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第114話

Author: フカモリ
オフィスで、信行は書類に目を通している。その傍ら、由美は彼の椅子の肘掛けに、リラックスした様子で腰を下ろしている。

親密すぎず、しかし他人行儀ではない、絶妙な距離感。

書類を読み終え、信行は感情のこもらない声で言った。

「高瀬との提携は問題ないだろうが、あいつは峰亜工業とは直接組みたがらないだろう。お前と武井の間で第三者契約を結んで、興衆実業の名義で提携すればいい」

肘掛けに座り、由美は嬉しそうに微笑む。

「分かったわ。全部信行の言う通りにする」

信行の介入がなければ、智昭は会ってさえくれず、提携など夢のまた夢だったのだ。

仕事の話を終え、由美が別の話題を切り出そうとしたその時、信行の携帯が鳴った。

画面を見ると、拓真からだ。

通話ボタンを押すと、拓真の声がすぐに聞こえてきた。どこか悪戯っぽい口調だ。

「よう信行。今、友達の不動産契約に付き合ってるんだが……そこで誰を見かけたと思う?」

信行は気だるげに返す。

「誰だ?」

電話の向こうで、拓真は待合室の光景を眺めていた。真琴が数枚のチラシを手に、壁に貼られた物件情報を見上げている。

「真琴ちゃんだよ。なんだか
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