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第65話:表に流すもの、握るもの

مؤلف: fuu
last update تاريخ النشر: 2026-07-09 20:01:27

「そろそろ分けろ」

 黒瀬が、そう言った。

 私のファイルは、もう片手では持てないほど厚くなっていた。半年分の記録。三崎の支払い癖。亜希の名義。宛名の揺れ。差し替えの違和感。元会社の沈黙。一枚ずつ集めてきた紙が束になっていた。

 厚いことに私は少し満足していた。ここまで積んだ。会社を追われた時には何も持っていなかった。その私が、今はこれだけの線を握っている。

「分ける、というのは?」

「何を表に出して、何を出さずに握るかだ」

 私は、その意味がすぐには分からなかった。

「全部出せば、いいんじゃないんですか。三崎の不正です。隠す理由が――」

「ある」

 黒瀬は、私の言葉を切った。

「全部出せば、綾月あやつきも巻き込まれ

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  • 横領犯にされた経理女は、若頭の金庫を握って元社長を潰す   第4話:返したいのはお金じゃない

    「不足分の返還に応じる意思を見せれば、表向きは大事にしない方向で」 長尾の電話を切ったあと、私は思った。返したいのは、お金じゃない。 私物をまとめて、半ば追い出されるように会社を出た。段ボール一つ。七年分の荷物が、両手で抱えられる量しかなかった。 社員たちは、見ないふりをした。 目が合いそうになると書類に戻る。 誰も助けない。 誰も、何があったのか正面から聞かない。 その静けさが一番こたえた。 軽蔑ならまだ相手がいる。 見ないふりは、私をもう「終わった人間」にしていた。 生きているのに、いないことにされている。 その日の午後、また長尾から電話が来た。「会社としては穏便

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