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5話/いろは。対策する

last update Fecha de publicación: 2026-07-02 21:57:33

私は、エッチなことが好きです。

学生時代から数だけならかなりの男性と関係を持ってきました。

酷い男にソープへ売られたときでさえ——むしろ「天職かも♡」と感じたほどに、私は性に貪欲でした。

けれど、そんな私の人生に転機が訪れました。

大袈裟ではなく、天啓のように思えるほどの出会い。

その瞬間、私は悟ったのです。

——ああ、この人だ、と。

「はじめまして♡ いろはです♡」

いつもと同じ仕事、同じ段取り。

相手が誰かなんて関係ない。

身体を重ねれば私も潤う、相手も満足、財布も満たされる。

これが私の中での“最適解”でした。

なのに、その日は違った。

どこにでもいる普通のおじさん。

威圧的でもなく、知的アピールもせず、ただ礼儀正しいだけの人——そう思ったのに。

すべてを奪われました。

これまでの快楽は前座にすぎなかった。

欲しい言葉を欲しい瞬間にくれる優しさ、激しさ、体温。

ほんのひと匙の気遣いが、私の心を根こそぎ攫っていく。

“最高”ではなく“最適”。

その答えを、ヤスタカさんは一度で叩き込んでいきました。

私の心も体も“あの人のためのものだ”と理解させられるほどに。

「ほうほう……それで? あの美人ライターさんを完全KOして帰ってきたと。武勇伝を聞かされてるんですか私は」

ヤスタカさんの部屋。

仁王立ちの私と、土下座するヤスタカさん。

「いや、武勇伝とかじゃなくてな!? いろはには隠し事をしたくなくてだな……酔った勢いというか……つまり、ごめんなさい! 浮気しました!」

必死な謝罪。

怒ってはいない。けれど、これは儀式だ。

ヤスタカさんの“心の形”を守るために必要な段取り。

許しを経て、ようやく彼は安心できる。

だから私は淡々と確認し、そして告げる。

「無理やりしたわけではないんですよね? 傷つけてもいない? ……わかりました。なら許します」

本当は少し嫉妬している。

でも乙女心なんてそんなもの。

「ただし罰を与えます。私がいいというまで禁欲です。いいですね?」

罪と罰はセット。これは二人のための“形”でもある。

そして私は気づきました。

この異常なまでの性欲の増大は、ひょっとして——

[創作欲の発露]では?

小説家との会話、フリーライターとの共同作業。

創作の火種が大きくなるほどに、ヤスタカさんの性欲も増えている。

夜の濃度が落ちないどころか、むしろ増している。

どうにかしなければ……

搾り続ける?

無理だ。物理的に。そもそも普通の男なら逃げ出す程度には搾っている。

創作を諦めてもらう?

そんなのは死刑宣告だ。

ぐるぐると思考の輪を回していたある日——閃きが落ちてきた。

「というわけで、4Pしませんか?♡」

私の提案に、しずかさんもようこさんも固まってしまった。端的が過ぎたようです。

「……いろはちゃん……もう少し説明してくれないかしら……したところで納得出来そうに無い内容だけど……」

今はしずかさんの部屋。ヤスタカさんは自室で禁欲の真っ最中。聞き耳を立ててはいないでしょう。

速やかに行動に移したかったのだけれど、確かに説明は必要でした。

「そうですね……ヤスタカさんって、絶倫じゃないですか。1人では太刀打ちできないほどに……」

「いや、知らないし……なんでこっちがヤスタカの性事情を知ってる前提なの?」

しずかさんはもっともらしいことを言ってきましたがわたしは知っています。

かなりの頻度でこちらの声を聞いていることを。

あえてこちらからは言いませんが……

「あ〜でもそうね……あれを1人で相手にするのは大変よね……いろはちゃん凄いわよね」

「……ちょっと!なんであんたが知ってるのよ!いつの間に?羨ま……じゃない……節操なさ過ぎない!?やめてよ知り合いどうしで男取り合うとか!ごめんねいろはちゃん!こいつのこういうとこわかってたのに……」

しずかさんが頭を下げてきましたが、今はそこはどうでもいいです。

私は笑顔で大袈裟に両手を振り、しずかさんの謝罪を軽く流しました。

「あ〜いや、ようこさんの件はヤスタカさんから聞いているんでいいんです。まあそれでいま禁欲させてるんですが……」

「え……いろはちゃん?それは自分の首を絞めてない?ただでさえ凶悪なあの性欲が暴走したら……」

ようこさんは何かを思い出したように震え出しました。顔は恍惚の表情でしたが。

「はい…… だから最初の提案なんです。4Pしましょう♡」

私は考えました。そして、ひどく単純な解決策を見出しました。それは、“1人が無理なら人数を増やす”です。

「……ごめん……頭が痛くなってきた……あなたはそれでいいの?自分の男が目の前で他の女に盛ってるなんて、普通見てられないでしょ?」

私は、私の仮説を2人に説明した。

“創作欲と性欲の関係性”について。

しずかさんはヤスタカさんとしたことが無いし、ようこさんとは一晩きり。確かに納得できる要素は一つもない。

けど、私も必死だ。仮説の通りなら、創作熱を燻らせたヤスタカさんは壊れてしまう。それだけは絶対に嫌。例え私の目の前で私以外の女性と体を重ねていても、ヤスタカさんが壊れることに比べたら大したことではない。

