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第592話

Auteur: フカモリ
真琴の驚きをよそに、信行は何事もなかったかのように部屋の奥へと足を踏み入れた。

ベッドのそばまでやってくると、腰をかがめ、すっと手を伸ばして彼女の額に触れる。

「俺が入ろうと思えば、どうとでもなるさ」

その声音は、驚くほど優しかった。

彼の言葉を聞き、真琴は少しだけ警戒を解いた。伏し目がちに視線を落とし、力のない声で呟く。

「紗友里から聞いたのね……私が倒れたこと」

自分の体調不良を伝えたのは、紗友里ただ一人だ。

今日の午後、彼女が医者を連れてきて、山のような薬を置いていってくれたばかりだった。

真琴の問いかけに、信行は額に当てていた右手をそのまま滑らせ、彼女の頬をそっと撫でた。

「ああ。さっき病院で、紗友里の口から聞いた」

だが実際には、紗友里が自らペラペラと喋ったわけではない。

今日に限って真琴が病院に顔を出さなかったため、信行が不審に思って紗友里を問い詰めた。

そこでようやく、真琴が高熱を出して寝込んでいることを吐かせた。

その後、信行は紗友里から強引にマンションのカードキーを奪い取ってきた。

最初は紗友里も頑なに渡そうとしなかったが、信行が本気で顔を
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Commentaires (1)
goodnovel comment avatar
ウサコッツ
やっぱり復縁エンド路線かな 少しずつ真琴が信行への対応変わりそうだし 病気の時にここまで献身的にされたら 心に響くものがあるよな
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    真琴の驚きをよそに、信行は何事もなかったかのように部屋の奥へと足を踏み入れた。ベッドのそばまでやってくると、腰をかがめ、すっと手を伸ばして彼女の額に触れる。「俺が入ろうと思えば、どうとでもなるさ」その声音は、驚くほど優しかった。彼の言葉を聞き、真琴は少しだけ警戒を解いた。伏し目がちに視線を落とし、力のない声で呟く。「紗友里から聞いたのね……私が倒れたこと」自分の体調不良を伝えたのは、紗友里ただ一人だ。今日の午後、彼女が医者を連れてきて、山のような薬を置いていってくれたばかりだった。真琴の問いかけに、信行は額に当てていた右手をそのまま滑らせ、彼女の頬をそっと撫でた。「ああ。さっき病院で、紗友里の口から聞いた」だが実際には、紗友里が自らペラペラと喋ったわけではない。今日に限って真琴が病院に顔を出さなかったため、信行が不審に思って紗友里を問い詰めた。そこでようやく、真琴が高熱を出して寝込んでいることを吐かせた。その後、信行は紗友里から強引にマンションのカードキーを奪い取ってきた。最初は紗友里も頑なに渡そうとしなかったが、信行が本気で顔を曇らせて凄み、見かねた祖母まで説得に加わったことで、ついに折れたのである。頬に触れる彼の手の温もりを感じながら、真琴は自分の右手を持ち上げ、その手をそっと引き剥がした。「もう平気よ。熱も下がってきたし、一晩寝ればよくなるから」どこまでも他人行儀な真琴の態度。信行はそれに反論することなく、静かに尋ねた。「今日は一日中、何も口にしてないんじゃないか?何か……」信行が言い終わるよりも早く。ぐぅぅぅ、と。真琴のお腹が、実に情けない音を立てて鳴り響いた。途端に、信行の言葉がピタリと止まる。二人はそのまま、無言で互いの顔を見つめ合った。真琴が気まずさに顔を染め、何か言い訳をしようと口を開きかけた瞬間、信行が先を越した。「冷蔵庫に何があるか見てくる。何か作ろう」真琴が止める隙も与えず、言葉を続ける。「まだ病み上がりだ。少し消化のいいものにしておく」ゆっくりと身を起こす信行を見上げ、真琴は慌てて引き留めようとした。「いいのよ、自分でデリバリーでも……」「いいから」信行は振り返り、真琴を見下ろして短く遮った。「そんなに遠慮するな

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