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第196話

Author: 雨の若君
「それに、お前の祖母のために手配している専属の専門医も、すべて引き上げる。そのあとで祖母の体調がどうなろうと、俺の知ったことじゃない。それでもいいのか?」

素羽の顔からは次第に血の気が引き、やがて真っ青になった。声は震え、そこには尽きることのない悔しさと、抑えきれない非難が滲んでいた。

「司野……私たち、結婚してもう何年も経つわ。でも一度だって、あなたを裏切ったことなんてない。最初にこの結婚を裏切ったのはあなたでしょう?それなのに、どうして私にこんなひどいことができるの?」

私の家族を、完全に壊してしまうまで追い詰めるつもりなの?

司野は素羽を見下ろし、わずかな温もりすら感じさせない冷え切った声で言い放った。

「俺は商人だ。自分に利益のあることしかしない。どうしても離婚したいというなら、応じてやってもいい。ただし、ただで別れるわけにはいかない。須藤家の名誉を汚すわけにはいかないからな。相応の慰謝料は支払ってもらう」

その瞬間、素羽は初めて、司野の卑劣で恥知らずな本性をはっきりと見た。怒りは全身を震わせ、手元にあったティーカップを乱暴につかみ、勢いよく彼に投げつけると、歯を食いしばって叫んだ。

「この人でなし!」

司野はわずかに顔を傾けただけで、飛んできたカップを容易くかわした。カップは壁に激しくぶつかり、音を立てて粉々に砕け散る。

「お前が大人しく言うことを聞いていれば、須藤家の妻の座は永遠にお前のものだ。誰にも奪わせない」

まるで取るに足らない事柄でも述べるかのように、司野は淡々とした口調で言った。

素羽の瞳は潤み、極度の怒りと拒絶で、体は震え続けていた。

「欲しくない!」

名ばかりの須藤家の妻の座など、これっぽっちも欲しくはなかった。

司野は突然手を伸ばし、素羽の肩を掴んだ。骨が砕けるのではないかと思うほどの力だった。

「冷静さを失うな。忠告してやる。俺たちに子供ができたら、お前は家で安心して夫を支え、子供を育てていればいい。他のことに口を出す必要はない」

素羽は彼の手を力いっぱい振り払い、その瞳には明確な拒絶が宿っていた。

「あなたとの子供なんて産まない!ましてや、私の子供に美宜をママなんて呼ばせるわけがないわ。冗談じゃない!」

司野の動きが止まり、眉間に深いしわが刻まれる。声にも不機嫌さがにじんだ。

「誰が、俺たちの子供
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Comments (3)
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中村 由美
美宜からのメールを見せればいいやん。 どれだけ美宜からの挑発が来てるかいいつけろよ。
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akemi
追い詰め過ぎて、これだけ立場が弱いと面白くないな。 多少救いがないと、読んでて気分が悪い。
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カナリア
もういいんじゃないかな? 偽装死までザーッと行こうよ いじめ過ぎても面白くない
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