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第9話

Auteur: 丁度屋
葉菜は目を見開いてお父さんを見つめ、腫れた頬を押さえながら泣きじゃくって言った。

「お父さん、どうして叩くの?お母さん、見てよ、私、死にかけたのに……どうしてそんなひどいことするの?」

お父さんは鼻で冷たく笑って言った。

「俺をお父さんなんて呼ぶな。俺はお前の父親じゃない」

葉菜は涙目のまま、すがるように一歩踏み出した。

「お父さん、ちゃんと見てよ。私はお父さんが一番可愛がってきた娘、葉菜だよ」

なのにお父さんは、あからさまな嫌悪を浮かべて彼女を突き飛ばし、そのまま床に倒れさせた。

縫ったばかりの傷口がまた開き、お母さんの目に一瞬だけためらいがよぎったが、それでも近寄ろうとはしなかった。

そこでようやく、葉菜も何かがおかしいと気づいた。

「お父さん、お母さん、どうしちゃったの?姉さんがまた何か言ったの?」

私のほうを、必死に縋りつくような目で見上げながら言う。

「姉さん、あのとき本当はわざと置いていったわけじゃないよね。たとえ私のことが気に入らなくても、お父さんとお母さんとの関係まで壊そうとしないでよ……

分かったよ。これからは姉さんが欲しいものは何でも譲る。け
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    恩師と一緒に戦地を駆け回り、昼夜を問わず負傷者の治療にあたった。病気の子どもを死のふちから救い出して、あの子たちが感謝の笑顔を向けてくれるたびに、胸の奥が満たされていくのを感じた。昔の私は、自分に自信が持てなくて、お父さんとお母さんの愛も、恋人の愛も、必死に追いかけていた。でも今は、自分で自分を大事にすることこそ、一番大切なんだと分かっている。お父さんとお母さんは私と連絡がつかないまま、またネット上に娘を探す投稿を上げ始めた。あり金をほとんど使い果たし、世界中を探し回っているらしい。回線の調子がいいときに、たまたまその動画が流れてきたことがある。動画の中の二人はすっかり髪が白くなっていて、【愛する娘 浅乃を捜しています】と書かれたボードを掲げていた。「浅乃……お前が俺たちの顔なんて見たくないのは分かってる。それでもせめて、声だけでも聞かせてくれ。会いたいんだ。本当に。全部、悪いのは俺たちだ。ずっとお前のことを誤解してきた。お前はずっと、俺たちが一番誇りに思ってきた娘なんだよ。その道を選んだんだろう?だったら俺も母さんも、何も言わずに応援する。命を救う仕事ほど胸を張れるものはない。これからもずっと、お前を愛してるよ……浅乃」どこから聞きつけたのか、言人が私の居場所を探し当てた。何かを言い出す前に、高熱を出してその場に倒れ込んだ。診察の結果、疫病が流行している地域の子どもに接触していて、すでにウイルスに感染していることが分かった。ワクチンは高価なうえに数が限られていて、一番近い救急センターから取り寄せるにしても、早くて二日はかかると言われた。自分の余命が長くないことを悟ったのか、言人はベッドに横たわり、かすかな息を繰り返していた。「浅乃、お前に会えただけで、もう十分だ。ここで働いてるお前の姿を見てたらさ、昔の、眩しいくらい明るかった浅乃を思い出した。本当に後悔してる。どうして俺は、あんな馬鹿みたいにお前を手放しちまったんだろうな。ああ、そうだ」私のほうへ手のひらを広げると、その真ん中に、小さな指輪が静かに乗っていた。「浅乃……ほら、指輪。必死に探して、ようやく取り戻したんだ。これは、お前だけのものだよ。俺が心から愛してるのは、ずっと浅乃だけだ」そう言い終えると、差し出されていた手

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