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第449話

Author: 雨の若君
血に濡れたナイフが、再び司野の腹部を貫いた。遅れて襲いかかる激痛が、ようやく彼の思考を現実へと引き戻す。

だが、彼には理解できなかった。なぜ素羽が、これほどまでに自分を憎み、殺そうとするのか。

「司野さん!」

美宜は、刃を突き立てられた司野の姿を目にすると、迷わずテーブルの花瓶を掴み上げた。そして、それを素羽の頭部めがけて叩きつける。

花瓶は凄まじい音を立てて粉々に砕け散った。

素羽の頭を濡らした水滴は、透明から淡い桃色へ、そしてやがて鮮血へと変わっていく。

左目は流れ落ちる血に染まり、視界は真紅に塗り潰された。

彼女はゆっくりと首を巡らせ、まるで地獄の亡者のような形相で美宜を睨み据えた。

その悪鬼のごとき眼光に、美宜は息を呑み、恐怖に身を震わせる。

「……素羽、司野さんはあんたの夫なのよ!それなのに殺そうとするなんて、正気じゃないわ!あんた、狂ってる!」

素羽は何も答えない。ただ司野の体からナイフを引き抜くと、今度はその切っ先を美宜へと向けた。

いまの彼女は、目に映るすべてを屠ろうとする殺人鬼そのものであり、凄まじい殺気をまとっていた。

岩治と楓華たちが駆けつ
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