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1話

작가: 水沼早紀
last update 게시일: 2025-12-22 13:59:10

そしてその年の十二月十五日。高城ホールディングスの社長、高城明人が夕月園に足を踏み入れた。

そこで高城明人から言われた言葉は、衝撃的な言葉だった。

「夕月園は、我々高城ホールディングスが買収させていただきます」

「え、買収っ……!?」

「買収って……。一体、どういうことですかっ!?」 

夕月園を買収すると言い出した高城明人は、わたしたちをホテル・カナリアで引き取ると言ったのだ。

そう。けれどそれは、わたしたちがカナリアで除け者扱いにされるということだった。 

だけどそんなことに賛成できるはずもなく、わたしは断固反対した。

「ここはもう終わりだ。こんな古臭い旅館の時代は、もう終わったんだよ」

「古臭い……?」

そんなことない。夕月園は立派な旅館だった。あんなにもたくさんの人から愛されて、活気のあふれる旅館だった。

たくさんの人の笑顔を、わたしたちは最後まで作ることも出来た。 満足して帰られるお客様の笑顔のおかげで、わたしたちはこうして立派に働けていた。

なのにそんな夕月園を汚すなんて、わたしは絶対に許せない。

夕月園は歴史ある立派な旅館だったんだから。こんな風に終わらせるなんて、絶対にイヤなんだ。

「これからはこんな古臭い旅館なんかより、我々が経営するリゾートホテルの時代なんだよ。……少し考えれば分かるだろ。 ね、女将?」

「ちょっと待ってください。ここは古臭くなんてありません!……ここは、ここは歴史ある立派な旅館です!こんなにもたくさんの人に愛されてきたから、夕月園はここまで営業してこれたんです。 それはわたしたちじゃなくて、ここに来てくれるたくさんのお客様がいたおかげです!」

わたしは悔しくて、つい立ちあがってそう言葉を吐き出してしまった。

「……やめなさい、透子」

「でも、女将……!」

だけど女将は、それを止めた。

「ええから、座りなさい」

冷静さを失ったわたしと、冷静さを常に保つ女将では、歴然の差だった。

「……はい」

わたしは言われた通りにするしかなかった。

「女将、決断は早い方がいいですよ?」

「……こんなことして、あなた方になんのメリットがあるというのかしら?」

女将の言うとおりだ。こんなことして、この人たちになんのメリットがあるというのだろうか。

「メリット? そんなもの、ある訳がない。……ただ目障りなだけだよ、ここがね」

「目障り……?」

そんなの、ひどい言い方だわ……。そんな言い方をするなんて。

「そう、目障りなんだよ」

そう言って女将に向かって、あの男はニヤリと笑ったのだった。

その笑顔は、まさに【悪魔】だったーーー。

✱ ✱ ✱

「女将……本当にいいんですか?このままで」

わたしは高城明人が帰った後、女将に向かってそう問いかけた。

「そうですよ、女将!いいんですか、このままで!?」

「……仕方ないわよ」

だけど女将は、それだけしか答えなかった。

「仕方ないって……。女将は悔しくないんですか? ここが無くなるかもしれないんですよ!?」

「悔しいに決まっているでしょ!? 悔しいわよ、すごく……」

「じゃあなんで……!」

女将は高城明人から渡されたその紙を見つめたまま、話し始めた。

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