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第1258話

Autor: 一匹の金魚
礼央は真衣を背負い、一歩一歩果てしない氷原を歩いた。

足元には分厚い雪が積もり、少しでも気を抜くと滑って転びそうだった。

手の傷は寒さで感覚を失っていたが、それでも彼は手で真衣の腿をしっかりと支えた。

真衣のまぶたはますます重くなり、意識は厚い綿に包まれたようにぼんやりとしていた。

真衣は耳元で吹く風の音と、礼央の背中から伝わる温もりを感じていた。

真衣は礼央がとても、とても疲れていることに気付いていた。

「礼央……」

真衣は全身の力を振り絞って、微かに声を出した。「ありがとうね……」

ありがとう、自分を見捨てないでいてくれて。

ありがとう、吹雪の中、自分をおんぶしてくれて。

ありがとう、まだ自分の傍にいてくれて。

礼央は歩みを止めず、小さな声で言った。「話すと、体力を消耗するぞ。もうすぐ着くからな」

本当は、その『もうすぐ』がいつなのか、礼央にはわからなかった。

激しい吹雪に視界が阻まれ、方向感覚はすでに失われていた。

礼央は記憶と直感だけを頼りに、おおよその方向へ進むしかなかった。

どれくらい歩いただろうか。礼央は全身の力が抜けていくのを感じた。

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