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第197話

Auteur: 雨の若君
司野の目には、素羽のヒステリーは、無力な怒りをぶつけているだけの、どこか滑稽な姿に映っていた。

彼は表情一つ変えず、感情の起伏を一切感じさせない落ち着いた声で言った。

「今のお前は感情的だ。いずれ冷静になったら、また話そう」

その言葉を投げ捨てるようにして、司野は振り返ることもなく寝室を後にした。

その冷淡さが再び素羽を強く刺激し、アドレナリンが一気に噴き上がる。胸の奥に溜め込んでいた怒りは、野火のように一気に燃え広がった。

「私は冷静よ!今ほど冷静な時はないわ!あなたとは、もうやっていけない!」

素羽は手首のブレスレットを乱暴に引きちぎり、司野に向かって力いっぱい投げつけた。

ガラス製のブレスレットは硬い床に叩きつけられた瞬間、粉々に砕け散り、破片が音を立てて司野の足元へと転がった。

司野は一瞬だけ足を止めたが、振り返ることはなく、そのままドアの外へ歩き続けた。

「司野――」

素羽の叫びは空気を切り裂いたが、返ってきたのは、変わらぬ冷たい無視だけだった。

素羽はテーブルの上の離婚協議書を掴み、小走りで後を追った。

司野は脚が長く、歩幅も大きい。距離はあっという
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