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第1290話

작가: 夏目八月
御書院では、小林御典医が深々と腰を折って玄武の容態を報告していた。

二時間前、刑部大輔の今中具藤が北冥親王の官印を携え、典薬寮に駆け込んできた。北冥親王が刑部で突如吐血し、意識を失ったという。

事態が急を要したため、当然ながら清和天皇の耳にも届いていた。

「私めの診断では、突発性の心疾かと。状況は甚だ危険でございます。私めが駆けつけた時には既に昏倒しており、長時間の施針でようやく意識を取り戻しましたが、歩行は叶わず。結局、輿に乗せて親王邸まで運び入れました」

「なぜ突然の心疾なのだ?以前は心臓を患っているなどという話は聞いたことがないが」清和天皇は眉を寄せた。血を分けた兄弟への懸念が覗える。警戒はしていても、それは用心のためだけのことだった。

「私めが有田先生より伺いましたところ、親王様は公務から戻られて以来、十分な休息を取られず、時折咳込まれ、胸の圧迫感も訴えておられたとか。ただ、大事には至らぬと思われ……私めの推察では、風邪が癒えぬまま心臓に及んだものかと」

天皇は思い返した。以前、飛騨での報告で、山中で十数日を過ごしたと聞いていた。山の夜は極寒で、火も満足に焚けなかったはず。確かに風邪を引いても不思議ではない。

だが疑問も残る。「風邪であれば、これほど日数が経てば症状は悪化していたはずだが。なぜ軽症のまま見過ごされたのだ?」

「はい。有田先生の話では、親王様は都に戻られてからも休む間もなく公務に励まれ……また、私めの診立てでは肝火が旺盛で、何か心労もおありかと。そのため症状を見逃されたのやも」

一息置いて、小林御典医は続けた。「それに風邪の症状は人それぞれでございまして。体格の優れた方は一見軽症に見えても、既に肺や心臓に深く潜んでいることがございます。親王様はそのような体質かと存じます」

医学の知識に疎い天皇は、最も懸念する点だけを問うた。「では今は良くなっているのか?」

「容態は落ち着いておりますが、しばらくの静養が必要でございます。何より過度な労働は避けねばなりません」

「命に別状がないとあれば、結構」天皇は安堵の笑みを浮かべた。

退出を許そうとした矢先、天皇の表情が変わった。「お前は親王邸まで付き添ったのだな?北冥親王妃や屋敷の者たちの様子はどうだった?」

御典医は記憶を辿りながら答えた。「王妃様は不在でございました。後ほど使
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