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第67話

Author: フカモリ
真琴は片手で信行の髪をそっとかき分け、もう一方の手でドライヤーを当てていたが、思わずその手を止めた。

信行を見下ろすと、彼が少し疲れているように見える。真琴は腰をかがめてドライヤーを置き、小声で告げる。

「髪、乾きましたよ」

その言葉に、信行はゆっくりと彼女を放し、立ち上がった。

その様子を見て、真琴はドライヤーを手に振り返って去ろうとした時、腕を掴まれ、また引き戻される。

真琴は彼を見上げる。信行は彼女の手からドライヤーを取り上げると、脇に置いた。

彼の目を見ずに、掴まれた手をもがきながら、淡々と注意する。

「もう遅いですから、早く休みましょう」

信行は身をかがめてキスをしようとする。

真琴は予期していたかのように、さっと顔をそむけて男を避ける。もう一方の手は彼の胸に当て、それ以上近づくのを防いでいる。

その警戒心に、信行は思わず微笑み、少し力を込めて、彼女を引き寄せる。

よろめいて彼の胸にぶつかり、真琴の左手は信行の胸に当てられている。

無言の抵抗。

真琴が抵抗し続けるのを見て、信行は彼女の両腕を掴むと、背後で束ね上げる。

身動きを封じられ、真琴はようやく彼を見上げて問い詰める。

「一体、何をするつもりですか?」

プロジェクトが終わったら手続きに行くと言ったのに、最近の曖昧な態度は、一体何なのだろうか?

その問いには答えず、信行は彼女の両手を背後で拘束したまま、俯いて再びキスをしようとする。

真琴は嫌がり、激しく顔をそむけ、彼にキスさせない。

信行も意に介さず、空いた右手でそっと彼女の頬を包み込むと、その頬に、首筋に、そして耳へとキスを落とす。

温かく、柔らかいキスが耳元に落ちた時、真琴は眉を固く寄せ、彼に注意する。

「ふざけるのは、それくらいにしてください」

「ふざける?」

信行はそれを聞いて笑う。

「誰がふざけてるって?」

笑った後、彼は真琴の手を放すと、その両手をそっと彼女のパジャマの胸元に置き、何気なく一番下のボタンを外した。

真琴は慌てて彼の手首を掴み、それ以上続けさせない。

相手を見下ろし、信行は笑う。

「まだ離婚はしてないんだぞ。触らせてもくれないなんて、筋が通るか?」

その軽い扱いに、真琴が彼を押す動きがぴたりと止まる。

右手はまた信行の腕を掴んでいるが、先ほどほど力は入っていない。

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