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第115話

Author: フカモリ
「近くにいる。迎えに行く」

信行はそれだけ言って電話を切った。数分もしないうちに、彼の車がやって来る。

家に入って祖父と少し過ごし、将棋を二局指した後、信行はようやく真琴の手を引いて去った。

庭を出ると、真琴は自然に手を抜き、後部座席のドアに手をかける。

開かない。

車に乗っている信行を見下ろし、静かに告げる。

「鍵、かかってますけど」

運転席で、信行は振り返って真琴を見つめ、さらりと言った。

「前は開いてる」

真琴は動かない。

「後ろでいいです」

頑なな態度に、信行は思わず失笑した。

「乗れよ。新車だ。助手席にはまだ誰も乗せてない」

「……」

まさか、同じ車種の新車に買い替えたとは、思ってもみなかった。

日差しが強い。実家の前で揉めるのも気が引ける。真琴は諦めて助手席に滑り込んだ。

車が走り出すと、真琴は顔を背け、流れる景色を眺める。

以前なら、必死に話題を探し、沈黙を恐れ、気まずさに怯えていた。

けれど今は、静寂の方が心地いい。何も話さない方が楽だ。

ハンドルを握る信行は、時折真琴の様子を窺ってくるが、家を買う件については触れなかった。

まも
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