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第630話

Author: 一匹の金魚
真衣は、下ろした手をギュッと握りしめる。

打たれた彼は痛くないだろうが、打ったこちらの手が痛いくらいだ。

まるで、疲れを知らない狂人だ。

狂人に、理屈など通じない。

だが、男女の腕力の差は、どうしようもなく大きい。

礼央がその気をなくさない限り、振りほどくことなど不可能なのだ。

真衣は目の前の男を、探るような目で見つめる。

今の彼の行動は、すべてが異常だ。

今夜の彼は、以前知っていた彼とはまるで別人だ。同じ人間とは思えない。

あの冷徹で、感情を持たない礼央とは、似ても似つかない。

真衣は冷静さを保とうと努める。

密着した体から伝わる灼熱の体温、そして言葉と共に吐き出される熱い息遣いを感じる。

真衣は冷ややかな表情のまま、手を伸ばして礼央の額に触れる。

ひどく熱かった。

明らかに高熱がある。さっき言っていた「具合が悪い」「頭が痛い」というのは、本当だったのだ。

今夜ここに居座るための、単なる口実ではなかったということか。

だが、「ここを出たら行く場所がない」とは、一体どういう意味なのか?

礼央は、人違いではないと言い切った。

真衣は目の前の男を見据える
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洋子
萌寧だろうか?萌寧は 警察に居るよね。牢屋かも。そこから 電話できるかな。
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