……それに、私自身複数人の経験もあるからそんなに忌避感がないのだ。

「そうなのね……けどごめんなさい、私はヤスタカとは友達でいたいの……」

しずかさんは申し訳なさそうに頭を下げる。

正直惜しい……しずかさんも絶対気があるのに……この理性を解きほぐすには時間がかかりそう。

「私はいいわよ?彼女公認とか面白そうじゃない?今度は逆に気絶させてやるわ……ふふ……」

「あら、あんた気絶させられたの?あんたが弱すぎるんじゃないの?」

ハッとするようこさん。うっかりさんで可愛いですけど、これは仕方ない。今のヤスタカさんはそれくらい危険なのだから。

「うるさいわね!私が弱いんじゃなくて彼が強すぎるの!それこそあんたもしてみなさいよ!舐めてると痛い目に遭うわよ!?あ〜でも舐めたら喜ぶかも♡」

「……おっさんめ……だからしないってば……興味もない。あなたたちだけでなんとかしてきなさい」

半ば呆れながら手をヒラヒラさせて、取りつく島なしのしずかさん。

……どうせ聞き耳立ててパンドラの箱のお世話になるくせに……

「わかりました。ではようこさん、お願いできますか?」

「うん、オッケー♡

あ、ねえ、いろはちゃんに聞きたかったんだけど、彼ってそんなに大きいわけじゃないじゃない?なんであんなに的確に突いてくるの?」

ようこさんは軽く踏み込んでくる。なるほどこの軽さはドロドロにならずに済みそう。

「あんた!初手からそれ!?シラフでしていい話題じゃないでしょ!……けど……そうなの?」

しずかさんは興味のないそぶりが下手すぎますね。でもまあここは布石を置いておきましょう。

「そうですね……確かに大きさでいえば普通ですけど……15cmですから。ヤスタカさんって始めのうちは丁寧じゃないですか。本人に自覚はないみたいですけど、その時に探ってるのかも……」

具体的な数字を出して、しずかさんの想像力を煽る。効き目は抜群のようです。

「あなたも答えなくていいわよ!……15cmね……」

小声で呟きながら頭の中にインプットしています。明日には15cmが宅配されそうですね。

「あ〜それは確かにそうかも、あの丁寧さはちょっと焦らされてるようで……けどだんだんポイント押さえていく……で、急にテンポ変えてくるからそりゃ気持ちいいわけよね♡」

「あんたたち……いい加減にしなさいよ……具体的な話をここで始めないでちょうだい」

「わかったわよ……ねぇいろはちゃん、連絡先交換しましょ。早い方がいいわよね。リスケするからいろはちゃんの都合のいい日、後で教えてね」

「わかりました。では第1回対策会議はここでお開きにしましょう」

「……2回目以降は他所でやってよ……」

対策会議から数日後。ヤスタカさんはちゃんと禁欲を守って1人でもしていないようです。仕事をしながらも爆発寸前なのがみて取れます。

ピンポーン

ヤスタカさんはインターホンに移る人物を見た瞬間、この世の終わりのように青ざめていました。

現れたようこさんをダイニングに案内して、ヤスタカさんは流れるように土下座した。

私たちはうっかりしていました。

今の状況は、“同棲中の彼女の元に、浮気相手襲来”。

どう考えても普通なら修羅場だった。

サプライズで友達を呼ぶだけだったのだが、ヤスタカさんから見れば自分の罪を眼前に突きつけられた状態だった。

「ヤスタカさん!やめてください!私たちちゃんと和解して、友達として泊まりに来てもらっただけですから!」

「そうよ〜あの件は忘れて仲良くしましょ。"ただの仕事仲間とその彼女"として」

「そ、そうなのか……お前らいつの間にそんな仲良く……それも泊まりって……」

ヤスタカさんは、少し安心しつつも残念そうな顔をした。"泊まりということは今夜もお預け"と宣告されたようなものですから。

「ま、まあ、2人が仲良いのはいいことだ……な……どうぞ上がって」

ようこさんをリビングに促す。すると、部屋を見渡したようこさんがこんなことを言っていました。

「……ねえ……しずかの部屋って隣よね……つまり間取りが反対以外は同じはすよね……なんでこんなにイメージ違うの?」

答えは言わずもがな、しずかさんが残念だからです。

「取り敢えず座ってて下さい。もうすぐご飯できますから。ようこさんお酒は買ってきましたか?」

いつもは2人だけの時間……人が増えると楽しいです。ご飯もお酒も進みます。

そんな和やかな空気にようこさんは爆弾を投入。

「そーいやヤスタカ……あんた禁欲中なんだって?

