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第93話

Author: フカモリ
我に返り、真琴は顔を上げて再び信行を見つめる。

「この書類にサインできません」

株式譲渡契約書、しかも興衆実業の10%の株式。サインできるわけがない。

責任が重すぎる……

その真剣な態度に、信行は気だるげに言う。

「会社のことを、少しは手伝えってことだ」

しかし、真琴は真剣に問いただす。

「もしこれにサインしたら、この書類は効力を発するのですよ。興衆実業の10%の株式が、私の名義になります。欲に目がくらんで、本当にそれを自分のものにしてしまうのが、怖くないのですか?」

信行は一瞬にして笑い出し、朗らかに言う。

「お前が飲み込めるものならな。安心しろ。これは、表向きの手続きだ」

その自信に、真琴は彼の目を少し疑わしげに見る。

しばらく彼を見ながら、確認する。

「まさか株価が急落したのを機に、離婚するつもりですか?」

そこまで言って、真琴はまた手の中の契約書に目を落とす。

「この契約書は、離婚の慰謝料……?」

その突拍子もない考えに、信行は声を上げて笑った。先ほどよりも、さらに朗らかに。

「冗談だろ。離婚でこんな待遇があると思うか?」

「……」

彼を見つ
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