の視線に気づいて首元を見下ろした。「あなたがつけたのよ」

深山は「......」と黙り込んだ。

そして愛子の制止を振り切って、倒れている男に更に強く一蹴りを入れた。

やっと愛子の手首を掴んで外へ向かった。

愛子は机の上のバッグを掴み、心の中でため息をつきながら、そっとバッグの中の録音機のスイッチを切った。

「いつからだ?なぜ俺に言わなかった?」

深山はまだ怒りが収まらず、足早に歩いていたため、愛子は小走りでないと付いていけなかった。

いつから?愛子は心の中で数えた。半年以上になるだろうか。

最初は言葉での嫌がらせで、その後体に触れてくるようになり、彼女がはっきりと拒否した後は、至る所で困らせ、屈服を強要してきた。

なぜ彼に言わなかったのか?

以前は......彼の助けを求めようと考えたことはあった。結局のところ、彼女を長い間苦しめてきたこの件も、深山家の若旦那なら一言で解決できることだった。今のように乱入して相手を半殺しにしても、何の咎めも受けないのだから。

でも、なぜ言わなかったのか?愛子の心に苦い思いが広がり、気づけば、また自分が口元を歪めて笑っているのに気づいた。

あの日、深山は何と言ったのだろう?

「愛子、自分を大きく見せるな。少し優しくしてやったら、本当に俺の彼女だと思い込んでるのか?」

あの日、愛子は土砂降りの雨の中に置き去りにされ、半晩も雨に打たれた。帰宅後、一週間も熱に苦しんだ。

熱が下がった後も、彼女の方から恥を忍んで深山に謝りに行った。

その後、二人は何事もなかったかのように、元通りになった。

でも愛子は分かっていた。少なくとも彼女にとっては、もう同じではなかった。

深山は電話をかけ、何か指示を出した。相手は恭しく、すぐに処理すると答えた。

「どうして大学に?」電話を切ると、愛子は尋ねた。

深山が答える前に、入口に着いた時、愛子は理由を悟った。

「先輩、なんて偶然!今日も大学に来てたんですね?」鈴木咲良が車から顔を出し、無邪気な驚きと喜びの表情を浮かべていた。昨夜のメッセージでの挑発的な態度は、どこにも見当たらなかった。

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