バカね〜黙ってればいいのに……まだ続いてるの?」

盛大にお酒を吹き出すヤスタカさん。

テーブルを拭きつつかなりの狼狽ぶりに思わず笑ってしまう。

「そうだよ!取材から帰ってからすぐ土下座してそれからは1人でもしてない!これで満足か!?」

半ばやけになって答えるヤスタカさん。

可愛いなぁ……

宴もたけなわ、片付けをしながらヤスタカさんをベッドに誘導。ここからが今回の作戦です。

「ヤスタカさん、私たちは片付けしてお風呂入ってから寝ますから、先に寝てて下さいね♡」

「ああ、わかったよ。ようこも片付けありがとうな……

けど……なんか様子が……気のせいか?」

ヤスタカさんは、私たちの様子に違和感を感じているようでした。けど、ここまできたらもう逃しません。

片付けも終わり、私もようこさんもお風呂に入り、準備は万端……ヤスタカさんは爆発寸前……程よいお酒で気分も高揚……いよいよです!

コンコン

「いろは?どうした?いつもはノックなんて……」

ヤスタカさんは言葉に詰まってしまった。

それはそうでしょう。

そこに現れたのは、スケスケのネグリジェに身を包んだ美女“2人”。私とようこさん。

「な!なんで2人で!その格好!どういうこと!?」

突然の事態に慌てふためくヤスタカさん。

「んふ♡お待たせしました!解禁日♡ですよ♡どうですかこれ♡可愛いでしょ♡」

正直に言えば少し緊張しています。恐怖……と言ってもいいかもしれません。

「いやおかしいだろ!どうしたらその禁欲のキッカケと2人で来るんだよ!」

「まあまあ……そのことは一旦置いといて……どう?美女2人との3Pよ?嬉しいでしょ?」

私と色違いのネグリジェに身を包んだようこさんはとても楽しげです。……大丈夫でしょうか……

「いや……嬉しいかと聞かれたら……いやダメだ!これは……」

まだ抵抗するヤスタカさんの口を無理やり塞いで、2人がかりの攻撃。爆発寸前のヤスタカさんは諦めたのか、抵抗が止んだ。

「そうそうヤスタカさん♡今日は私たちに委ねて下さいね♡……って……視覚効果は抜群みたいですね♡ヤスタカさんも準備万端です♡」

「ほら……ここ……ここ引っ張ったら……ほら♡」

「ん……ん……んん!♡プハ♡」

「あ……うわ……すごいわねいろはちゃん……あ……根本まで……ん……なんて……」

「ソープの時でもできなかったんですよ。ヤスタカさんにだけ、何故かできちゃうんです♡

愛情ですね♡」

「ふふ……まだ元気ね……さすがヤスタカ……でもまだ夜は長いわよ?」

「ね♡ヤスタカさん……最後はいろは……でしょ?」

「ゴク……ゴク……ぷは……ちょっと休憩……交代で休めるって助かるわ……」

「ちょっと……んん♡ようこ♡さん♡休憩……あん♡多く無いですか?んん!♡」

「ちょ……ん♡はあ……まだ……できるんですか?いいですよ♡来てください♡」

「ヤスタカ……ちょっと……休ませて……ん!」

「……まだ……ですか……はい……どう、ぞ……」

「………」

「お、そろそろ朝か……じゃあ、この辺でやめとくか……最後はいろは……だな……」

「………」

「………」

「おはよう。2人とも遅かったな。朝食出来てるから食べようか」

ヤスタカさんは、まるで何事もなかったように……いや、心なしかいつもの3倍晴れやかな顔をしていた。

私はなんとかよろけながらも椅子に……ようこさんは……もはや自分の足では立てないようですが、なんとか這いずるように食卓に着いた。

完全な敗北です。

「……プッ……クスッ……どうやら作戦大失敗って顔ね……というか……ちゃんと座りなさいよ……」

私とようこさんは、重い腰を庇いながらなんとか作戦会議室……しずかさんの部屋まで来られた。椅子にもまともに座れない程のダメージです。

しずかさんはというと、ちょっとニヤニヤ、だけどちょっと腰が引けています。

やたらツヤツヤしていて若干顔が赤い……これは確実に聞いてましたね。

「……いろはちゃん……何が“2人がかりなら大丈夫”よ!これなら1人の方がマシだったんじゃない!?

最初に勢いつけて一気に搾ればいけます♡って言ったわよね!?」

「これはあれですね……禁欲させたのが影響してます……検証になりませんでしたね……今夜こそ2人がかりで……」

「ちょっと!私の話聞いてた!?2人でも無理っていう話をしてたんだけど!?なにしれっと今夜も私を巻き込もうとしてるのよ!」

ようこさんの猛抗議も、ヤスタカさん対策に比べたら些事です。切り替えて今夜に備えましょう。

「昨日かなり搾りましたからね……検証は今夜からが本番です!」

拳を握って決意を固める私を見て、ようこさんは何かを感じ取ってその場を後にしようとしました。

そんなようこさんの肩を掴み……

「もちろん……今夜も付き合ってくれますよね?今日も明日も明後日もオフって言ってましたよね?」

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